幼女軍医   作:瀧音静

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もう書かないかもとか宣ってた作者どこのドイツですかね?
あっさり戻って来てやがりますし?
待ってくれていた方が居るかは定かではありませんがノゲラでは無く申し訳ありません。
が、幼女で百合とか素晴らしいやろそうじゃろ!?って事でまたよろしくお願いします。

前作以上に不定期更新になってもきにしないでくだしあ。


「英雄」の帰還

 バタバタと慌てる足音が響く中、私、「フリューア・アーデルハイト」もまた、他の皆様と同じように慌てる足取りで準備をしておりました。

 と言うのも、我らがライヒの国境を侵さんと大規模な越境行動を行った協商連合により、国境紛争が勃発。

 そこで前線観測任務についていた新米魔導士官が中隊規模の魔導師との交戦になり、何と驚く事にこれの突破を単騎で阻止。

 しかし無傷とは当然いかず、瀕死の重傷を負ってこの病院へと凱旋なされたとの事らしく、絶対に死なせてはならない、と上の方々からきつく、きつく言われた次第でございます。

 軍医殿に言われた道具を準備し、様々な薬を用意して、まだうまく扱えぬエレニウム簡易丙式を首から提げて、どんな魔導師なのかとおっかなびっくり待っていますと、担架に運ばれ担ぎ込まれてきたのは、私とあまり変わらぬ年頃に見える女の子ではございませんか。

 しかし、私と同じくもうすぐ年齢二桁を迎えるであろう少女の身体は、およそ私と同じ年頃のものとは思えぬほどに凄惨でありました。

 銃創がいくつか。かすり傷や貫通したものばかりで、幸か不幸か体内に留まっている弾は無いようでした。

 そして、胸部から全身に広がる爆発を受けたような火傷の複合した衝撃痕は、思わず目を覆ってしまいそうになるほどでした。

 

「訓練兵! 一刻を争う! へたり込んで動けぬのならば今すぐ消えろ!! 邪魔だ!!」

 

 軍医殿からの叱責を受け、ようやく私は現実を受け止めることが出来ました。

 そうです。私たちがこの女の子を救わねばならないのです。

 恐怖を表す震える足を一度叩き、ピシャリと音を響かせて、

 

「大変申し訳ございません!! 何なりと、私をお使い下さい!!」

 

 私に出来る精一杯の事を……軍医殿達の小間使いになることを表明し、心の中で目の前の少女が助かることを神に祈ったのです。

 

 

 現実とは、時に残酷なものです。

 準備した道具だけでは手術も満足に行えず、用意した薬だけでは症状を抑えきれず、さらには軍医殿達の持つ宝珠を駆使した治癒魔法すら、目の前の弱り切った少女を快方へ向かわせる要因にはなり得なかったのです。

 上からの命令を守れなかった自責、そして、全く手が出なかった目の前の英雄の傷――我らを守るために受けた勲章を、私たちにはどうすることも出来なかったのです。

 このような場合、私のやることは一つ。そう、先輩から教えられていました。

 軍医殿が手に持っていた宝珠を拝借、私の持つ簡易丙式と同時に起動させ、魔力反応を暴走。

 治療中に訓練兵の独断処置による事故。

 それが、この英雄の身に起こる最終的な軍医殿の判断です。

 魔力暴走を引き起こした私は、良くて英雄殿と共に殉職。

 運悪く生き残れば、極刑が命ぜられるでしょう。

 あぁ、私は孤児である故に両親の顔を知りませんが、きっとお空の向こうで悲しんでいることでしょう。

 お父様、お母様、出来の悪い娘で申し訳ございませんでした。

 そして名前も知らぬ英雄殿、このような結末になってしまい、誠に申し訳ありませんでした。

 ――神よ。我らをあまねく導いて下さる慈悲深き神よ!

 どうか、どうか。私の命など構いませぬ。望みませぬ。

 ですが、ですが。私の目の前で横たわり、弱い呼吸で胸を上下させる英雄をどうか!!

 ()()()()でお救い下さい……。

 

「神よ……」

 

 両の手のひらで鼓動する二つの宝珠が熱を持ち、魔力の暴走を私に伝えてきます。

 もうほんの数秒で、少なくとも英雄様は帰らぬ人となってしまうのです。……私のせいで。

 そんなことを思い、口から漏れ出たのは、藁にもすがる思いで神に頼る言葉でした。

 ――そして、()()()()()()()()()()()

 

「理不尽を受け入れ、神を信じ、己を犠牲にして他人を救おうとする者よ」

 

 停滞した周囲の音の中、その言葉は優しく耳へと溶けるものでした。

 声の主を探せば、魔力暴走から少しでも距離を取ろうと部屋の隅に移動した軍医殿の一人からでした。

 

「貴方は神を愛し、運命を理解し、極めて欲の無い素晴らしい信者です」

 

 先ほどの軍医殿とは反対に位置する軍医中将殿から、先ほどの軍医殿と同じ声が響きます。

 

「貴方のような者にこそ、神は微笑み、神の御業(みわざ)を以て『()()』は発現されるべきです」

 

 私を心配そうに見つめる看護婦からも同様でした。

 

「これからも信じなさい、神の存在を。感じなさい、神の力を。受け止めなさい、神の()()を」

 

 その言葉を最後に、周囲の喧騒は再び耳に入るようになり、思わず私は来たる魔力の暴走に備え目を固く閉じます――が。

 一向にその気配が無いではありませんか。

 

「お前……何をした!?」

 

 そう私に声を掛けた軍医殿の視線は、私の両の手に注がれており、その視線を追って私が目にしたのは、莫大な魔力反応とそれを抑え込むような幾重にも重なった幾何学的な模様であり……。

 それは、膨大な魔力の元に生成された治癒魔法の術式で。

 周囲の声を聞かずに、私はその術式を英雄の身体へと躊躇いなく発現させました。




こんにちは!フリュア・アーデルハイト九歳です!
まだ小さいので色々と失敗は有りますが一つ一つ頑張っています!
これまではエレニウム簡易丙式をしっかり起動できませんでしたが、神の奇跡か突然制御できるようになりました!信仰の賜ですね!!

と、言うわけで……ん? 何を寝ている? すまないが戦争だぞ?
飢え死に以外は呼び戻してやる。生き返りたくなければ死んでくるな。

次回、幼女軍医第二話 「プロローグ」 ではまた、病院で。



受けなかったらどうしよう……。
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