まぁそれ以上に間隔空いちゃってるのもあるんですけども。
一先ずは時間を見つけたのでこちらを更新。
決して投げ出さないので、他のもどうか寛大な心でお待ちください……。
市街上空へ到着後、速やかに隊列を離れて地上へと降下。
どう考えても伏兵がいるであろうとのデグレチャフ殿の判断により、私は最初から部隊への治療よりも、
大隊の方々の治療は難しいですが、撃ち落とされたならば治療出来ますし……。
何より自身で発言した『民間人の死傷者ゼロ』を達成するためには仕方が無い事であります。
……が、デグレチャフ殿の傍を離れるというのは何とも。
いつも寂しくなるものでありますね。
地上に降りて大隊を見上げれば、案の定伏兵からの一撃を貰い散開。
さて、怪我人は――と。
「――ッ!?」
頭上で行われる交戦を意識し、目立たぬようにと建物の影などを利用して移動していますと、道には迎撃準備が万全に用意されていました。
如何に衛生兵であろうと、のこのこと帝国軍服を着て出て行けば、まぁ即座に撃たれてしまうでしょう。
やむを得ず迂回。
そうこう足を取られているうちに、私の視界の端でヴァイス中尉殿が被弾なされてしまいました。
――向かうべきでありましょうか?
しかし、敵の位置は不明。
そして、負傷兵を――弱いところを狙うは兵法の常。
ヴァイス中尉殿が狙われている可能性はどうしても否めません。
そこへ飛び込んで、自らが負傷……等とは、到底笑い話では済みませんよね?
確認していれば、グランツ少尉と共に降下したのを確認。
止血剤は持たせていたはずですし、あの傷ならば命に別状は無いでしょう。
心配せずとも良さそうであります。
「うっ……誰か……」
僅かに胸を撫で下ろした私に、微かな呻き声が聞こえてきました。
声の方へ視線を向けても、そこにあるのは瓦礫の山で。
あぁ……生き埋めでありましょうか?
直ぐに駆けより、まずは確認。
「どなたかおられますか?」
「!? 誰か……居るのか?」
反応は早い。埋まってしまった直後か、それとも命に別状は無く、どこか挟まれて動けないだけか。
少なくとも、衰弱しきって動けない、という線は無さそうです。
「一先ず、ご自身で把握している状況を教えていただけますか?」
「あぁ。……右足を瓦礫に挟まれ動けない。こうなったのは、ほんのさっきだ」
――軍人……の方ですかね。
一般人がこうも欲しい情報だけを伝えられることは無いと思うのですが。
まぁ、声を掛けてしまった以上仕方ありません。
「一度魔法にて瓦礫を吹き飛ばします。可能な限り頭を守ってください」
「…………頼む」
声の場所を少しだけ避けて、魔力を手に宿し、触れた瓦礫を弾けるように。
埃でも払うように、幾重にも積み重なった瓦礫を退かしていきますと――。
声の主とご対面です。
おや、共和国軍と思っていたのですが、見た目は市民のようです。
中々このような状況に慣れた市民な事で。
対する慣れた市民は、私が帝国軍服を着用していたからでありましょうか、大きく目を見開いています。
「足以外に痛むところは?」
「いや……無い」
見たところ上半身からの出血は無し。
では、本当に足が挟まっただけのようです。
運がいいのか悪いのか。人によって異なりそうですが。
足を挟んでいた瓦礫も退かし、ひしゃげた右足とご対面。
何だ、この程度ですか。
下手すりゃ治療無くとも歩ける程度ではありませんか、全く。
これでは『奇跡』を使う必要すらありません。
潰れた細胞を蘇生して血管修復。
筋肉、神経、皮膚も同じくワンタッチで作り直し。
はい、治療おしまいです。
え? 『奇跡』? これが? 『奇跡』というのは重体を即時治療するような事を言うのですよ?
「……まさか――『白翼』」
「そう呼ばれることもあるようです。治療は以上。避難勧告が出されているので速やかに避難を」
瓦礫を払った事で音を立ててしまっていますし、私は隠れなければなりません。
必要なことだけを伝え、私は物陰へ。
「何の音だ!?」
さて、先ほど私が治療した場所に誰か来たようですが、大隊の方ではありませんね。
聞いた事が無い声です。
「瓦礫から足を引き抜いたら瓦礫が崩れた。危なかったよ」
私が治療した市民はそう説明しました。
咄嗟であるにも関わらず、私に一切触れない説明は素晴らしいですね。
「すでに交戦している。教会へ下がれ」
ほう、教会。そこが民兵の拠点と言うことでありましょう。
デグレチャフ殿に伝えておきますか。
しっかりとデグレチャフ殿に教会のことを伝え、先ほどと同じく瓦礫に埋まってしまった者、流れ弾を受けた者、それらを可能な限り見つけ出しては治癒を繰り返し。
気が付けば敵兵は後退し建物内へと引きこもり、デグレチャフ殿は呼びかけを始めました。
順調に進んでいるようでありますな、何よりであります。
――――――え?
*
「少佐!!」
「どうした!?」
呼びかけを終え、相手の動きを見ていたデグレチャフとセレブリャコーフは、見たくもなかった映像を記録し、本部へと送りつけることとなる。
デグレチャフが歯噛みし、
「これだから統率の取れていない民兵は」
と苛立ちを露わにしたその映像は――。
怪我人を治療しているフリューア・アーデルハイト軍医中尉を――怪我人ごと撃ち抜いた……映像だった。
……なるほど。普段私が治療している怪我人は、このような痛みを伴っているのでありますね……。
中々に、苦しいものであります。
……とはいえ、こんなところで弱音など吐けぬのでありますよ。
デグレチャフ殿の為に、……コフ。働かねばならぬのです。
次回 幼女軍医 「勝利の使い方」 ではまた、戦場で。