幼女軍医   作:瀧音静

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少しだけ間隔が開きましたが私は元気です。

ちょっとリアルが忙しくなって来ましたので、ひょっとしたらここから間隔が開いていくかも知れません……。


息抜き

「現在、ライン戦線は中央本隊の再配置により、小康状態を保っている……と」

「ですが、西方方面軍が崩壊寸前になったのも事実。防衛戦力と再編が急務でしょう」

 

 帝国軍中央指令本部・第一会議室。

 そこでは、上層部の者達による会議が執り行われていた。

 その場でゼートゥーアの提案した即応魔導大隊構想についての議論が行われ、それが認められる事となる。

 と、同時に、一人の軍医についての議論も行われたが、こちらもどうやら、即応軍医として、様々な場所へ向かわせることの出来る、独立した軍医とすることが決まったようだ。

 

 

 皆様こんばんは。フリューア・アーデルハイト軍医であります。

 毎日毎日、運ばれてくる瀕死兵達を復活させ、デグレチャフ殿に会えぬ辛さをかみ殺し、毎日神へとお祈りしていたところ、ようやく神は私の願いを聞き届けて下さったようです。

 届いたのは一通の封筒。また配属の内示かと思いましたが、そこにあったのは中央本部での食事のお誘い。

 参謀本部、作戦参謀次長。准将であらせられるルーデルドルフ閣下からのものでありました。

 なぜ私のようなしがない軍医に? と疑問に思いはしましたが、有るではありませんか! 心当たりが!

 軍大学へと通っていた我らが「白銀」が! きっと私を傍に置くために色々と画策してくれたのでしょう!

 なんと素晴らしい我らがデグレチャフ殿! 私は一生貴方に付いていきましょう。

 というウキウキ気分で中央本部へと行ってみれば、なんとその食事会にはデグレチャフ殿は居ないではありませんか。

 思わず落胆し、肩を落とした所をしっかりとルーデルドルフ准将に見られてしまいました。

 

「どうかしたのかね?」

「あ、申し訳ありません。戦場での食事がほとんどであったため、安全な場所での食事を目の当たりにし肩の力が抜けてしまいました」

「君は軍医でありながら、兵士達と共に食事を?」

「はい。というよりは、食事の時間も惜しいので、パンなどを囓りながら治療に当たっている事がほとんどでありまして」

 

 これで何とか誤魔化せたでしょうか? 私の言っていることに嘘偽りは無いので誤魔化されて頂けるとありがたいのですが……。

 

「なるほど。士気が高くなるわけだ。献身的な軍医がどんな傷でも治してくれる。その前提があったからこそ、ライン戦線は中央本隊を再配置出来た」

 

 あぁ、どうやら誤魔化せたようです。危ない危ない。

 

「私がどれだけ治そうと、その兵士の強さ以上の戦果は期待できません。もし参謀本部の期待以上の成果が上がっているとすれば、それは私のお陰では無く戦場の兵士達の手柄です」

「ふむ。……とりあえず食べたまえ。料理が冷めてしまう」

「お言葉に甘えさせて頂きます」

 

 あぁ、戦場では食べられない温かな蒸し料理。

 向こうでは味わう暇など無く無理矢理に飲み込んでいましたが、ゆっくりと噛み締める時間があるというのは何とも贅沢なものですね。

 ええ、とても楽しめました。……ただ量が多いですね。半分も食べられませんでした。

 

「もういいのかね? 食べねば大きくなれんぞ?」

「は。ですが私はもう満腹でして……身体の小さいメリットと言いましょうか。少量で満腹になるのでその分他の者へ分け与えることが出来ます」

 

 自嘲気味に言ってみたが、思ったよりも受けていただいた。

 

「さて、ここに呼んだのは他でもない。君の配属についてだ」

 

 えぇ、察していました。でなければわざわざ戦場から呼び出されないでしょう。

 

「君に選択肢がある。一つは、ライン戦線に戻り、また今日までと同じように働くこと。そしてもう一つ、新設される魔導大隊に軍医として帯同し、これから一人の欠員も出さないようにあたること。この二つだ」

「どちらでもよろしいのでありますか?」

 

 見え見えの罠としか思えません。後者がどう考えてもデグレチャフ殿の率いる部隊でありませんか。

 このタイミングでわざわざ新設するなど、自分から答えを言っているようなものです。

 

「君はどこに配属されていようと確実に我が国に貢献してくれると我らは確信している。となれば、後は君がどこで国に貢献したいと考えるか、だ」

 

 ひょっとして私は甘やかされているのでしょうか? 心なしかルーデルドルフ准将の目が優しく見えるのですが……。

 

「であるならば、魔導大隊付きの軍医を希望致します。そして、誰一人として戦死者を出さぬと、ここで誓わせて頂きます」

「結構。では大隊へ……と言いたいところだが、まだこの大隊は設立されてなくてな」

「へ?」

「隊長は決まっているから、そちらへ向かうといい。面識はあるだろう? ターニャ・フォン・デグレチャフ中尉だ」

 

 小躍り……いえ、大空へ向かって叫びたいところでありますが、苦しく辛かった過去を思い出し、その幸福感を打ち消します。

 ようやくターニャ殿と会える。……しかもまだ部隊は無いため二人きりで! これが神からの褒美でないとすれば一体何になりましょう!

 あぁ、デグレチャフ殿! 今すぐお側に向かいます!!

 

「本日は以上だ。今日中にデグレチャフ中尉には伝えておく故、明日挨拶に行くといい」

「は! 失礼致します」

 

 そこから先はほとんど覚えていません。早く明日になるように、とあらゆる物事を全て手短に済ませ、布団を被って就寝致しました。

 

 

 翌日、はやる心を落ち着かせながらスキップでデグレチャフ殿の部屋まで向かい、そこで私が見たのは……。

 ――楽しそうに見知らぬ女性と会話するデグレチャフ殿の姿でありました。




こんにちは。誰かと同じ会話をしているのに全く違う結論に至って不思議に思うことはありませんか?
私は現在進行系で体験しております。

申し遅れました、フリューア・アーデルハイト軍医であります。
神の慈悲で「デグレチャフ殿の側に好きなだけ居なさい」と言っていただけ、未だに心が落ち着きません。

本日も神へと祈りましょう。

次回幼女軍医八話 「始まりの大隊」 ではまた、病院で。
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