寧々ちゃんが我慢しつつも柊史君大好きな気持ちが抑えられないってところを意識して書いてみました!カケテレバイイナ
寧々ちゃんが我慢しつつも柊史君大好きな気持ちが抑えられないってところを意識して書いてみました!カケテレバイイナ
授業中にふと考えてしまう。とってもかっこよくって、あの瞳で見つめられただけで、あの指で触れられただけで……
(いけないいけない!)
私は、思わず発情してしまいそうになる体を必死に抑えました。契約がなくなっても、発情の癖はすっかり染み付いてしまったようで、柊史くんのことを考えただけで体が……
(あぁぁ……また考えてしまってます……考えたらまたおかしくなっちゃうから……)
最近はこんな調子で授業に集中できないこともしばしば。私はなんとか、気持ちを抑え込むことに全力を注ぎました。
……甘い。それが朝感じた一番の感情だった。寧々といると、よく感じるものだ。しかも、いればいるほどどんどん強くなる。
(大丈夫かな……?)
オレは別のクラスの寧々のことを考えた。
最近はこんなことが多い。寧々の契約は終わったので、強制的な発情なんてことはないはずだが……
心配してもどうすることもできない。都合のいいことに授業はあと10分ほど。寧々もきっと大丈夫だろう。
(というか、大丈夫もなにも今は普通の女の子のはずなんだがなぁ……)
大丈夫と自分に言い聞かせながらも、オレは寧々を心配する気持ちでいっぱいだった。
授業の終わりを知らせる鐘が鳴りました。
(こんなの……無理です……)
自分でもわかるくらい息も絶え絶えに、最早机に突っ伏すような姿勢になっている私。柊史君のせいではないと言え、朝からのお預けは私にとってとても苦しいものでした。
朝の出来事。私は、柊史君と手を握って登校していました。朝から大好きな人と手を繋げてとても上機嫌だった私は、もう一つお願いをして見ることにしました。
「あの、柊史くん……?」
「うん?どうしたの、寧々?」
「えっ、と……そのですね……?もうすぐ学校に着いちゃいますから……そしたら、放課後まではできませんから……」
「?」
私はとても恥ずかしいのに、柊史君はキョトンとした顔をするばかり。いえ、わざとでないのはわかっているんですが……
「だから……んー」
私は、目をつぶって顔を柊史君の方へ向けました。さすがにそこまですれば察してくれるだろうと考えて。
「あ、そういうことか……」
そう聞こえてくる柊史君の声。私は心こそ喜びで溢れていましたが、その笑みが顔に出ないように必死にその時を待ちました。
……ですが、次に私に訪れた感覚は頰への柔らかい感触。
(違います柊史君!惜しいんですけど違うんです!)
私がそう思い、声に出そうとした時。
「ちゃろー!寧々先輩!保科センパイ!」
「因幡さん!?お、おはようございます……」
「おはよう、因幡さん」
「あれ、寧々先輩。どうかしましたか?」
どうやら、少しだけ顔に出てしまっていたみたいです。さすがに因幡さんの前でそんなこと言うわけにはいきません。
「いえ、なんでもないですよ。それじゃあ行きましょうか」
多少無理をしてでもこの時キスをしてしまえば、という後悔はしばらく忘れないでしょう。
「ふぅーっ、ふ、ぅ…」
「あー……寧々?」
息が荒い寧々に手を引かれ歩くオレ。寧々から流れ込んでくるのは、ひたすらに甘い感情。
午前の授業が終わると同時に、寧々はオレの教室に来ると、オレの手を引っ張ってどこかへ向かった。もちろんクラスメイトには注目された。
寧々に聞かなくても、流れてくる感情でどうしたいのかはわかる。手を引かれたまま着いた先は、オカ研の部室だった。
「寧々?落ち着こう?」
「無理、ですぅ……」
試しに言ってみたオレの言葉はもちろん却下。寧々は部室のドアをガラッと開けると、オレの手を引いてズンズンと中へ入った。その直後、ドアを閉める暇すらなくオレの頭は寧々の顔の前へとグイッと引っ張られた。
「ちょっ、寧々っ、ドアぐらい閉めないと……!」
「しゅ、うじくん……私が、どれだけ我慢したと思ってるんですかぁ……?」
恐ろしいほどの波と濃さで伝わってくる寧々の発情。こんなになるものなのか……?
寧々の顔がさらに近づく。オレは覚悟を決め、目を閉じた。
……だが、何かが触れる感触はなかった。
(……?)
不思議に思ったオレは、思わず目を開く。目の前には目を回して今にも倒れそうな寧々の姿がーー
「危ない!!」
(ーーあれ?)
目を覚ますと、そこは見慣れない場所。
(ベッド……保健室、でしょうか?)
記憶を手繰り寄せる。
朝……そう、柊史君と手を繋いで……我慢して、授業が終わったら部室に行って……
(〜〜〜〜〜〜!!)
思い出せば出すほど、体がどんどん熱くなってきてしまいました。
「柊史、君……?」
ポツリと呟いた大好きな人の名前。でも周りはシンとしています。
よく見ると、ベッドの傍には柊史君の制服の上着があります。
(これがここにあるということは、近くに入るんでしょうか……)
そんな疑問を頭に浮かべながら、私は自然とその上着を手に持っていました。
(あ……柊史君の匂い……)
これは柊史君の上着なのですから、柊史君の匂いがするのは当たり前のことでした。
その匂いを嗅いで、湧き立ってくる私の想い。思えば、ずっと我慢していたんですから。
(あぁ……だめ、我慢できません……)
私は、膨れ上がる感情を抑えることができませんでした。
(割とかかっちゃったな……)
急に倒れてしまった寧々を抱えて保健室まで行くと、ちょうど先生は留守だった。オレはとりあえず寧々を保健室のベッドに寝かせると、職員室まで先生を呼びに行っていたのだった。
(寧々、大丈夫かな……)
オレがそんなことを考えながら保健室のドアに手をかけようとした時。中から声がした。
(間違いなく寧々の声だ。なにか……言ってる?)
別に聞き耳を立てないで入ればいいのに、オレは保健室のドアに耳を近づけた。
「しゅう、じくん……しゅうじ、くん……」
聞こえてきたのは、オレの名前を呼ぶ寧々の声。
(なんでオレの名前を…………まさか!?)
オレの頭に浮かんだのは自分で自分を慰める寧々の姿。そもそも倒れる前も発情していたようだし、そうなってしまっていてもおかしくはない。
(それは流石にーーまずっ!?)
オレは焦りからか、ドアに手をついてしまっていた。そうなると、もちろん音が中にまで聞こえる。
「っ!?誰か、いるんですか……?」
中から聞こえる驚いた寧々の声。こうなってしまったら仕方がない。
「オレだよ、寧々」
「柊史、君……?」
「あーいや、オレは聞いてないから、そのー……片付け、とか?するなら大丈夫だから……」
「……大丈夫、です」
予想と違う反応で、かなり弱々しい寧々の声。オレは少し不安な気持ちで保健室のドアを開けた。
「……寧々?」
寧々は、ベッドの上でオレの上着をひしと掴んで泣いていた。びっくりしたせいか、多少涙は止まったようだったが。
オレが寧々の元まで歩いて行くと、寧々は抱きついてきた。
「柊史君……」
オレは、寧々が落ち着くまで頭を撫でることにした。
学校からの帰り道。オレと寧々は、一度寧々の家に寄ったあと、オレの家に向かっていた。寧々のお泊まりセットを一旦取りに行くためだ。
ーー結局あの後、先生が来るまで寧々は何も言わずにオレに抱きついていた。
先生は、軽い貧血か何かではないかと言っていた。医者に行ってみることも勧められたが、寧々は断った。どうやら自分自身に心当たりはあるようだった。
目立った異常はないようだったので授業にも出て、部活は今日はお休み。そのまま帰路についた。
今日オレの家に泊まるのは、寧々自身の心当たりを聞くためだ。
……いやまぁ寧々の夕飯だったり、を楽しみにする気持ちもかなり大きいのだが。
寧々は、帰る間無言でずっとオレの腕にしがみついていた。伝わってくるのは少し甘いがほろ苦いような感情。何か声をかければ頷いていたし、軽い返事くらいはしていたので体調が悪いと言うわけではなさそうだ。
「ただいま」
「お邪魔、します。柊史君、キッチンを借りますね?すぐ作りますから」
いつにも増してしおらしい寧々は、小さな声でそういうと、キッチンへ向かった。
そろそろ慣れてきたのだろう。あまり迷わずオレの家のキッチンで料理を作ってくれた寧々。料理中もおかしいところはなかったし、料理もいつも通りとても美味しかった。でもそこが逆におかしい。昼はあれほどまでに発情していたかと思ったら、倒れた後は涙まで見せていた。しかし今はとても落ち着いている。
(そもそもあそこまで発情してーー)
「ーーうじくん。柊史君。」
「あ、あぁ、どうしたの寧々」
「どうしたの、じゃなくて柊史君がさっきからボーッとしてるんですよ?」
いつのまにか意識がどこかへ向いていたらしい。食後に机でボーッとしているところを寧々に注意されてしまった。
「いや、ごめん。なんでもない」
「……?そうですか」
「うん。寧々、先にお風呂はいっちゃってもいい?」
まとまった話をするなら夕飯も風呂も済ませて、落ち着いてからの方がいいだろう。そう思っていたオレは、食事も済ませたので先にお風呂に入らせてもらうことにした。
自分が落ち着ける時間が欲しかったのもある。だが、オレの心はすぐ乱されることとなった。
「あっ、あの……それは大丈夫なんですが……柊史君、がもし良かったら、なんですが……」
「?どうしたの、寧々?」
なにやら下を向いて声を絞り出すように話す寧々。
「一緒にお風呂、はいりませんか……?」
「…………えっ?」
(どうしてこうなったどうして断らなかった……!)
オレは、風呂場の中で自分の体を洗いながら心の中で叫び続けていた。寧々曰く、『色々と話したいこともありますから』らしい。
(これじゃあ落ち着けないし話なんて聞けないぞ……!?)
耳を済ませればすぐ近くから聞こえてくる衣摺れの音。寧々が服を脱いでいるのだろう。オレは、その音をかき消すようにゴシゴシと体を洗った。いくら全て見せ合った仲でも緊張するものはする。
(……童貞じゃないんだけどなぁ……)
「柊史君?はいりますよ?」
「えっ!?あっ、うん!」
そんなこんなを考えているオレに突如かけられた寧々の声。オレは盛大にびっくりした声を上げてしまった。ガラッという音と共に風呂に入ってくる寧々。流石にマジマジと見るわけにはいかないが、チラッと見ただけでオレは言葉を発することができなかった。
「ちょっと、柊史君。どうして洗っちゃってるんですか……?洗ってあげようと思ってたのに……」
「あ、ごめん……」
しまった。そこらへんのことを全然考えていなかった。少しいじけたような顔をしてそういう寧々。
「じゃ、じゃあ、寧々の体はオレが洗うから!」
そろそろ緊張でどうにかなりそうなオレは、思いもしなかった言葉を口にしてしまっていた。
(何言ってんだ!?それじゃあ自分に逆効果ーー)
「じゃあその……お願い、します……」
(……気張れ保科柊史……)
(……………………)
なるべく何も考えないように寧々の背中を洗う。白くて、柔らかくて、小さくてーー
(落ち着け……落ち着け……)
「あの、柊史君……?お昼の、話なんですけど……」
「……」
「……?柊史、君?あの、少し強いです、よ?」
「…………」
「ひゃふっ!?しゅう、じく、んんっ!?」
「……っ!?」
寧々の艶っぽい声でふと気がついた。意識を何も考えないことに集中しすぎてしまっていたらしい。
「ごっ、ごめん寧々!オレ、先に出てるから!」
「えっ、柊史君!?ちょっとまっーー」
寧々は何か言いたそうだったが、いい加減限界を迎えそうだったオレは、急ぎ気味で風呂場を後にした。
十数分ほど経った頃。風呂場のほうから音がする。どうやら寧々が出たらしい。オレは、自分の部屋で悶々としながら座っていた。
お昼の寧々の行動、突然一緒にお風呂にと誘われたこと、そして何より寧々の綺麗な体。健全な男が悶々とするには充分だった。
不意にコンコンと、部屋のドアを叩く音が聞こえた。
「柊史君、入りますよ」
「あ、うん」
ドアから顔を見せたのは、心なしか不服そうな顔をした寧々だった。寧々は、スタスタとオレの近くまで歩いてきたかと思うと、そのまま体をぴったりとつけてオレの横に座った。
「あの、寧々さん?」
「ぶぅぅ……」
……かなりご立腹のようだ。
「あー……ごめん、寧々」
「いいえ、いいんです。私が悪かったのは分かってますから。でも……あんなに急いで出て行かなくてもいいのに……」
「本当にごめん。寧々が魅力的だったから……」
「……そんなこと言っても、ダメですから……」
そうはいいつつも顔が真っ赤な寧々。オレの言葉に喜んではくれているようだ。
「えと、それは今は置いておいて……あのですね柊史君。さっきも一応言ったんですけど、お昼のことなんですが……」
「あぁ、うん。オレも気になってたところなんだ」
お風呂に入ったせいもあるのか、少し赤みがかった顔のまま、寧々はオレの方に向き直って話し始めた。
「本題から言います、ね?」
「うん」
「えっと、倒れちゃったのは多分発情のせい、なんです……」
大方予想通りだった寧々の言葉に、オレは黙ったまま耳を傾けた。
「朝、柊史君と一緒に登校しましたよね……?その時にキスしてくれたじゃないですか」
「そう、だね」
「あの時から、その……我慢してたんです。お昼まで」
朝から感じていた不安がまさに当たってしまったのだと、オレは自分の中で理解した。クラスが別なことも、お昼までは触れ合えないことが多いため、発情を促進させる理由の一つだっただろう。
(ん……?でも朝から?)
「えっと、寧々?一応朝は手を繋いで一緒に登校して、キスもしたよね?それでも、あんなになっちゃったの?」
オレの言葉に攻める意図はない。ただ、それだけで今回のようになってしまうなら、手を繋いでの登校や触れ合いすらもよく考えなければならなくなってしまう。
「……ほんとに気づいてないんですか」
「……?」
こっちをジトーッと見てくる寧々。寧々の希望通りにしていたつもりだが……(もちろんオレがしたくてしたのだが)
「……キスです」
「キス?」
「……頰にしましたよね、柊史君」
「うん。……えっ?まさか」
オレはハッとすると、寧々の顔を再びしっかりと見た。何も言わないで少し頰を膨らませているあたり、オレの考えは当たっているらしい。
「そうです。私は頰にキスして欲しいわけじゃなかったんです。それで我慢、して……あんな感じで……」
「あー……ごめん」
どうやら寧々が求めていたのは、朝から熱いキスだったようだ。オレはもう謝ることしかできなかった。謝りつつも、オレにはもう一つ聞きたいことがあった。
「……そうだ、それもそうなんだけど、泣いてたのは……?」
「それは……倒れた後、柊史君がいなくて、でも上着から柊史君の匂いがして……それがなんだか柊史君に会えなかった時を思い出しちゃって、寂しくなっちゃった……んだと思います。正直、私にもなんだかぐちゃぐちゃで分からなくなってしまって……」
あの時泣いていたのも、帰り道でのあの気持ちにも、ようやく合点がいった。要するに寂しかったのだ。計らずもオレが我慢させ、不安を与えてしまった。そう理解したとき、オレは自然に寧々のことを抱きしめていた。
「ごめん……本当に」
「……いいんです。今こうして、柊史君は私の所にいてくれますから」
寧々の声はとても穏やかで、幸せそうな声だった。流れてくる感情も、とても心地の良いものだ。
オレと寧々は、そのまま数分間抱き合っていた。ようやく腕を緩めたかと思うと、オレはすぐに寧々に軽いキスをした。
「んむっ……しゅう、じくん……」
「寧々……好きだよ」
謝るよりも、この気持ちを寧々にしっかりと伝えよう。それが一番、寧々が喜んでくれると知っているから。
「はいっ……私も、大好きですよ。柊史君」