「ーーそれが作戦だったんですか」
ハリーが張り付いたままのラリーを医務室に運んだあと、マリューに案内されたキラはユーラシア連邦のハインズと、ザフトのホークが待つアークエンジェルのブリーフィングルームに案内されて、今回の作戦内容を、両軍側からの意見を交えて説明を受けたところだった。
「ええ…状況から見れば間違いないし……私達には、何も知らされなかったわ」
「アラスカ本部はザフトの攻撃目標が、アラスカだってことを知ってたんだろうさ。それもかなり以前から。でなきゃ地下にサイクロプスなんて仕掛け、出来るわけがない」
マリューとムウの見解に、ハインズも頷く。
「きっと、どちらかに内通者が居たのだろうな……あるいは両方か……」
「都合のいい話すぎるからな。ザフトにとっても、そして地球側にとっても」
地球軍側からすれば、ザフトがアラスカに来ると分かれば戦略を立てられるし、ザフト側も電撃作戦として、各隊の統率よりも敵陣を突破することに躍起になるだろう。
どちらにしても、隙が多く生まれ、不審な点があっても誤魔化しが効くカバーストーリーを、いくらでもでっち上げることができる。
しかし、問題はどちらに利があるかだ。
今回の件では、アラスカで不穏分子…または非主流派の目障りな存在を消し去りつつ、ザフトの勢力を根こそぎ刈り取ることができる、サイクロプスを用意した地球側に利があっただろう。
となれば、内通者は地球軍側か……どちらにしろ、ザフトと地球軍を股にかけたダブルスパイがいることは確かだろう。
なんとも気にくわない話だ。
「それでアークエンジェル、マリューさん達は、これからどうするんですか?」
キラからの問いに、マリューは少し考え込む。
「たしかにーーーこのまま地球軍にって話にはならないわね」
「Nジャマーと磁場の影響で、今のところ通信は全く。PJたちのザフト軍はともかく、地球軍側は各艦の応急処置をして、自力でパナマまで行くんですかって話だな」
「それで?両手を上げて歓迎してくれんのかねぇ、いろいろ知っちゃてる俺達をさ」
ハインズとマリューにそう言葉をかけるムウに、二人は何ともいえない沈痛な面持ちになる。
「パナマに逃げ込んだサザーランドたちは、サイクロプスの不発で難を逃れた俺たちを、例の弾道ミサイルで消そうとまでしてきたんだぞ?」
一体何を考えてるやら……大して頭を使わなくても、彼らがやろうとしていることは、薄々想像がつく。
「そんな船が生きたまま地球軍の懐に帰還するとなれば……」
「少なくとも、命令なく戦列を離れた本艦は、敵前逃亡艦、ということになるんでしょうね」
きっと……いや、確実に事実無根な罪を上塗りされて。
「そして原隊に復帰しても、軍法会議からの銃殺刑。良くて罪状が追加される訳ねぇ…あーやだやだ」
ムウの見解に一同が首を縦に振る。つまり、この船に帰るべき基地も場所も、最早無いのだ。マリューは疲れた様子で椅子に座り込んだ。
「なんだか…何の為に戦っているのか解らなくなってくるわ」
アラスカに着けば、ハルバートン提督の意思を地球軍に伝えることができると信じていたのに。まるで用済みだと言わんばかりの仕打ちだ。本当に、提督が望んだストーリーなのだろうか?
すでにパナマに逃げた地球軍の上層部に対して、不信感を抱いているマリューには、到底受け入れられないことばかりだった。
「マリューさん。こんなことを終わらせるには、何と戦わなくちゃいけないと思いますか?」
ふと、投げかけらたキラの言葉に、マリューは「え?」と首を傾げた。
「何のために戦うのか。どうやってこの戦争を終わらせるのか…。僕達はーー僕は、それと戦わなくちゃいけないんだと思います」
そう呟くキラの瞳はーーここではない、どこか遠くを見つめているように見えた。
////
ザフトと地球軍の即席艦隊は、未だに休息の時を迎えられずにいた。
負傷兵の収容など、緊急を要する事の処理はできたが、肝心の点検作業などを後回しにしていた為、二つの勢力の心臓部とも言える整備クルーは、目が回る忙しさで作業に従事することになった。
「整備が終わったモビルスーツは、グレゴリアからモンテールに移動。余剰品は全てザフト艦のスプレッドに搬入だ」
「あぶれたモビルスーツは、甲板にしゃがめて格納だ。こっちにモビルスーツ用のハンガーなんて無いんだからな!」
地球軍の誘導員がディンを誘導して、甲板上に均等に格納していく。パイロットは降りるなり疲れたようにへたり込んだり、補助クルーから水分補給用のボトルを受け取ったりしている。
その格納されたモビルスーツの下では、ザフトと地球軍の作業着を着たクルーたちがぐるりと円を組んで、今後の段取りなどの打ち合わせを行っていた。
「とにかく、今は人手が足りん。とにかくそのマニュアル通りに、既製品の交換を手伝ってくれ」
「まかせろ。これくらいなら目隠ししてもできる」
「とにかく人手だ人手!!手を貸せ!!あと飯!!」
各班に分かれてそれぞれが点検作業に入る。給仕をするクルーも、代わる代わる入ってくる腹を空かせたクルーの食事を用意するために、てんてこ舞いだ。
そんな中で、日常消耗品などが入ったダンボールを運んでいたイザークは、モビルスーツの配線チェックをするニコルの足元に、大雑把にその荷物を降ろした。
「ニコル!とりあえずこの船のリストはこれで全部だ。確認しておいてくれ。ディアッカはあっちの手伝いだから、戻ってきたら休むように」
ニコルがイザークが親指で刺す方向を見ると、そこには各ディンのパラメータチェックをするディアッカの姿が見えた。
イザークは地球軍からの輸送物資を運び終えて、疲れた体を物資コンテナの上に下ろすと、さっき貰った水で喉を潤していく。
いくら海上とはいえ、赤道に近いここは暑さがキツイのだ。
「なんだか、変わりましたね。イザーク」
水を煽る彼に、ニコルは配線チェックのプログラムを走らせながら、何となくそう呟いた。
「ふんっ!そんなことはない!ただ……必要だと思うからやってるんだ」
「前なら、ナチュラルなんぞの手伝いなどできるか!馴れ馴れしくしやがって!くらい言ってたと思うのですが?」
「ぐっ…まぁ…たしかにそうだ」
赤面しながらも、自分の在り方を認めるイザークに、ニコルは微笑む。
「変わることは良いことだと思いますよ。僕も、それにディアッカも」
それからしばらく、潮の音とニコルが叩くキーボードの音だけが鳴り響き、二人の間に沈黙が降りた。
「アイツは……俺を撃たなかったんだ」
ふと、イザークが呟いた言葉に、ニコルの手が止まった。
「俺たちは戦争をしてるんだぞ!なのに…アイツは……くそっ!なんなんだよ…!」
そう言って、イザークは飲み終えた水が入っていたボトルを握り潰して苛立ったーーというより、戸惑った目で甲板を睨みつけた。
「今まで、ナチュラルなど俺たちコーディネーターに劣る存在だと信じて、悪だと信じて戦ってた。だと言うのに!くそっ!!」
なのに、彼らはーーナチュラルはーー物資搬入を手伝った時に、「ありがとう」と言ってくれたのだ。あれだけ憎み合っていたナチュラルとコーディネーターなのに。なのに、なぜ?感謝の言葉を言えるのだ?なぜ、敵と信じて戦っていた相手と酒が飲めるんだ?同じ釜の飯を食えるんだーーー?
そして、なぜ俺も、そんな日々を良いものだと心の中で思ってしまってるんだ!?
ザフトの赤服というプライドと、自分の目で見てきたもの。その差異が激しすぎて、イザークは自分の心に湧いた矛盾を処理しきれずにいた。
「僕たちも、何も知らなかったら、あのままサイクロプスに巻き込まれていたのでしょうか……あの兵士たちと同じように……」
ニコルの静かな声に、イザークはハッと顔を上げる。自分たちの直面するーーこの戦争の不明瞭さを、それを見て見ぬ振りをしてーーこれからも自分は戦っていけるのか?
「何が正しくて…何が間違っているか…か……」
ただ、状況に流されて、プライドと自尊心に従って戦っていたイザークの心に湧いたその疑問にーー簡単に答えは出なかった。
////
「オーブ?」
キラを解放したマリューたちは、そのままブリーフィングルームでこれから先のことを話し合うことにした。
ムウの発した言葉に、マリューは疑問の声を上げて、ナタルはさらに顔をしかめる。
「ああ。PJたちはともかく、俺たちは軍に戻りたいって気分じゃないだろ?」
そう言うムウに、マリューを含める地球軍側の士官たちは、戸惑いながらも頷く。
「まぁ、銃殺刑は確定しているようなものですものねぇ」
「我々も軍の部隊として機能させるには、なによりも補給と救援が急務となるな。PJはどうだ?」
ハインズの問いに、ホークはやや肩をすくめてから首を横に振る。
「我々はカーペンタリアへの帰投命令を伝令としては受け取っているが……まだ返事はしていない」
一応、生存している節は伝えてはいるが、航行不能が多いということで合流はまだ難しいと答えてはいる。
向こうとしても、救援班を出したいらしいが、サイクロプスとモルガンの影響で指揮系統がズタズタになったあげく、何機かがモルガンに巻き込まれたので、そちらの対応に必死なのだろう。
それに、ホークには気になることがあった。
「キラ・ヤマトーーあの少年が言ったこと。それに今回のこと。あのままアラスカ本部に侵攻していたら、我々も無知のまま、サイクロプスに焼かれるか、例のミサイルに粉砕されるかの運命を辿っていたんだ」
「内通者や、ザフトも一枚岩ではないということか」
「ああ。正直、我々の隊の者でも、宇宙に不信感を覚えてる者もいるからな」
不信、不明、不明瞭ーーーわからないことだらけだ。この戦争は、一体どこに向かって、何を成そうというのだろうか。
「何と戦わなくちゃいけない、か」
ハインズの言葉に、マリューたちは何も答える事はできなかった。
////
父との謁見のあと、アスランは何気なく訪れたオペラハウスで、偶然にもラクスにあげたピンクのハロを見つけ、その中へと歩みを進めていた。
片手に銃を携えて。
オペラハウスの劇場に入ると、そこには瓦礫をモチーフにした背景の中で歌う、ラクスがいた。
アスランは戸惑いながらも、舞台へと足を進めていく。
ラクスの透き通るような歌が聞こえる。
それはまるで、走馬灯のように記憶を蘇らせていきーー
〝これは昔、友達ーー親友に!大事な親友に貰った、大事な物なんだ…〟
〝僕は……僕は今でも、彼を大切に思ってる。いつも心から。だからーー〟
ふと、あのオーブで最後にキラを見た時を思い出した。幾度も剣を交えたというのに、まだ友達と言ってくれるキラに、自分は銃を向けた。
〝何を今更!討てばいいだろう!お前もそう言ったはずだ!お前も俺を討つとーー言ったはずだ!〟
〝この分からず屋!アスラン!ここで僕らが殺しあっても、戦争は終わらないんだぞ!!人が死んでいくんだぞ!これからも!この先も!!〟
〝だがーー俺には…俺にはこれしか残っていないんだ!!母を殺された憎しみで、引き金を引いた俺には…もうこれしか!!〟
それしか言えなかった。そんな自分を庇ってまでーーあの光の中に消えていったキラにーー俺は何をすればいいーーどうすればーー何が正しいと言うのだ!!
母の無念を晴らすために、核にまで手を出した父に従えばいいのか?
ザフトの軍人らしく、何も考えず、何も聞かず、何も知らないまま、ただ戦って、地球のナチュラルを滅ぼせばいいのか……?
自分は一体ーーどうすればいいんだ?
そんな答えのない問答を繰り返していると、手に収まっていたハロが飛び出して、歌い終わったラクスの元へと飛び跳ねていく。
「あら~ピンクちゃん!やはり貴方が連れてきて下さいましたわねぇ。ありがとうございます。ーーーお久しぶりですね、アスラン」
「ーーラクス」
「はい?」
いつもと変わらない様子のラクスに、アスランは戸惑う心のままに、声を出して問いかけた。
「……どういうことですか?これは」
「お聞きになったから、ここにいらしたのではないのですか?」
「では本当なのですか!?スパイを手引きしたというのは!何故そんなことを!?」
「スパイの手引きなどしてはおりません」
アスランの言葉を、ラクスは真っ直ぐとした声で否定した。
「私は、キラとラリーさんにお渡ししただけですわ。新しい剣を。今の彼らに必要で、彼らが持つのが相応しいものだから」
キラとラリー…?
キラ……?
アスランには、ラクスが言った言葉の意味が理解できなかった。
「キラ…?何を言ってるんです!キラは…あいつは…俺が……」
「生きていますよ、アスラン。貴方は彼を殺してはいません」
優しげに微笑むラクスに、アスランは肩の力が抜けていくような感覚に陥る。そんなーーあの光の中でーーキラは生きていたのかーー?
「キラは、貴方を心配していました。無事なのだろうかと……ずっと」
その言葉を聞いて、アスランは自分の中にある自己嫌悪の思いに思考を混乱させた。片手に収まっていた銃をラクスに向けて、大声で叫ぶ。
「うぅ…嘘だ!一体どういう企みなんです!ラクス・クライン!…そんなバカな話を…俺は……俺は……!アイツを!!」
「言葉は信じませんか?ではご自分で御覧になったものは?戦場で、久しぶりにお戻りになったプラントで、何も御覧になりませんでしたか?」
ハッと顔を見上げると、そこには優しげなラクスの笑顔はなく、真っ直ぐとした目でこちらを見るーーアスランの知らないラクスの顔があった。
「ーーラクス」
「アスランが信じて戦うものは何ですか?戴いた勲章ですか?お父様の命令ですか?そうであるならば、キラは再び貴方の敵となるかもしれません」
そう言って、彼女はやや顔を下げてから溢れる雫のように呟く。
「そして私も」
ラクスとーー敵になる。その意味を噛み砕いて飲み込んでーーアスランの中で、何かが音を立てて崩れたような音がした。
俺は、何をーー母の憎しみを晴らすためにーー親友ともーーそれに婚約者ともーー剣を交えることになるというのかーー?
戸惑うアスランに、ラクスは容赦なく真実の言葉を投げた。
「敵だというのなら、憎しみに任せて私を、その憎むもの全てを討ちますか?ザフトのアスラン・ザラ!」
「俺…俺は…」
気がつくと、銃を持っていたアスランの手は下がっていた。
俺はーー今の俺はーーー一体誰だ?
父の命令に従い、フリーダムとそれに関わる全てを破壊する殺戮者か?ただ命令に従うだけのザフト兵ーーアスラン・ザラか?
「ラクス様!!」
その声にアスランは反応すると、オペラの舞台裏から、若いザフト兵がラクスの元に駆け寄ってくるのが見えた。
それと同じように、オペラ壇上を囲うように黒服の男たちも姿をあらわす。その全員の手には銃が握られていた。
「御苦労様でした、アスラン・ザラ」
「ーーなんだと!?」
ひとりの黒服がアスランの前へと歩みよってくる。サングラスで姿を隠す男は、卑しく笑みを浮かべてアスランに手を差し出した。
「流石婚約者ですな。助かりました。さ、お退き下さい」
アスランは自然と、警戒するように銃に力をかけて、ラクスと黒服の間を隔てるように立つ。その様子を見て、黒服は「いけませんねぇ」と肩をすくめた。
「なにをするつもりですか?ーー相手は国家反逆罪の逃亡犯です。やむを得ない場合は射殺との命令も出ているのです。それを庇うおつもりですか?」
「父がそう言ったのか……?ラクスは……まだ俺たちと同じ歳で……ふざけるな!」
「君たちの歳には、まだ分からない話もあるのですよ」
さぁ、はやくどいて下さい。あなたを殺すと議長への説明が少々めんどくさくなる。そう言って銃を向ける黒服の男に、アスランは舌を打った。こいつらーー自分を殺すことすら想定済みということなのかーーあるいは、父も?
「それが、貴方たちの本性ですか?ザラ派の皆様」
そんなアスランの後ろで、ラクスは毅然とした態度で黒服の男に問いかける。
「ええ、我々の目的のためーー貴方たちにはここで果てて頂きます」
ガチャリと撃鉄を起こす音がして、アスランはとっさに銃をあげる。
その瞬間、銃声が響いた。
「うぐぁ…!」
目の前にいた黒服の男の手から銃が跳ね上がると、何発もの銃声が鳴り響き、ラクスを取り囲んでいた黒服たちを撃ち抜いていく。
アスランが周りを見渡すと、すでに何人かーーいや、一個小隊はあろうか、そんな人数のザフト兵が、黒服たちを蜂の巣にしていたのだ。
「お…おのれ…ナチュラルに加担する売国奴どもが………!」
そう途切れ途切れに呟く目の前の黒服の男は、手から流れた血に顔を歪めながら、懐からナイフを取り出す。
「しねぇ!!!!」
そう叫んで疾走しようとした黒服の男は、アスランが放った弾丸を額に受けて、まるで糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。
ふーっとアスランが息を吐きだし、しばらくの沈黙に包まれたあと。
「ラクス様」
振り返れば、彼女の名を呼んで手を取るザフト兵と、伏せていたラクスが起き上がる様子が目に入った。
「ありがとう、アスラン」
立ち上がると彼女はアスランに頭を下げる。若いザフト兵は焦るように、ラクスに耳打ちをした。
「もうよろしいでしょうか、ラクス様。我等も行かねば…」
「はい。貴方の隊長をお待たせるわけにもいきませんからね。ではアスラン、ピンクちゃんをありがとうございました」
「マイドマイド」
それだけ言って、アスランの横を過ぎ去ろうとするラクスをーー。
「ラクス!俺は……俺は……」
呼び止めたアスランは、上手く言葉が見つからずに、しどろもどろにラクスと壇上の床へ視線を彷徨わせる。
「キラは地球です」
言わなくてもわかるーーそう言うように、ラクスはアスランの方に振り返って言葉を紡いだ。
「アスラン。貴方は、貴方の心に従いなさい」
「俺の……心」
「父親の言葉でもなく、ザフトのアスラン・ザラでもない。貴方の心に」
自分の心にーー従う。そんなラクスの言葉が、アスランの思考の中で反響していく。
「俺は……」
「私は、その答えが出た先で待っておりますから」
「ラクス…!」
その言葉を最後に、アスランの前からラクスたちは姿を消していたのだった。
////
《A55警報発令、放射線量異常なし。進路クリアー。全ステーションで発進を承認。カウントダウンはT-200よりスタート》
ザフト設計局の工廠。フリーダムやホワイトグリントとは別口のそこでは、X09Aジャスティスの発進準備が着々と進められていた。
〝殺されたから殺して、殺したから殺されて、それでほんとに最後は平和になるのかよ!〟
〝アスランが信じて戦うものは何ですか?〟
〝貴方は貴方の心に従いなさい〟
《T-50。A55進行中》
コクピットの中で、アスランはこれまで見てきたもの、感じたもの、それで自分が何を思い、何を成したいのかを必死に考えていた。
そして、きっとそれは、難しいことではないのだろう。自分は、あまりにも遠回りをしてしまった。長い、長い遠回りをしたのだ。
だからーー。
(キラ…俺は、お前に話をしなきゃならないことがたくさんあるんだよな)
《X09A、コンジット離脱を確認。発進スタンバイ》
(だから、聞かせてくれ。お前の思っていることを……お前が何を成そうとしているのか)
送電用のケーブルが外され、灰色だった機体が赤く染め上げられていく。きっと自分が選ぶ道は険しいものだろう。だが、進まねばならない。
この思いにーー答えを出すためにも。
《進路クリアー、我等の正義に星の加護を》
「了解、アスラン・ザラ、ジャスティスーー出る!」
キャラデザイン
-
他キャラも見たい
-
キャラは脳内イメージするので不要