ガンダムSEED 白き流星の軌跡   作:紅乃 晴@小説アカ

194 / 213
エピローグ
第185話 極東を訪ねて


 

 

 

2年前。

 

地球と宇宙を巻き込んだ戦争があった。

 

いや…戦争ならば、遥かな昔から何度となくあった。

 

ナチュラルとコーディネーター。二つの種族。前者は地球、後者は宇宙と別れ、コーディネーターは宇宙というフロンティアを開拓し、そして自らの独立と種族としての威信をかけて、青き地球へと攻め入った。

 

撃てば撃ち返す戦争。彼らは自分たちが疲弊していることに気づかなかった。

 

前進と後退を繰り返しては、自然の豊かさと富を失い続ける戦争。両軍は比類無き工業力を養い、それを武器に最後の戦いを挑んだ。

 

それが2年前の戦争。まさに終末戦争の有り様だった。

 

彼らは猛々しく戦いーーそして散っていった。

 

互いに核兵器を使う愚さえ犯した軍。その無惨を目の当たりにした人々は、自らの武器を捨てようと心に誓った

 

 

 

 

 

世界に平和が訪れた。

 

 

 

 

 

 

オーブ首長国連邦。

 

カグヤ国際宇宙センター。

 

大戦後、混迷する地球の経済状況をユーラシア連邦と共に建て直しのために奔走し、今では地球圏で多大なる影響力を持つことになった島国に、私は足を踏み入れた。

 

季節は夏。

 

照りつける太陽が、宇宙と地球を結ぶ船から降り立った私へ降り注ぐ。その視線の先を、幾つかの戦闘機が横切っていくのが見えた。響くエンジンの音。青い空の中を飛行機雲を作って飛んでゆく。

 

皮肉にも、平和から最も遠いこの島で平和を守って飛ぶ彼ら。

 

現地球連合政府に反発する組織が、跋扈する地球圏。オーブの軍人たちは、その脅威から人々を守るために空を飛び続けている。アズラエル財団や、ブルーコスモスの一派も、地球に撃ち込まれたNジャマーを撤去する作業や、エネルギー事業の復興に注力してるものの、まだ地球圏の再建には時間がかかるようだ。

 

私はポケットに入れていた一枚のメモを取り出して、最寄りのタクシーへと乗り込んだ。

 

向かう先はすでに決まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

先祖代々から、ジャーナリストとして生計を立てて来た私が、なぜプラントからこの国へとやって来たのか。

 

大戦時。

 

あの歴史的なアプリリウスの演説が行われた時から、私はヤキンドゥーエ戦役に貢献したあるパイロットの足取りを追っていた。だが、彼らのことを多く語る人物はおらず、その存在も秘匿されるものであった。

 

流星。あるいはネメシス、メビウスライダー隊。

 

いくつもの呼び名を持つ彼らは、地球も宇宙も関係なく、泥沼化した終末戦争を終わらせるために戦った勇者たちだ。

 

大戦から一年と数ヶ月。彼らの痕跡を辿ることすらできなかった私のもとに、ある情報が飛び込んできた。

 

 

 

 

 

始まりはーーーヘリオポリスだった。

 

 

 

 

大戦時。戦争の分岐点となった地球軍のモビルスーツ開発を極秘で行なっていた、オーブ首長国連邦が有するコロニー、ヘリオポリス。

 

ザフトの急襲を受け、モビルスーツは奪取され、コロニーにも深刻な被害がもたらされた。破壊された港口が応急的に復旧し、コロニーの修復が急ピッチで行われている。

 

住人も戻り、中立国として謳歌していた姿を取り戻しつつあるヘリオポリス。

 

流星のことを調べる私の元へ連絡をして来たのは、ヘリオポリスのカレッジで講師をし始めた、元ザフト軍のパイロットだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

キャラデザイン

  • 他キャラも見たい
  • キャラは脳内イメージするので不要

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。