ガンダムSEED 白き流星の軌跡   作:紅乃 晴@小説アカ

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主人公のビジュアルがやっとまとまったので上げます

リークやハリーのキャラデザも上げていこうかと思いますがどうでしょうか?アンケートとったほうがいい?


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第93話 死中に活

 

アークエンジェルの頭上で繰り広げられる空中戦は、苛烈を極めていた。

 

飛び抜けるスカイグラスパーと、アークエンジェルの甲板に離着陸を繰り返すエールストライク、そしてグゥルに乗るG兵器群。

 

意気揚々と奇襲してきたザフト側であったが、アークエンジェル所属の戦闘部隊の抵抗は激しく、未だに大きな一手を打てずに、手をこまねいていた。

 

「アスラン!退け!」

 

『くぅうう!!』

 

一瞬の隙を突かれてシールドで払い打たれたイージスは、グゥルから落ちそうになりながらも、なんとか機体制御で踏みとどまる。しかし、その無防備さをキラが見過ごす訳もなく、両足を断とうとビームサーベルを構えてイージスへ迫った。

 

『アスラァーン!』

 

と、そこでストライクのいく先をバスターの拡散弾が遮る。驚異的な反応速度でその乱れ弾を避けたキラは、サイドモニターに映るバスターを捉えた。さらに引き離そうと、バスターは両肩に備わる小型ミサイルを発射する。

 

「バスターか!そこっ!!」

 

キラはストライクの頭部に備わるイーゲルシュテルンで、直撃コースにあるミサイルを的確に打ち抜き、腰アーマーに格納されているアーマーシュナイダーを引き抜くと、両肩のハッチが解放されたバスターめがけて投擲した。

 

『こいつ!こんな芸当まで!?うわっ!』

 

ミサイルポッドにアーマーシュナイダーが深々と突き刺さり、残っていたミサイルが小さく誘爆する。いくらフェイズシフト装甲が優秀とは言え、内部から爆破されたらひとたまりもない。右肩のアーマーを失ったバスターは、大きく後退することになる。

 

『ディアッカ!』

 

『くそー!こいつ…マジでヤバいぜ!』

 

残った片腕で拡散砲とビーム砲を連結させようとするバスターに、一機のスカイグラスパーが迫る。

 

「キラー!!」

 

「トール!!ボルドマン大尉!!」

 

バルカン砲、ミサイル、そして背部に備わったランチャーストライカーから放たれるアグニの連打で、バスターは好機を失いアスランと共に一度離脱する。

 

『くそ!戦闘機まで…こうも手こずるとは…!!』

 

キラはコクピットの中で流れ落ちる汗を拭う。事は優勢に運んでいるが、パイロットであるキラにかかる負荷はごまかせない。集中力が切れるのも時間の問題だ。

 

「ライトニング2!あまり一人で出過ぎるな!消耗してはどうにもならんぞ!」

 

トールと共に乗るアイクがキラに忠告するが、ここで下がれるほど相手が甘くないのも確かだ。

 

「はい!ですが、このままじゃジリ貧で…!!なんとかしないと…!!」

 

「ボルドマン大尉!あれは!」

 

そんなキラとアイクの言葉を遮ったトールが指差した先。そこには、ザフトでも地球軍でもない艦隊が洋上に姿を現していた。

 

 

////

 

 

「領海線上に、オーブ艦隊!」

 

「なに!?」

 

サイの発した言葉にナタルが焦ったように振り返る。モニターを確認すれば、確かにオーブ艦隊が領海線上に集結しているのが見えた。

 

「助けに来てくれたの…?」

 

「そんなわけないだろ!」

 

カズイの言葉をオペレーターが一喝して黙らせる。オーブといえば絶対中立を謳う国家だ。そんな国家の目と鼻の先でザフトと空中戦を繰り広げてるのだから、艦隊を引き連れて現れるのも当然。おそらく、「中立である我が国から離れて戦闘をしろ」という態度の現れなのだろう。

 

「領海に寄り過ぎてるわ!取り舵15!」

 

「しかし!それでは敵の方に…!!」

 

「これ以上寄ったら、あの艦隊に撃たれるわよ!オーブは友軍ではないのよ?平時ならまだしも、この状況では…」

 

「構うことはない!」

 

マリューの指示を遮ったのは、ブリッジに入ってきたカガリだった。扉の方には遅れてキサカも入ってくる。

 

「このまま領海へ突っ込め!オーブには私が話す!早く!」

 

「カガリさん…!?」

 

あまりにも突拍子の無い言葉に戸惑うマリューたちクルーを他所に、通信管制を務めるミリアリアの方へけたたましいアラームが鳴り響いた。

 

「展開中のオーブ艦隊より、入電!」

 

モニターに出します!と言い、映し出された映像には、オーブ軍の制服に身を包んだ老歴の軍士官が苛立った様子で投影された。

 

《接近中の地球軍艦艇、及び、ザフト軍に通告する。貴官等はオーブ連合首長国の領域に接近中である。速やかに進路を変更されたい。我が国は武装した船舶、及び、航空機、モビルスーツ等の、事前協議なき領域への侵入を一切認めない。速やかに転進せよ!》

 

マリューはその通告に歯を食いしばった。このまま転進すれば、せっかく逃げてきたザフトの方へ戻ることになる。しかも無視して進めばオーブ軍の砲撃の餌食だ。

 

《繰り返す。速やかに進路を変更せよ!この警告は最後通達である。本艦隊は転進が認められない場合、貴官等に対して発砲する権限を有している!》

 

「攻撃って…そんなぁ…」

 

「何が中立だよ。アークエンジェルはオーブ製だぜ?」

 

カズイとノイマンの言葉も尤もだが、この船はあくまで地球軍保有の軍艦だ。オーブ軍が保護する理由はどこにもない。かといって、匿ってもらう交渉のカードもこちらにはない。

 

ーーーどうする。

 

マリューが考えあぐねている間に、カズイの座席に回り込んだカガリは乱暴にマイクを奪って叫んだ。

 

「構わん!このまま領海へ向かえ!」

 

続いて、誰の制止も聞かずにカガリはモニターに映る士官を睨みつけて更に叫ぶ。

 

「この状況を見ていて、よくそんなことが言えるな!アークエンジェルは今からオーブの領海に入る!だが攻撃はするな!」

 

《な!?なんだお前は!》

 

「お前こそなんだ!お前では判断できんと言うなら行政府へ繋げ!父を…ウズミ・ナラ・アスハを呼べ!」

 

こういった時に、自分の立場をひけらかすことをカガリは嫌っていたが、状況が状況だ。とやかく言ってる時はない。故にカガリは、自分が信じる最善の答えを声高らかに発した。

 

「私は…私はカガリ・ユラ・アスハだ!」

 

 

////

 

 

《アスハ…か。まさかそんな人物が足つきに乗っていたとはな。面白い》

 

広域放送で聞こえたカガリの声に反応して、戦闘をやめたクルーゼとラリー。カガリの正体を知って可笑しそうに笑うクルーゼを見ながら、ラリーは絶え絶えな息を整えてクルーゼに問いかける。

 

「どうするよ、クルーゼ。このまま決着をつけるか?」

 

《ふん、余計な横槍が入ってはつまらんからな。ここが退き時のようだ》

 

確かに、このまま戦闘を続けてもオーブ軍からの介入を受ける可能性が高い。クルーゼにとってラリーとの戦いに邪魔が入るのは面白くはないようだ。

 

次の戦いを楽しみにしているよ、と言い残して、クルーゼはディン・ハイマニューバの出力を上げて、ラリーの前から後退していく。

 

また、腕を上げたな。クルーゼ。

 

それを見送りながら、ラリーは疲弊した体をどっかりとシートへ預けた。

 

「ほんと、自由だよな…あいつ」

 

「んはぁっ!!なんだ!?どうなった!?」

 

「おう、おはよう。バルトフェルド。とりあえずこっちの戦闘は終わったよ」

 

腕を上げたクルーゼの機動は凄まじく、ラリーはミシミシと鳴る体に鞭を打って、最大限の機動で応戦していた。バルトフェルドはどこからか意識を失っていたようだが、ラリーにとっては、あの機動に耐えられるクルーゼのしつこさに飽き飽きしているところだった。

 

「君たちの戦闘はいつも…ああなのか?」

 

「んー、割とな」

 

「君は本当にナチュラルなのか…?」

 

「言うな。自分でも最近疑いだしてるんだから。とにかくアークエンジェルの空域に戻るぞ」

 

それだけ言うと、ラリーはスピアヘッドの出力を上げてキラたちが戦う空域へと戻っていく。クルーゼは退いても、戦いはまだ終わっていない。

 

 

////

 

 

 

「アスハって…」

 

「代表首長の?」

 

カガリの発言により、ブリッジは一時的に混乱の中にあった。マリューはカガリを見る。アフリカでレジスタンスに加わり、戦場を走り回っていた彼女がオーブの姫君だったとは……彼女が特殊な存在であるとは思っていたが、つくづく現実とは小説よりも奇なりと思い知らされる。

 

《何をバカなことを、姫様がそんな船に乗って居られるはずがなかろう!》

 

「なんだと!」

 

まぁ当然だなとブリッジクルーが全員頷いた。仮に姫君だったとしても、それを証明する証拠が少なすぎるのが痛い。

 

《仮に真実であったとしても、何の確証も無しにそんな言葉に従えるものでは…!!》

 

そこでアークエンジェルは再び揺れに襲われた。マリューがモニターを見ると、まだ空中戦が繰り広げられている中で、バスターが包囲網を抜けてこちらに向かってくるのが見えた。

 

『ご心配なくってね!領海になんて入れないさ!その前に決める!』

 

「毎度毎度ぉ!」

 

包囲網を抜けたバスターに追いすがるムウのスカイグラスパー。進路を阻まれたバスターはオーブ軍が展開する海域へ近づくように距離を取ってしまう。あわててアスランがディアッカに通信を投げた。

 

『ディアッカ!オーブ艦に当たる!回り込むんだ!』

 

『そんなこと!くそっ!はっ!?』

 

バスターのコクピットにアラームが響く。とっさにサブモニターを見ると、翼端からビームサーベルを展開したスーパースピアヘッドがバスターの脇を通り過ぎていった。

 

「ほら!お前らもさっさと退くんだよ!」

 

グゥルの翼を切り裂かれたバスターは、姿勢制御を失いながらゆっくりと落ちていく。

 

『凶星〝ネメシス〟か!?くそ!クルーゼ元隊長は仕留めきれなかったのかよ!!』

 

「よそ見!!」

 

すかさず態勢を崩したバスターに、キラのストライクが飛び蹴りをお見舞いし、耐えきれなくなったバスターは太平洋に向かって落下していった。

 

『うわぁああ!!』

 

『ディアッカ!!くそ…バケモノめ!!』

 

そう言ってアスランは、悪あがきと言わんばかりにモビルアーマー形態に変形し、胴体部に備わるスキュラにエネルギーを充填していく。

 

狙いはもちろん、アークエンジェルのエンジンだ。

 

「このままでは…!艦長!」

 

「取舵20!!」

 

「え!?」

 

マリューが放った言葉にノイマンは驚いたような声を上げたが、訳を話す時間もマリューにとっては惜しかった。

 

「急いで!!うまくやってよ…!」

 

その言葉でノイマンは察したのか、アークエンジェルの船体を傾けていく。その姿勢はイージスのスキュラの射線上に被っていた。

 

放たれたアスランの攻撃は、アークエンジェルの脇を掠めてエンジン部の端を焼け焦がす。

 

「1番2番エンジン被弾!48から55ブロックまで隔壁閉鎖!」

 

「推力が落ちます!高度、維持できません!」

 

わかっていた結果だが、揺れは激しいもので。あとはノイマンがいかに衝撃なく着水できるかに掛かっている。マリューはふぅと艦長席へと身を下ろした。

 

「これでは、領海に落ちても仕方あるまい」

 

してやったりと言うふうに、キサカがマリューに話しかける。それを聞いて、マリューは脇に置いてあった地球軍の帽子を深く被って彼を見つめた。

 

その姿はどこか、飄々としてるドレイクの風貌を感じさせるものだ。

 

「ええ、けど、言ったからにはどうにかしてくれるのでしょう?」

 

「第二護衛艦群の砲手は優秀だ。上手くやるさ」

 

「分かりました。今はこの手しかありませんものね」

 

そう微笑んで言うマリューに、キサカはいつもの仏頂面で頷く。その言葉を聞いて、アークエンジェルはメビウスライダー隊を引き連れたまま、遠慮なくオーブ軍が展開する海域へその身を落としていくのだった。

 

 

 

 

 

キャラデザイン

  • 他キャラも見たい
  • キャラは脳内イメージするので不要

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