アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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冒頭のメタが激しい気がするけど、この小説的には平常運航です。


Lesson143 Go on without fear!

 

 

 

「最近始まり方がマンネリ化してる気がするんだよ」

 

「……一応聞いてやるよ」

 

 唐突な始まり方だったが、珍しく冬馬は聞く姿勢を見せた。

 

 そもそも第四章に入ってからやたらと凛ちゃんからの近況報告を聞いてそこから話が始まるパターンが多すぎるのだ。

 

 この章におけるメインキャラは凛ちゃんで、彼女が参加しているシンデレラプロジェクト、引いては346プロダクションが舞台。当然そこに俺はおらず、まず彼女たちの状況を知る方法が限られているからそうなるのは仕方がないといえば仕方がない。

 

「しかし、だからと言ってそのパターンばっかり続けてると『はいはいいつものいつもの』とホープやおっPと同じ扱いをされてしまう可能性が出きてしまう。ここまでは分かるな?」

 

「心の中で完結させて口に一切出してないから何が言いたいのか全く分からん上に、逆にそいつらが出てこなかったら物語としてアレだろという意見もあるが、とりあえずお前が現状に不満を持ってるってことだけ分かった」

 

 それだけ分かってもらえれば十分だ。

 

 さて、これだけいつも以上にメタメタな発言をしながら何が言いたいのかというと――。

 

 

 

「えっ!? 周藤良太郎っ!?」

 

「嘘ぉ!? そっくりさんじゃないの!?」

 

「ジュピターの天ヶ瀬冬馬も一緒にいるから、もしかするともしかするかもしれねーぞ!?」

 

「しかもあのピンク髪は城ヶ崎美嘉じゃね!?」

 

「何その組み合わせ超気になる!」

 

「とりあえずサイン貰わなきゃ!」

 

「色紙買ってこなきゃ!」

 

「サインペン買ってこなきゃ!」

 

「生まれてきたことに感謝しなきゃ!」

 

「正拳突き一万本しなきゃ!」

 

 

 

「こうやって大勢の人に追い掛け回されながら始まるお話があってもいいよな!」

 

「……言いたいことはそんだけかてめええええぇぇぇ!?」

 

「はぁ、はぁ、二人とも話してる場合じゃないですってー!?」

 

 ドドドドッというまるでアニメや漫画のような効果音がリアルで後ろから聞こえてくる中、俺と冬馬と美嘉ちゃんは街中をひた走っていた。体力強化訓練@高町ブートキャンプを施されている俺と冬馬だけならばもう少し楽に撒けるとは思うのだが、流石に息を切らして走る美嘉ちゃんを一人残していくわけにはいかないので、若干スピードを抑えながらそれでも全力で逃げる。

 

「そうか、これがファンに追い掛け回されるアイドルの気持ちって奴なのか……みんな大変な思いしてんだなぁ」

 

「それをお前の口から言われるとなんか腹立つんだよ! 普段見つかったこと無いくせにこんな時に限って身バレしやがって!」

 

「まだ完全にバレてないからセーフセーフ」

 

 あくまでもそっくりさんだから。逃げてる時点でアウトな気もするけど。

 

「というか、はぁ、ここまで追い掛け回されるのは間違いなく良太郎さんだからですからね!? はぁ、はぁ、私が一人街中でバレてもここまでの騒ぎにはならないですからね!?」

 

「どうでもいいけど美嘉ちゃん、息遣いがエロいね」

 

「「本当にどうでもいいわっ!」」

 

 美嘉ちゃんと冬馬がハモる。最近いい感じに美嘉ちゃんとの距離感も縮まってきたようで何よりだ。

 

「もーっ! 早く莉嘉たちを探しに行かなきゃいけないのにー!」

 

「俺だって仕事だよっ!」

 

 そんな美嘉ちゃんと冬馬の叫びを聞きながら、果たしてどうしてこのようなことになったのかという過去回想を始めようと思う。

 

 若干この展開は蘭子ちゃんの時と被ってたなぁと思いつつ、今から時間を約一日ほど遡り、更に視点を凛ちゃんに明け渡すことにしよう。

 

 

 

 

 

 

「え、『PIKA(ピカ) PIKA(ピカ) POP(ポップ)』とコラボ!?」

 

 どうも、そのようだ。

 

 今日も今日とて346プロ、シンデレラプロジェクトのために用意された一室に集まった私たち。

 

 どうやら今回デビューする莉嘉・みりあ・きらりのユニット『(でこ)レーション』が有名ブランド『PIKA PIKA POP』とコラボレーションすることになったらしい。

 

 何でも彼女たちをイメージキャラクターに据えてイベントを行い、なんと彼女たちのグッズまで制作販売されるとのこと。これにはみくもアイドルとしてのデビュー云々とは別の意味で「えぇ~いいにゃ~……」と羨ましがっていた。

 

「これもぉ、CDの宣伝なんだよねぇ?」

 

 両脇を莉嘉とみりあに挟まれながらソファーに座って説明をしていたプロデューサーの後ろからきらりがそう尋ねると、彼はいつもと変わらぬ低い声で「はい」と頷いた。

 

「期間中は買い物袋(ショッパー)や店内BGMも凸レーションです。CDの発売日前後には、露出は多ければ多いほど――」

 

「Pくんのエッチー!」

 

「――えっ……?」

 

 突然「きゃー!」と楽しそうな声を上げた莉嘉に、プロデューサーは困惑した表情を浮かべた。

 

「お姉ちゃんに言ってやろー!」

 

「は……?」

 

「プロデューサー、えっちなの?」

 

「えっ!? いや……!?」

 

「りょうお兄ちゃんよりも?」

 

「……それは、えっと、その……」

 

 否定したいけれど、否定したらしたで他事務所の良太郎さん(トップアイドル)に対して失礼な物言いになってしまうと考えているのであろうプロデューサーが返事に困窮していた。

 

「え、えっと、みりあちゃん? 莉嘉ちゃんが言った『えっち』ってどういう意味か分かってるのかにゃ?」

 

「んーん、知らなーい。でもクラスの子が『周藤良太郎はえっちだけど、逆にそれがいい』って話してたから」

 

「そ、そうなのにゃ……」

 

「? どーいう意味なの?」

 

「みりあちゃんはまだ知らなくていいにゃ……」

 

 みりあはこのまま穢れなく育ってもらいたいものだ。

 

 というか、女子小学生にまでそういう認識(周藤良太郎はエッチ)をされているのは如何なものか。いくらブレないからといって限度があるだろう。あとそのみりあのクラスメイトも色々と大丈夫だろうか。……いやまぁ、実はそれが世間一般的な周藤良太郎に対する評価なのだということは知っているが。

 

「Pちゃんが言ってるのは、メディアへの露出のことだと思うよぉ?」

 

 そんなプロデューサーにフォローしたのは、後ろからニコニコとそんなやり取りを見ていたきらりだった。普段はエキセントリックな発言が目立つ彼女だが、実はこのプロジェクトでも数少ない常識人である。

 

「なぁんだ、そっちかぁ」

 

 肩をすくめてガッカリした様子を見せる莉嘉だったが、やはり分かって言っていたようだ。

 

「ちなみにアタシは露出多めでも全然オッケー! Pくんの好きにしていいよ?」

 

 ウフンとセクシーポーズを決める莉嘉にみりあときらりが拍手を送ると、彼女は増々得意げにフフンと鼻を鳴らした。

 

「……け、検討しておきます」

 

 反応に困ったプロデューサーは、とりあえずそう答えることでお茶を濁すのだった。

 

 そんなプロデューサーたちの様子を見て、私の対面に座っていたアーニャがクスリと笑った。

 

「フフッ、楽しそう、です」

 

「遊ばれてるだけだって」

 

 それにしても、コラボである。今回彼女たちがコラボするブランドは私の好みではないので然程羨ましいとは思わないが、それがもし自分の好きなブランドやお店だったらと考えると少々羨ましくなったりする。

 

 先ほどプロデューサーやきらりが話していたように、コラボとは簡単に言ってしまえば宣伝だ。ピカピカポップとコラボすることで、そのお店に訪れた客に彼女たち凸レーションを知ってもらうことができる。要するに、私たちアイドルたちの広告塔になってもらうのだ。

 

 ちなみにアイドル側の知名度が高くなることでこの関係性は逆転し、アイドルに宣伝してもらうことでお店や商品の知名度をあげようとするのが、所謂イメージキャラクターというお仕事だ。そういう立場になった時、アイドルは一種のブランドとして扱われるようになる。要するに『誰々も愛用している』『誰々が通っている』という箔を付けることが出来るようになるということだ。

 

「おぉ……リン、詳しいですね」

 

「全部良太郎さんからの受け売りだけどね」

 

 今しがたアーニャに話した内容は、全部先日良太郎さんから聞いた『アイドルというお仕事についてのアレコレ』の一部分である。

 

 良太郎さんは最近私の近況を聞きによく顔を出してくれるのだが、それと同時にたまにアイドルの先輩として色々な話を聞かせてくれるのだ。たまに『それ良太郎さんだけだから』とか『絶対にそれアイドル関係ないよね』みたいな話も混じっているが、それでも普通に勉強になる話も多い。

 

 

 

 ――凛ちゃんもいずれ、渋谷生花店の広告塔になる日が来るよ。

 

 

 

 良太郎さんはハナコと遊びながらそんなことを言っていたが、正直まだ想像出来ない。何せまだ街中を歩いてもアイドルだと気付かれないのが現状だ。

 

 しかしいつの日か、ウチの店が『アイドル渋谷凛の実家』として有名になる日が来る……のかもしれない。……それより先に『周藤良太郎が昔から利用している花屋』としての箔が付いてもおかしくないが。

 

「リンとリョータローもハロシィドゥルーク……仲良し、ですね」

 

「……そう、かな」

 

 確かに頻繁にウチのお店に顔を出してくれるから、良太郎さんとの会っている回数だったら少なくともプロジェクトメンバーの中ではみりあにも負けていないとは思う。

 

 

 

「流石、リンはリョータローの、担当ですね!」

 

「待って」

 

 

 

 ニッコリと素晴らしい北の大地の笑顔で告げられた言葉に待ったをかける。

 

「えっと……アーニャ、その言葉誰から聞いた?」

 

 お願いだから担任教諭的な意味合いであってほしい。

 

「ミオが言ってました。『いやぁ何だかんだ言って良太郎さんに対するツッコミはしぶりんがやってくれるから、これはもう担当みたいなもんだよね!』と」

 

「あの野郎……!」

 

 アーニャの物真似がやたらと似ていていつもの片言は何処に行ったのかと、そこら辺がどうでもよくなるぐらいあの黄色いお調子者に怒りが湧いた。自分は安全圏から傍観できるからって……!

 

 何というか良太郎さん自身は嫌いではないのだが、その騒動に巻き込まれツッコミに回らざるを得ない立場になるのが嫌なのだ。かつては私も傍観者だったが、いざこうして自分にお鉢が回ってくると嫌な顔をせざるを得ない。

 

「はぁ……誰かこの苦労というか立場を肩代わりしてくれる人いないかなぁ」

 

 そんな私の願望の呟きが、一時的にとはいえまるで呪いのように本当に『誰か』にかかってしまうことになるとは当然知る由もないのである。

 

 

 




・凛ちゃんからの近況報告
だって一番簡単な導入方法だし(震え声)

・ホープやおっP
「はいはい、ホープホーp……ビッグアイ!?」

・「生まれてきたことに感謝しなきゃ!」
・「正拳突き一万本しなきゃ!」
感謝するぜ。お前(楓さん)と出会えた、これまでの全てに!

・『凸レーション』
莉嘉・みりあ・きらりのユニット名。
よくよく考えたらパッションジュエル001の左三人がそのままユニットになったのか。

・『周藤良太郎はえっちだけど、逆にそれがいい』
なお容疑者(良太郎)は『えっちなんじゃなくて、誰よりも男の子なだけだよ』などと供述しており(ry

・「誰かこの苦労というか立場を肩代わりしてくれる人いないかなぁ」
一体何ヶ崎何嘉なんだ……!?



 相変わらず回想に辿り着きませんが、仕様です。

 今回は凸レ回にも関わらず、今まで以上に三人に関われそうにないぞ……。

 その代わり、某ヶ崎某嘉との絡みが多い模様。……凸レ、回……?
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