アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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クローネ編が始まったと思ったら、いきなりアイマスキャラがおまけ以外に登場しない不具合(平常運行)


Lesson199 Please get into pairs

 

 

 

「――とまぁそんなわけで、これからしばらく頻繁に346プロに出入りすることになりました」

 

「へぇ、それは……普段と変わらないんじゃないかな?」

 

「いやいや、それでもこれでようやく堂々と事務所へ行く大義名分が出来たんですから。これでもう以前みたいに軽い気持ちで行かなくて済みます」

 

「軽い気持ちだったことは認めるんだね」

 

 仕事の合間の休憩時間。現場から現場への移動の際に少しだけ足を伸ばし、最近忙しくてゆっくりと顔を出すことが出来なかった翠屋へとやって来た。お昼とオヤツ時の間の微妙な時間帯でお客さんも少ないので、昔から座っているいつもの席に座ってコーヒーを飲みながら士郎さんへ近況報告を兼ねて談笑する。

 

「しかし君も大変だね。以前と変わらずトップアイドルとしての仕事をこなしながら、自分の事務所の後輩だけじゃなくて別の事務所の後輩の面倒も見てるんだから」

 

「まぁ、それも今更ですよ」

 

 前までは765プロのみんなを、そして元バックダンサー組のみんなのレッスンもたまにしてあげていた。その二組の代わりに346プロのみんなになったというだけである。

 

 それに最近では123の三人娘も安定してきたみたいで、特に志保ちゃんはアイドルとして歌の仕事をこなす一方で舞台の仕事の方にも手を出し始めた。志保ちゃんの性格上、どちらか片方にかまけてもう片方が疎かになるなんてことはないから心配はしていない。

 

 ちなみに志保ちゃんのアイドルの友達も最近舞台の方に手を出し始めたらしく、その子に負けてられないと対抗心を燃やしているらしい。彼女は誰かと競うことで伸びるタイプなので、これはいいことだ。

 

 っと、そーいえば、一応事務所の後輩は三人娘だけじゃなかった。

 

「最近こちらで話聞いてませんでしたけど、冬馬の奴どうです?」

 

 ウチの事務所に入って早一年半。ずっと高町ブートキャンプにお世話になっていた冬馬だが、それまでと比べると動きが格段に良くなっているのは明らかだった。

 

「冬馬君ね。最近だと恭也相手に十秒はもつようになったよ。あれなら、ナイフを持った暴漢に襲われても余裕で対処できるよ」

 

「おぉ! ……いや、そっちじゃなくて」

 

 そっちも大事ではあるけど。アイドルたるもの、最低限自分の身を守る手段は持ち合わせてないとね。

 

 ……アイドルとは(哲学)

 

「体力面も万全だよ。元々アイドルとして活動していた下地もあったからね」

 

 そしてなにより……と士郎さん。

 

「『何が何でも周藤良太郎に勝ちたい』……そんな強い意志を感じたよ」

 

「……そうですか」

 

「嬉しそうだね」

 

「よく分かりましたね」

 

「何年、君のことを見てきたと思っているんだい? 表情が変わらなくったって、君の感情の変化ぐらいは簡単に分かるさ」

 

「それはそれは、恐れ入ります」

 

 そう、俺は冬馬が噛みついてくれることが嬉しいのだ。

 

 そうでなければ、俺がわざわざ()()にいる理由がないのだから。

 

「ちなみにその冬馬君なんだけど、最近誰か別の子のレッスンを見てあげてるみたいだよ」

 

「へ?」

 

 突然士郎さんからもたらされたその情報は初耳だった。

 

「この前、人に指導するときのコツなんかを聞かれてね。ちょうど昔の良太郎君みたいに」

 

「それはそれは……」

 

 俺も以前、恵美ちゃんたちやバックダンサー組のみんなのレッスンを見てあげるために『人を指導するための指導』を受けたことがあった。ダンスレッスンやボーカルレッスンをしてくれるトレーナーさんは勿論のこと、その中には昔からお世話になっている士郎さんもいたのだ。

 

 話が逸れた。今は冬馬の話である。

 

「だから初めは恵美ちゃんたちのレッスンでも見てあげてるのかなぁって思ったんだけど……冬馬君の口ぶりからすると、どうやら違うみたいなんだよね」

 

「ふむ……」

 

 確かに事務所内でアイツが三人娘のレッスンを見てあげているところは殆ど見ない。全く見ないわけではないが、それでも一言二言アドバイスをする程度。わざわざ士郎さんに指導の仕方を教わるほどのものではなかった。

 

 となると、士郎さんが言ったように別の誰かのレッスンを見てあげているのだろう。

 

 ……あの冬馬が。

 

「あの冬馬がねぇ……」

 

 あの『打倒周藤良太郎』に全身全霊をかけている冬馬がわざわざ人のレッスンを見てあげるとは、アイツも性格が丸くなったなぁ……とも思うが、それでも冬馬がわざわざレッスンを見る相手とは一体誰なのだろうか。

 

 可能性があるとするならば、その筆頭は春香ちゃんである。以前に茶化す目的で『春香ちゃんみたいな純朴そうな女の子がタイプ』と称したが、別に好みの話自体は別に冗談でも何でもなく、そのまんまアイツの好みだ。なので、春香ちゃんのレッスンを見てあげているのではとも考えたが、今更春香ちゃんのレッスンを冬馬が見るであろうか。アイツの性格上、春香ちゃんと会いたいがための口実作りということもないだろうし……多分、彼女ではない。

 

 となると、俺も知らない別のアイドルということになるのだが……。

 

「一体誰なんだか……」

 

 別に詮索するつもりはないが、それでも気になるものは気になる。今度それとなく聞いてみることにしよう。

 

 それにしても……そうか。もう765プロのみんなだけじゃなくて、ウチの事務所のアイドルたちも、既に俺が気にかけなくてもよさそうなところにまで来てるってことなんだな。

 

 少し寂しい気持ちもあるが……それでも俺は、いつまでも誰かのお節介であり続けよう。

 

「それじゃあ俺も、もうちょっとだけ妹分のお節介に尽力することにしますよ」

 

「おっと、君の妹分にはウチのなのはも含まれているんじゃなかったのかい?」

 

「それは勿論。それじゃあ今度久しぶりにスタジオ観覧にでも招待して……」

 

「いや、実はそれがね……良太郎君にはまだ話してなかったんだけど――」

 

「ねーリョウタロウさーん……わたしたちもリョウタロウさんの妹分ってことで何か奢ってー……」

 

 それまで黙って机につっぷしていたロリっ娘の声が背後から聞こえてきた。

 

「ちょっとクロ、いきなり失礼よ」

 

「いや、俺は別にいいけど」

 

 クルリと振り返ると、そこにはクリーム色の髪に真っ白な肌の少女と薄いピンク色の髪に褐色の肌の少女が、瓜二つの顔を力なく挙げていた。

 

「君たちの管轄は俺じゃなくて衛宮でしょうに」

 

「だーかーらー! そのお兄ちゃんがいないから言ってるんでしょー!?」

 

「だからクロ!」

 

 俺の元クラスメイトの衛宮(えみや)士郎(しろう)の妹である衛宮クロエがウガーッと声を荒げ、双子の姉である衛宮イリヤが彼女を窘めていた。

 

「まぁ、衛宮の奴、卒業と同時にロンドン留学だしな」

 

 ついでに奴の嫁(俺たちが勝手にそう呼んでいる)である遠坂(とおさか)(りん)や、同じくクラスメイトの間桐(まとう)慎二(しんじ)もロンドンへ。さらについでに、今年の春には慎二の妹の(さくら)ちゃんまで三人を追いかけるように向こうへ行ってしまった。間桐兄妹という孫二人がいきなりいなくなったおかげで、臓硯(ぞうけん)さんが寂しそうにしていたのを覚えている。

 

「……あれ、でもこの間の夏休みに帰って来たって言ってなかった?」

 

「それが久しぶりに会ったことで余計に再燃しちゃったみたいで……」

 

 アハハと乾いた笑みを浮かべるイリヤちゃん。クロエちゃんのことを言っているのだろうが、彼女自身も結構なブラコンなので、寂しがっていることだろう。

 

「全くしょうがないなぁ」

 

 えっと、彼女たちの分と、セラさんとリズさんとアイリさんと……切嗣(きりつぐ)さんいるかな? ……まぁいいや、余れば誰かが食べるだろ。

 

「士郎さん、彼女たちにお土産のシュークリーム、六個お願いします」

 

「毎度ご贔屓にどうも」

 

 俺がこうして誰かにお土産を持たせることは少なくないので、苦笑しつつもシュークリームを用意してくれる士郎さん。……士郎さんと士郎で、名前が被ってるんだよなぁ……。

 

「そういえば士郎さん、さっき何か言いかけませんでした? ほら、なのはちゃんのこと」

 

「ん? あぁ、ついになのはも本格的にそちらへの道を進みだしたってだけだよ」

 

「成程、そういうことでしたか」

 

 ………………ん?

 

「えっ!? なのはちゃん、芸能界(こっち)来るんですか!?」

 

 いや、確かにそれらしいことは何度か耳にしたことはあった。けれど何だかんだ言って、結局この翠屋の跡取りになるとばかり思っていたので、結構衝撃的な事実だった。

 

「実はこの間、とある出来事があってね」

 

 何でも、街中で逃げ出したペットのフェレットを探している少年に出会って、彼と一緒にフェレットを探してあげて、その男の子が実は有名な外国の子役で、その子にお守りを貰って……という、なんとも主人公じみたイベントがあったらしい。

 

「それが直接の理由っていうわけじゃないらしいけど……きっかけにはなったらしいよ」

 

「……そうでしたか……」

 

 そうか……ついになのはちゃんもこちら側に来る日が来たのか……。

 

 

 

 つまり、これは……ここが物語の分岐点になるということか!

 

 

 

「なのはちゃんが主人公の外伝が始まるときは、この辺りの時系列で物語がスタートしていくっていうことなんですね。分かります」

 

 こうしておかないと、他の登場人物の年齢や起こった出来事がごちゃごちゃになっちゃうからね! そしてそっちの外伝に俺の出番が少なかったとしても『このときの周藤良太郎は346プロへの用事があってあまり時間が無かった』という尤もらしい理由を付けられる! 完璧な作戦だ!

 

 

 

「俺は良太郎君が何を言っているのかがさっぱりわからないよ……」

 

「わたしも分からない……クロは?」

 

「分かるわけないでしょ……」

 

 

 

 

 

 

おまけ『演技のご相談は志保ちゃんへ』

 

 

 

「ありがとう、志保ちゃん。相談に乗ってくれて」

 

「いえ、まゆさん。私なんかでよければ」

 

「志保おおおぉぉぉ! 助けてえええぇぇぇ!」

 

「っ!? 恵美さん、いきなりどうしたんですか?」

 

「じじ実はアタシも、今度ドラマ出演のお仕事を貰ったんだけど……」

 

「あら、凄いじゃないですかぁ、恵美ちゃん」

 

「それが、ホラー物なの!」

 

「……そうですか私もまだまだ勉強中の身ですからそれほどアドバイス出来ることはありませんのでそれではこの辺で失礼します私も次の現場へ……」

 

「あ、まゆも良太郎さんのところへ……」

 

「見捨てないでえええぇぇぇ!?」

 

 

 




・良太郎たちのすれ違いは続行中
今後はニュージェネの三人も別々に行動するので、ニアミスする機会も無くなります。
珍しくちゃんと勘違いが続いている……。

・アイドルとは(哲学)
それを見つけるのが人生なんやで(謎の老人的解答)

・衛宮士郎 ・イリヤ ・クロエ ・遠坂凛
・間桐慎二 ・間桐桜 ・間桐臓硯
・セラ ・リズ ・アイリ ・切嗣
全員Fateシリーズの登場人物(個別説明が面倒くさくなった)
アイ転特有のやさしいせかいなので、みんな仲良し。桜の血縁関係とかは深く考えてはいけない(いいね?)

・ロンドン留学
FGO第二部にてAチームが登場したおかげで、春休み編のロンドンに登場させられるキャラが増えてニッコリ。とりあえずカドアナは出したい(幸せにしたい)

・なのはちゃん芸能界入り
これで『芸能少女アイドルなのは』のフラグ立ては終了しました。
今後アイ転の裏側で物語が進行していく設定になります(いつ書くかは不明)

・おまけ『演技のご相談は志保ちゃんへ』
恵美の中の人が今期鬼太郎のヒロイン役だったので。
しっかし、猫娘可愛くなったなぁ……(歓喜)



 アイマス二次創作(アイマスキャラが全話で登場するとは言っていない)

 次回はちゃんとクローネメンバー登場します。そして今までセリフすら無かったあの子の出番です。



『どうでもいい小話』

 ついに5thBDの発売が決まりましたね! しかも二週間に一本のペースで発売されるよ!(白目)

 発売日に、とは言わないが、いずれ全部揃えたい……!

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