アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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水着唯ちゃんのフィギュア発売やったあああぁぁぁ!
(唯ちゃんP界隈において「おはようございます」の意)


Lesson209 I've got a feeling 2

 

 

 

「補欠ねぇ……」

 

 コーヒーショップを後にして適当に街中をブラつきながら、考えるのは先ほど聞いた噂話である。

 

 美城さんは最初から志希をメンバーにしてリップスを考案していたが、その志希が失踪。たまたま俺に着いてくる形で再会し、さらに俺が彼女を346へと出向させなければ今の五人は揃わなかった。ついでに美嘉ちゃんも、聞けば初めはクローネへの参加に難色を示していた様子。そんな状況で、彼女たちの代わりとなる人物を補欠として用意していてもおかしくはないだろう。

 

 ただそれが一般的なことかどうかと問われたら、首を傾げざるを得ない。

 

 例えば765プロを代表するユニットである『竜宮小町』。彼女たちはりっちゃんが765プロに所属していた十二人のアイドルから選抜されたメンバーだ。それ故に、伊織ちゃん・亜美ちゃん・あずささんの()()()()()()()()()であり、そこに代わりのメンバーは存在しない。……まぁ、あずささんがおたふく風邪を引いている間、りっちゃんが代理を務めたこともあったらしいけど、それはこの際置いておこう。

 

 一方で『LiPPS』は美城さんが考案したユニットにメンバーを選抜しているため、竜宮小町とは結成のされ方が逆である。故に、良く言えばメンバー構成が自由であり、悪く言えば()()がきく。個性を重視しない美城さんらしい考え方だとは思う。

 

 アイドルのためのユニットか、ユニットのためのアイドルか。別にどちらが良くてどちらが悪いと言うつもりはない。今はウチに所属しているジュピターも、元は黒井社長が結成したユニットのために選ばれたメンバーだし、その組み方が間違っているとは思わない。

 

 勿論、アイドルたちが納得せずに無理矢理組まされたのであれば話は別だが……美嘉ちゃんたち五人も何だかんだ言って楽しそうだし、問題は無いだろう。

 

(そういえば)

 

 竜宮小町といえば、以前に美希ちゃんが入りたがってりっちゃんにねだったことがあったっけ。それをりっちゃんに断られて、それが原因で美希ちゃんはレッスンに来なくなって、さらにはアイドルを辞めようと……したのは結局誤解で、それが原因でりんが自爆して真っ赤になって――。

 

 

 

「君可愛いね! どうどう? 一緒にお茶しない?」

 

「えー?」

 

 

 

 ――そうそう、ちょうどあのときも、あんな風に美希ちゃんがナンパされてて……って。

 

「……展開が早いぜ神様(さくしゃ)

 

 噂をすれば影が差すとはいうものの、流石にフラグを立ててから回収までにラグが無さ過ぎるのも問題だと思う。あとシチュエーションがベタ。普段ラブコメしない癖に、こういう導入だけはテンプレートを守るのか。というか、二年前と同じである。芸がないぞ。

 

 さて、見覚えのある軽くパーマがかかった長い金髪の後姿が男に声をかけられているところを見て見ぬふりは出来ないので、今一度変装がしっかりとしていることを確認してから声をかけることにする。

 

 ……というか、男の方にも見覚えがあった。

 

「オイコラ川平」

 

「え? ……げっ!? す、周藤先輩!?」

 

 自身の首に犬用の首輪をつけるというアブノーマルな性癖を持つ高校の頃の後輩は、俺を見るなり『しまった』という顔になった。そういう反応をするということは、自分でもまずいことをしているという自覚はあったらしい。最近何やら落ち着きを見せ始めたという話を聞いていたが、どうやら勘違いだったようだ。

 

「さて、ようこちゃんに連絡を入れて」

 

「弁明の余地無し!? ちょ、待って! 俺の言い分も聞いて!?」

 

「……まぁ、お前には在学中に何度か世話になってるからな。俺は許そう」

 

「周藤先輩……!」

 

「だが()()()が許すかな?」

 

 その瞬間、悪寒を感じたらしい川平がビクリと体を震わせた。

 

「……ケーイーター?」

 

「げえっ!?」

 

 俺が電話するまでも無く、既に川平の背後には自他ともに認める奴の嫁であるようこちゃんがスタンバイしていた。濃い緑色の髪が怒りのオーラにゆらゆらと揺らめいているような気がした。

 

「よ、ようこ、これはちがっ……!?」

 

「ようこちゃん、川平のことよろしく。しっかりとお灸を据えてやってくれ」

 

「うん! ありがとうね、リョータロー!」

 

 むんずっと川平の首根っこを捕まえてズルズルと引きずっていくようこちゃんを、ヒラヒラと手を振りながら見送る。二年前のように、腕力に頼るようなことにならずに済んで良かった……いや、ある意味腕力に頼った結果ではあるのだが、あれは愛の鞭であって暴力系ヒロインとはまた違うから。

 

 さてと。

 

「俺の後輩が迷惑かけたみたいで、悪かったね」

 

 後輩(ナンパ)がいなくなったので、制服姿の美希ちゃんに声をかけて――。

 

 

 

「アハハッ、面白い人だったけど、ありがとっ! リョータロー()()!」

 

「……えっ」

 

 

 

 ――そこにいたのは、キャンディー片手にニコニコと笑っている唯ちゃんだった。

 

 

 

(そういえば、美希ちゃん特有のアホ毛が無いじゃん)

 

 今気づいた。

 

 

 

 

「えーっ!? ゆいのこと、765プロの美希ちゃんと勘違いしてたのー!?」

 

「いやぁ申し訳ない……」

 

 黙っておけばいいものの、素直に喋ってしまうところに俺の美徳を感じていただきたい。なお本当に言わなくてもいいことまで言ってしまう模様。

 

 それを聞いた唯ちゃんは、不機嫌そうにぷくーっと頬を膨らませた。怒っているらしいのに可愛く見えるのは美少女と美人の特権である。ちなみに例外としてガチで怖い人もいるので注意。麗華とかりっちゃんとか……。

 

「むー……間違われたことがちょっとヤな感じなのに、その相手が美希ちゃんっていうのが複雑ー……!」

 

 相変わらず、美希ちゃんは同性からの人気も高いようだ。美嘉ちゃんがカリスマギャルとしてデビューする前は、中高生のカリスマって言ったら美希ちゃんだったからなぁ。

 

 さて、自分の間違いにより気分を害してしまった女の子に対して取る行動は一つである。

 

「ゴメンゴメン、お詫びに何か甘い物でもご馳走させてよ」

 

「え、いいの!?」

 

「任せてよ」

 

 なお女子高生を誑かしているわけではないので、通報の類いは一切やめていただきたい。下心とかないから! 一緒にいるだけでいいから!

 

「ヤッタ! リョータローくんとデートとか、美嘉ちゃんたちに自慢できそう!」

 

 そんな予防線を心の中で引こうとする自分に対し、ヒャッホウと言わんばかりの勢いで唯ちゃんは左腕にしがみついてきた。前から思っていたことだが、どうしてこうギャルっぽい子はパーソナルスペースが狭いのだろうか……。

 

「ちなみに俺も仕事があるから、出来るだけ手短に頼むよ?」

 

「りょーかい! それじゃあ……まずはクレープから!」

 

 ナチュラルに何件か回ることになっていたが……よかろう! 成人して自由に出来るお金の上限が大幅に増大したトップアイドルの財布(ぢから)を見せてやろう!

 

 まぁ変装もしてるし、()()()()()()()()()()()()()()()()()もいないだろう。

 

 ……え、今の意味深な傍点(ぼうてん)は何ですか?

 

 

 

 

 

 

「……リップスに補欠、ねぇ」

 

「うん。そういう噂」

 

「その噂はアタシも聞いたことあるけど……そういう話自体は聞いてないなぁ」

 

 たまたま後から更衣室にやって来た美嘉に、先ほど話題に上がったリップスの補欠の話を聞いてみると、噂を裏付けるような返事ではなかった。噂の当事者と言っても過言ではないリップスのメンバーが知らないのだから、やはりただの噂だったということなのだろうか。

 

「まぁアイドルのユニットに補欠っていう考え方もどうかと思うけど……あの常務だったら用意しててもおかしくないだろうね」

 

 結局美嘉も「いても不思議ではない」という考えに落ち着いたようだ。

 

「……それで? あっちの二人は何やってるの?」

 

 先ほどからずっと視界の隅に入っていつつもあえて無視していた二人を美嘉が指差しながら尋ねてきた。

 

 

 

「アッハハハッ!? ギ、ギブギブ!? 降参するから!」

 

「ならさっさとその噂の出所を吐け!」

 

「だから! たまたま聞いただけで覚えてないんだって!」

 

「嘘を吐くなあああぁぁぁ!」

 

「う、嘘じゃな……アハハハッ!?」

 

 

 

「加蓮に関する噂の出所を吐かせようとして、足の裏くすぐりの刑をしてるだけだよ」

 

「……そ、そう……」

 

 普段から割と周藤良太郎のファンを公言している加蓮だが、流石に泣いて駄々をこねたという話だけは否定したかったようだ。普段は飄々と奈緒を弄っている加蓮があそこまでムキになっているところを見ると、噂は本当なのだろう。

 

 意外と可愛い一面もあるじゃんと内心では思うが、それを口にするとこちらに飛び火してくるのが目に見えているので私は沈黙を貫く。

 

「……あ、そうだ」

 

 そんな二人を見ながらしばらく苦笑していた美嘉が、ふと思い出したようにパチンと指を鳴らした。

 

「アタシ、今から恵美と一緒に遊びに行くんだけど、凛たちも来る?」

 

「恵美さんと?」

 

 美嘉が言う恵美さんというのは、つい先日も話題に上がった123プロに所属するピーチフィズの所恵美さんのことだろう。

 

「ほら、歳も近いし、お互いに良太郎さんの後輩みたいなものなんだから、仲良くなれると思うよ」

 

 どうかな? と尋ねてくる美嘉。

 

 まぁ、何かしらの不都合がありそうなことでもないし、私たちも元々は三人でご飯を食べに行くだけだったから特別な用事があるわけでもない。

 

「私はいいけど……加蓮、奈緒、話聞いてた?」

 

「聞いてない!」

 

「聞いてる余裕ない!」

 

 聞いて。

 

 流石に収拾がつかないので仲裁に入り、美嘉と一緒に恵美さんと遊びに行くかどうかを尋ねる。

 

「恵美ちゃんと!? 行きたい行きたい!」

 

 真っ先に食いついたのは加蓮だった。周藤良太郎ファンから派生して、123プロに所属するアイドルのファンになる人は意外と多いらしいので、多分加蓮もそうなのだろう……と思ったが、確か加蓮と奈緒はサマーフェスのときに、観客席に来ていた良太郎さんたち123プロの面々と顔を合わせてるんだっけ。

 

「奈緒は?」

 

「はぁ、はぁ……あたしも別に構わないよ」

 

 くすぐられ、息も絶え絶えだった奈緒も体を起こしながら同意してくれた。

 

 というわけで、随分と長い着替えを終えて、私たちは美嘉と共に恵美さんとの待ち合わせ場所へと向かうのだった。

 

 

 




・竜宮小町
そういえばこの名前の由来も、三人が「水瀬」「双海」「三浦」と海に関係する名前だから付けられたんだっけ。正しくこの三人のためのユニット。
……天海? はて? のワの

・川平
・ようこ
Lesson161以来のいぬかみネタ。
なおコイツがいるということは街中には『アイツら』が蔓延っているということで……(これ以上掘り下げるのは止めておこう)

・唯と美希
唯ちゃん初登場時に散々言われてたし、当時まだ唯Pになってなかった自分も思った。
なおこの世界線においてこの二人、なんと同学年である。

・足の裏くすぐりの刑
劇場916話参照。
ちなみにこのお話の見どころは、凛の腕に寄せられて強調された奈緒のおっp(以下削除



 ひゃっはー唯ちゃんとデートだー!(完全に趣味に走った作者の図)

 なお次回から更に加速する模様。



 ※前回アミマミの身長に関して触れましたが、この小説ってアイマス2基準で考えてたから最初から抜いてたねっていう……まぁいいか!(思考放棄)



『どうでもいい小話』

・ここ一週間で引いた新規SSR
 浴衣文香・浴衣美玲・恒常泉・恒常ウサミン
 水着千鶴・水着このみ×3

 突然小説の更新が無くなったら、作者は事故ったとお考え下さい(白目)

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