アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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未来ちゃん初ステージ編です!


Lesson250 届け、この想い

 

 

 

「良太郎、そこに正座」

 

 

 

 冒頭一言目から義姉に正座を命令される系主人公、周藤良太郎です。

 

「え、いきなり何? 出来れば理由を先に……」

 

「正座の方が先に決まってるでしょ」

 

 早苗ねーちゃんに睨まれて理不尽を覚える前に正座をする俺がいた。義理だろうがなんだろうか、弟は姉よりも弱い生き物なのだ。

 

 さて、出勤前のこんな朝早くから何で俺はこうして正座をすることになったのだろうか。近頃は割と落ち着いてきた(当社比)ともっぱらの噂なんだけど。(個人の感想です)

 

 最近怒られるようなことがあるとすれば勿論例の動画の一件だが、それはもう先日散々怒られた後だ。体罰と減給、そして()()()()()()()()ことで一応のお許しは得たはずである。

 

「アンタ、昨日、女の子と一緒に街中歩いてたらしいわね」

 

「……え? 昨日?」

 

 確かに昨日はなのはちゃんとデートしてたけど、何故そこまで怒っているのだろうか。なのはちゃんは早苗ねーちゃんにとっても妹のような存在のはずである。

 

「ほぉ? 私が聞いた話だと、金髪の女子中学生ぐらいの子と仲良さそうに歩いてたらしいけど、いつからなのはちゃんは金髪になったのかしらねぇ?」

 

「冤罪でござる」

 

 ちょっとした事故でアイスを奢ってあげたら美少女がついて来るミラクルが起きるなんて普通は考慮しないでしょ!? 魔物の肉をあげたら戦闘終了後について来るモンスターズ的なシステムじゃないんだからさぁ!

 

「はぁ……なんでアンタはこうも街を歩く度に色んな女の子とエンカウントするのよ。しかもそれがどれもこれも美女美少女だらけってどういうことよ」

 

「今更それに触れる?」

 

 神様がエンカウント率の設定を間違えたんだと思う。多分この世界のパッケージ裏を覗いてみたら『開発:バースデイ』とか書いてあるんじゃないかな。おっ、なんか俺の『Re:birthday』と上手い具合にかかってるな。

 

 しかし結局未だに理解出来ないのは、どうして早苗ねーちゃんはこんなにもご立腹なのだろうかということだ。俺の知り合いに女の子が多いことぐらい、早苗ねーちゃんも昔から知っているはずだ。

 

「悪いけど私、義弟よりも()()を可愛がるつもりなの」

 

「その選択肢なら勿論俺だってそっちを選ぶけど……あぁ、そういうことね」

 

 まだ籍は入れていないので正確に言えば義妹ではないが、近い将来そうなる予定なので誤差みたいなものだろう。

 

「私は、どんなやり取りがあった結果、アンタとりんちゃんが今の関係になったのか知らない。知ろうとも思わない」

 

 そうは言いつつ、あのときりんが()()()()()()()()()って聞いたら、知りたがるんだろうなぁ。

 

「でも、あの子の懐がどれだけ広かろうと、自分の愛する男が不特定多数の女の子と仲良くしてるのを見るのはね、女なら辛いものなの」

 

「……はい」

 

「アンタもりんちゃんのことが大事なら、少しぐらい改める努力をしなさい」

 

 正座する俺の頭頂部に軽く手刀を落としながら「いいわね?」と問いかけてくる早苗ねーちゃんに、俺は素直に「はい」と頭を下げた。

 

「よし、いい返事ね。それでこそ私と幸の弟よ。IEが終わって世界一になったからって、まだまだ腑抜けるんじゃないわよ!」

 

「はい!」

 

「……ちなみに聞くんだけど、今日の仕事終わりの予定は?」

 

「楓さんと瑞樹さんから飲みに誘われています!」

 

「なんも分かってないじゃないのよアンタはあああぁぁぁ!」

 

 だってりんがいいって言ったもん! りんが仕事で遅くなるから楽しんできてねって言ってくれたもん!

 

 

 

 

 

 

 さて、そんなやり取りがあったのも早一週間前。この一週間の間にも楓さんたちとの飲み会の他、凛ちゃんたちトライアドプリムスにお昼ご飯をご馳走したり、亜美真美姉妹や杏奈ちゃんたちとゲームしたりと様々な女の子とのイベントが発生していた。

 

 ただ言い訳のようだが男性との交流が一切なかったわけでもなく、この前は数少ない男のアイドルヲタ友だちである渡辺みのりさんと二人で飲みに行った。亜利沙ちゃんがアイドルデビューしたことを静かに祝いつつ、彼女がアイドルになったことでみのりさん自身も『アイドル』そのものに対する興味が湧いてきたらしく、なんと彼も最近アイドル事務所からのスカウトを受けたという話を聞くことが出来た。

 

 みのりさんは恥ずかしそうに笑いながら「リョー君も一緒にこっちに来てみるかい?」と誘われたが「俺はまだいいですよ」と若干の含みを持たせながら断っておいた。

 

 しかしみのりさんまでもがアイドルになった場合、我らアイドルヲタ仲間で残された結華ちゃんはどうなるのだろうか。いっそのこと彼女もアイドルになればいいのに。可愛いんだし。

 

 そんな風に色々な人との付き合いが多い俺ではあるが、だからといってりんを蔑ろにしているというわけではない。

 

 ちゃんと予定が合うときは部屋でのんびりイチャイチャしながら愛を囁いたり恋人らしいことをしている。寧ろ早苗ねーちゃんに言われたことを気にしていつも以上に俺なりの愛情表現をしてみたところ、りんが完全にのぼせ上がってしまったぐらいだ。

 

 いや、そのときのりんが超可愛くてさ。いつも可愛いんだけど何割か増しで可愛いの。普段から好き好きと俺への愛情を隠さなくなったりんが、恥ずかしくなって顔を伏せるところとか本当に可愛くて、そんなりんが俺の恋人なんだという事実がこれまた……。

 

「……あのさぁ」

 

「ん? なに?」

 

「惚気なら余所でやってくんない?」

 

「ニコちゃんが『アイドルにかまけてて恋人蔑ろにしてるんじゃないでしょうね?』っていうから、現状報告したのに」

 

 しかしニコちゃんのジト目という名の警戒心が薄れることがなさそうだったので、飲み物を奢ることで警戒心を下げることにする。

 

 

 

 さて、今日は久しぶりに765プロライブ劇場の観覧日。相変わらずのエンカウント率によりニコちゃんと再会したので、開演まで二人並んで仲良くおしゃべりをして時間を潰す。

 

「はぁ……こんな無表情で何考えてるか分かんないアイドルオタクが恋人なんて、私なら絶対にお断りね」

 

「そもそもニコちゃんは『アイドルに恋愛はご法度』主義者だから、恋人は作らないんじゃないの?」

 

「……別にまだ私はアイドルじゃないし」

 

 そう言いつつ、ニコちゃんはスイッと目線を逸らした。アイドルオタクであろうともやっぱりその辺りはちゃんと女の子してて、内心で思わずホッコリしてしまった。

 

「どう? スクールアイドルの方は順調?」

 

「まだメンバー集めの途中よ。進展なくて悪かったわね」

 

 フンッと不機嫌そうに鼻を鳴らしながらそっぽを向くニコちゃん。このご時世、スクールアイドルになりたい子なんていくらでもいると思っていたが、どうやら彼女の周囲ではそうでもないらしい。

 

「ちなみにニコちゃんはどんなアイドルを目指してるの? 可愛い系? カッコいい系?」

 

「……346プロのニュージェネ」

 

 346プロの中でも特に自分と関わりの深いユニット名が出てきたので、思わず少しだけ嬉しくなってしまった。今日はまた公演終わりにご飯を奢ってあげることにしよう。

 

「ピンチェみたいに可愛くて、トライアドみたいにカッコよくて、ポジパみたいに元気いっぱいで……ニュージェネはそんな全てを併せ持ってるみたいで、私は大好き」

 

「いいよね。俺も好きだよ、ニュージェネ。自慢じゃないけど俺も彼女たちが結成した当初からのファンでさ、新人アイドルだった彼女たちが今みたいにトップアイドルとして活躍してるのを見てると、俺も頑張らないとって思うんだ」

 

「はぁ? 私なんかデビューイベントからのファンだから。ステージの真ん前で手ぇ振ったら凛ちゃん私に向かって手ぇ振り返してくれたから」

 

 別にそんなつもりは全くなかったのだが、ニュージェネのファンとしてニコちゃんからマウントを取られてしまった。一瞬スマホの中に収められている俺とニュージェネ三人との記念写真を見せびらかしてマウントを取り返してやろうかと思ったが、流石に大人げなさすぎる上にこんなことで身バレするわけにもいかないので我慢する。

 

 というか、えっマジで? あのニュージェネとラブライカのデビューイベント、ニコちゃんもいたの? 凄まじい後付け設定感が否めないけど、完全に否定する要素は一切ないしなぁ……。

 

「話戻すけど、メンバー揃ってデビューすることになったら教えてよ? ちゃんと応援しに行くからさ」

 

「………………」

 

「そんな露骨に嫌そうな顔しなくても」

 

 おかしいなぁ、まだ二回しか会ってないっていうのにどうしてこんなにも好感度が低いというか警戒心が高いのだろうか。

 

「……まぁ、アンタのことだからただ単に『女子高生が見たいから』なんて理由じゃないってことぐらいわかるけど」

 

「………………」

 

「わざわざ私からフォローしてやったってのに何でアンタが目ぇ逸らすのよ」

 

 自分に素直な生き方しか出来ない性分でして……。

 

 結局「絶対に呼んでやんないんだから!」と機嫌を損ねてしまったニコちゃんに、今度は売店で買ったお菓子を貢ぐことで機嫌を直してもらう。

 

「ニコちゃんのアイドルデビューの話はまた今度するとして」

 

「二度としてやんないんだから」

 

「そんなこと言わずに。……今日の公演の見どころの話でもしようよ」

 

 ニコちゃんの将来の話もいいが、そろそろ開演直前のステージの話をしよう。

 

「見どころなんて一つに決まってるじゃない。『765プロカバーチャレンジ』よ」

 

 俺が広げたパンフレットをビシッと指さしながら、ニコちゃんは断言した。

 

 『765プロカバーチャレンジ』とは文字通り、まだまだ持ち歌の少ないシアター組の子たちが、AS組の子たちの曲をカバーするという企画だ。劇場新規のファンのみならず、昔からの765プロのファンも楽しめそうな企画ということで、俺も楽しみにしていた。

 

「琴葉ちゃんとエレナちゃんの『チェリー』も気になるけど、個人的には新人の最上静香ちゃんが参加してる『Marionetteは眠らない』ね。かなりレベルが高い曲だからこそ、彼女の本当の実力が見れそうで楽しみだわ」

 

 おぉ、流石ニコちゃん。目の付け所がまるで女子高生とは思えないガチオタクっぷりに感心していると、視線で「アンタは?」と問いかけられる。

 

 そうだなぁ、俺も静香ちゃんって言おうとしたんだけど……。

 

 

 

「……今日初めてステージに立つところを見る、伊吹翼ちゃん……かな」

 

 

 




・モンスターズ的なシステム
実はルカとキャラバンハートしかやったことない()

・『開発:バースデイ』
有名なところだと『貝獣物語』や『じゅうべえくえすと』を開発した会社です。

・俺の首を絞めていた
(殺し愛とかでは)ないです。

・渡辺みのり
『アイドルマスターsideM』の登場キャラ。
元花屋さんの超アイドルオタク系アイドルな31歳。31歳!?
以前からちょいちょい存在を匂わせていましたが、ようやく登場です(ただし回想)
花屋つながりで、凛ちゃんも関われると面白そうだなぁ。

・結華ちゃん
こちらの登場はもーちょっと先。

・凄まじい後付け設定感
後付け設定に決まってるでしょ(開き直り)



 原作の未来ちゃんと静香ちゃんのシーンが大幅にカットされていますが、後々ちゃんとやりますのでご安心を。

 次回は舞台裏側のお話。千鶴さん、出番ですよー。



『どうでもいい小話』

 え、ミリオンライブのパチンコってマジ? コラじゃなかったの?

 さ、流石にパチンコはやらないかなぁ……(目逸らし)
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