毎回毎回クッパにさらわれるお騒がせお姫さま、ピーチ姫。
彼女がさらわれる理由と、そこに秘められた衝撃の真実とは?

※理想郷、pixiv様にも投稿されています。

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昔、理想郷に上げた奴が出て来たのでせっかくだから投稿。


ピーチ姫は退屈がお嫌いなようです

 ここはどこかの世界にある国、キノコ王国。あの世界的に有名な配管工兄弟『マリオブラザーズ』が住む国である。

 いつも平和……でもなかったりするのだが、とりあえず今のところは平和なこの国から物語は始まる。

 

 ──キノコ王国の王城、キノコ城。ここに一人の美しい姫が住んでいた。

 キノコ王国の国主、ピーチ姫である。国民の信頼も厚い彼女は、自室で優雅に紅茶を飲んでいた。

 

「とても美味しい、のですけれど──」

 

 紅茶の味は満足のいく物だったようだが、その表情は紅茶の感想とは裏腹に不満げだ。その理由は──

 

「退屈ですわ……」

 

 そう、今の彼女はとても退屈だった。仮にも国家元首が退屈とはこれいかに、と思わなくもないが、実の所政治などは大臣であるキノじいが頼みもしないのにほとんどやってしまうのである。

 そのため、普段の彼女はやる事がないのだ。

 

「それに、なんだか窮屈ですし」

 

 窮屈、というのは城の警備体制のことだ。ここ最近、城には厳戒体制が敷かれていた。理由は言わずもがな、ピーチ姫の身を守るためである。

 いつもさらわれるピーチ姫だが、彼女がさらわれるごとに城の警備は厳しくなっていった。というかそうならないとおかしいのだが、どうやら姫自身はそれが不満らしい。……実際、いくら警備を強化したところでその成果が出たことは無かったりするのだが。

 

「何か、面白いことはないかしら……」

 

 そう言って天井を見ながら紅茶に手をかけるピーチ姫。

 

「……そうですわ!」

 

 と、何かを思いついたらしい。突如紙とペンを取り出す。

 

「……これが……こうで……ここを……こうして……」

 

 ぶつぶつとつぶやきながら何やら書き出したピーチ姫。どうやら何かの地図のようだ。凄い勢いで書き上げていく。

 

「できましたわ! あとはこれを……」

 

 地図らしき物をカバンにしまいつつ部屋を出るピーチ姫。と、丁度そこにキノピオが通りかかる。

 

「あれ、姫様。どこか行かれるんですか?」

 

「ええ、少し出掛けてきますわ」

 

 そう答える姫にキノピオはやや不安げな顔で言う。

 

「なるべく早くお帰りになってくださいね?」

 

「もちろん。すぐに戻りますわ」

 

 そう言って足早にその場を後にするピーチ姫。

 

「大丈夫かなあ……さらわれたりしないよね」

 

 キノピオはそう思いつつも姫の背中を見送るのだった。

 

 ──────────────────

 

 ──マグマたぎる大地にそびえ立つ巨大な城、クッパ城。その名の通り、大魔王クッパの住む城であり、侵入者を排除するための罠がごまんとある恐ろしい城である。

 そんな城に住むのは当然、クッパに忠誠を誓う部下達と、主である大魔王クッパその人である。

 

「クッパ様〜!」

 

 城主の名を叫びながら飛行する人物がいた。大魔王クッパの側近、カメックババだ。

 

「クッパ様! こちらでしたか」

 

「おお、カメックババか。どうしたのだ?」

 

 何事か、とカメックババにクッパが尋ねる。

 

「クッパ様に来客ですぢゃ」

 

「来客? しかもワガハイにだと?」

 

 はて、大魔王である自身の元に誰が好き好んで訪ねてくるというのだろうか。第一、城には多数の罠があるから入る事すら容易ではないし、そもそも見知らぬ人物なら部下達が攻撃をする。

 となると、自身の知っている人物であろう。それはこうしてカメックババが知らせに来ていることからも明白。

 つまりその来客とは、クッパと面識があり、城までの道のりを知っていて、城の構造と仕掛けを完璧に把握している人物。クッパはすぐにその人物に思い当たった。

 

「よし、どこにいるのだ?」

 

「クッパ様の部屋にお通ししておりますぢゃ」

 

 早速クッパは自分の部屋へと向かった。そこにはクッパの予想通りの人物がいた。

 

「お邪魔していますわ、クッパ様」

 

「うむ、よく来たのだピーチ姫」

 

 来客とはなんとピーチ姫であった。いつもさらわれているはずの彼女が自らクッパの元へ来るとはどういうことであろうか。

 

「そろそろ来る頃だと思っていたのだ」

 

「あら、お見通しですのね」

 

 と、そこへノコノコがお茶を持ってくる。

 

「ピーチ姫、どうぞ」

 

「どうもありがとう。……そうですわ、クッキーを持ってきましたの。よかったらみんなで食べてください」

 

「ありがとうございます!!」

 

 すぐさまクッキーを受け取り走っていくノコノコ。カメとは思えぬ俊敏さである。

 

「ピーチ姫がいると華やかでいいっスね」

 

「まあ、お上手ですこと」

 

 親しげに話すピーチ姫とクッパの部下たち。……最も、いつもクッパとともにテニスやレースに興じたりしているので別段驚くような光景でもないのだが。

 

「それでピーチ姫、退屈でワガハイの所へ来たのだな?」

 

「ええ、とても退屈でしたの。ですから、またマリオと戦っていただけませんか?」

 

 そう、彼女はいつもさらわれていたわけではない。あまりの退屈に耐えられなくなった彼女が、マリオとクッパ軍団の戦いが見たいがために自らクッパの所に行っていたのである。

 

 無論、最初のうちは本当にさらわれていたのだが、その際にマリオとクッパの戦いを見た彼女は、その戦いが忘れられず再び戦いを見たくなり、やがて自らさらわれるようになったのだった。

 これではいくら城の警備を強化しても成果が出ないはずである。本人が自分からクッパの所に行っているのだから。

 

「かまわんぞ、退屈だったのはワガハイも同じだ。マリオと一戦交えようではないか」

 

「まあ、ありがとうございます! いつも通り、ステージの制作資金はわたくしが出しますわ」

 

 どうやら、あの様々な仕掛けのあるステージ制作資金の出所はピーチ姫のポケットマネーだったらしい。驚愕の事実である。

 

「それで、今回はこんな物を持ってきましたの」

 

「ほう、ステージの設計図か」

 

 あの時書いていたのはステージの設計図だったようだ。ご丁寧に8ステージ分ある。

 

「全体的にシンプルだな、昔を思い出すのだ」

 

「ええ、原点回帰をイメージしましたの。動く床とか、マグマとか、トゲ天井とか!」

 

 それにしてもこのお姫様、ノリノリである。というか、マグマやトゲ天井を作って欲しいということは、マリオがそれに引っ掛かる姿が見たいということだが、自分の恋人(と一般的には認知されている)マリオの黒コゲの姿や串刺しの姿が見たいとはどれだけ鬼畜な性格なのだろうか。

 間違いなく真性のサディストであろう。本人は気付いていないかもしれないが。

 

「うむ、ステージはそれでいいとして……あとは誰にボスを任せるかなのだ」

 

「コクッパさんたちとか、ブンブンさんやブイブイさんはどうでしょう?」

 

「うむ、あいつらなら適任なのだ」

 

 皆、クッパ軍団の古株である。確かに原点回帰にはベストなメンツであろう。

 

「よし、あとはマリオを動かすだけなのだ」

 

「わたくしがいつも通り手紙を出しますわ。ヨッシーも誘おうかしら?」

 

「ヨッシーか。ルイージはどうなのだ?」

 

「ルイージは今デイジーとバカンスに行っていますわ」

 

「そうか、なら仕方ないのだ」

 

 どうやらマリオとヨッシーを誘う方向で決まりそうである。しかし、兄が命がけの戦いを繰り広げることになるだろう時に弟は恋人とバカンスとはえらい落差である。……頑張れマリオ。

 

「よし、では今からマリオとの戦いに備えておくのだ!」

 

 そう言って部下たちの元へと向かうクッパ。ピーチ姫はそんなクッパを熱い視線で見送る。

 

「ああ、今回はどんな激闘が見られるのでしょう。考えるだけでとろけそうですわ……」

 

 一人、ピーチ姫はマリオとクッパの激しい戦いを想像し心躍らせるのだった。

 

 ──続かない。


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