その日も、デルムリン島からは修行の声が聞こえてきた。ただ、過日と異なる点があるとすれば、そこにアバンの声がないことだろう。
ダイたちが島を旅立った後、チルノはアバンとブラスに己の秘密を説明し、戸惑いはあったもののその告白は受け入れられた。そして、世界に危機が迫りつつあることをより明確に理解したアバンによる
チルノが扱えるであろう魔法、技術などを可能な限り聞き取り、それを基にした各種基礎特訓の数々。
それでも、期間が三日だったことが幸いしたらしく――弱音も泣き言も言っていたが、そこは目を瞑ってあげてほしい――なんとか彼女は乗り越えた。
数日間の特訓を終え、アバンはデルムリン島を旅立っていた。現在はチルノが一人、アバンが教えた基礎特訓の復習中である。
「【ファイラ】」
まず使ったのは、中級の炎魔法だ。
ファイアと比較して数倍以上はあるであろう火力に加えて、なによりも炎の勢いが違う。巻き起こったそれはさながら炎の波を連想させるように、うねりを上げる。
メラミに相当するはずの魔法と認識していたチルノだったが、その威力はどう見てもメラミ以上である。
アバンに数日鍛えられただけでこれだ。猛特訓の成果が出ているわけでもある。
「【ブリザラ】」
続いて中級の冷気魔法を使う。目標は先ほどファイラで作り上げた炎だ。
冷気が対象に向けて走り、ぶつかった瞬間に氷の結晶が吹き荒れ、瞬く間に炎の柱が氷の柱へと生まれ変わった。幾ら火勢が弱まっていたとはいえ、炎を氷で閉じ込めるという荒業を平然とやってのける威力には驚愕すら覚える。
「【サンダラ】」
最後は中級の雷撃魔法である。目標は依然変わらず、氷の柱に目掛けて。
天から一筋の稲妻が降り注ぐと、氷柱を粉々に破壊した。思わず目が眩みそうになるほどの稲妻に加えて、周囲にはまだ残った雷がバチバチと放電している。その影響からか、オゾン臭が辺りに漂いチルノの鼻をくすぐる。
――これも、最初に使った時は驚かれたわね。
つい先日、アバンに下位魔法のサンダーを見せた時を思い出す。この世界は、ライデインに代表される電撃呪文は勇者のみが使える呪文として伝わっている。そのためチルノはこの呪文を使うことを意図的に封印していた。魔王が復活する前からサンダーは扱えたのだが、迂闊に使った日にはどうなるか予想もできない。彼女の臆病ともいえる感情が、この魔法を使うことを躊躇わせていた。
勿論――キラーマシンのときなど――いざとなれば迷うことなく使うつもりではあったが。
あの時にもしもこの
「ふぅ……」
中級とはいえ立て続けに魔法を使ったことで疲労の色が濃くなり、気持ちを切り替える意味でも一呼吸置く。そして最後、アバンの特訓によってようやく扱えるようになった魔法を発動させる。
「【グラビデ】」
先ほど氷柱は破壊してしまったので、今度は目標を手近な木へと向けて放つ。
生み出された球体の魔力が対象にぶつかると、そこを起点として広がり瞬く間に押しつぶさんばかりの強い重力を生み出す。
圧壊するほどの高密度の重力により木の幹がギシギシと悲鳴を上げ、既に枝葉は圧力に負けて地に落ちてペシャンコに潰れていた。さながら劣化した
割合ダメージという概念はないだろうから、これも純粋にダメージを与えるだけだろうとチルノは予想していた。さすがにデルムリン島の仲間に使うつもりはないし、かといって結界の外に出ても都合の良い相手がいるとも限らない。
「よし」
イメージ通りに問題なく魔法が発動したことを確認すると、満足そうに言う。集中力と日々の研鑚が上達の秘訣であるというが、魔法については、まずはこんなものだろうと判断した。
次は技だ。
意識を集中させて下腹――丹田の辺りに力を籠める。必ずしもそうする必要はないだろうが、その方が彼女の気分が乗り精度もより高くなる。技を放つ前の彼女なりの所作だった。
「……【鳳凰の舞い】」
その言葉と共に、まずチルノの周囲には指先ほどの小さな火が幾つも生み出された。だが可愛らしい火の玉だったのは一瞬のこと。火の玉はすぐさま爆発的に膨れ上がると人間を模したシルエットを形作り、次の命令を待つようにその場でゆらゆらと揺れる。その頃には火勢は火の玉などという生易しいものではなく、炎の柱と呼んだ方が近いだろう。
「
炎たちの期待に応えるように、短く命令を下す。それだけで十分だ。炎たちは籠から解き放たれた鳥のように縦横無尽に動き回り、そして唐突に消えた。
「……これが鳳凰の舞い、かぁ……なんともすごいわね……」
結果に満足しつつもチルノはくたびれたように呟く。彼女の知っている鳳凰の舞いは、使うと炎をまとった術者の分身を多数生み出し、敵全体を攻撃する技である。生み出した分身が人の形をした炎でしかないことなどの細部は異なるが、会得したと言って問題ない。また、実際に使ってみることで新しく発見したこともあった。
例えば、生み出した炎はチルノの意思にある程度沿って動くということだ。彼女の闘気を込めているためにそれが可能なのだろう。対して誤算だったのは、多少なりとも闘気と体力を消耗していることだ。さすがに無消費でバカバカ撃てるといった都合の良いものは存在しない。
「……いけない、【ウォータ】」
未だ各所で燃え燻っている、鳳凰の舞いの影響で発火した地点目掛けて水の攻撃魔法を使い消火していく。本来ならばもっと高圧の水で攻撃をする魔法だが、威力を落としてあるおかげで消火用水に丁度良い感じだ。
「使い分けられるかどうかが問題ね……」
先ほどの手応えを思い出しながらそう口にする。炎を使って攻撃するだけならば、炎の魔法を使えばいい。現状を見極めて、状況に即した手段を瞬時に選択することのできる能力が求められる。
「しばらくは、手探りでやっていくしかないか……」
結局のところ今できるのは復習と確認が関の山である。
続いてチルノは手近な岩の前に立つと、再び丹田に意識を集中させた。自然体に足を開き、少し腰を落として構えると強く拳を握る。気分はさながら、修行中だったダイが大地斬で大岩を割る前のようだ。
「【爆裂拳】!」
気合の発露と同時に、眼前の岩に向けて拳を数発叩き込む。彼女がやったのはそれだけだ。威力も低い――いや、もっと明確に弱いと言っていい。
数発撃ちこまれた岩は、一見何の変哲もないように見える。だが岩は突如として、内側から外側へ向けて皹が走った。続けて外殻の一部が衝撃に負け、ポロリと壊れ落ちる。
複数回、それぞれ別個の威力を持った攻撃を相手に叩きこみ、その衝撃を対象の内部にて交差・集中させて増幅させることで、威力を飛躍的に増大させる技。攻撃を受けた相手は、まるで内側から爆発したようなダメージを受ける。
「故に、爆裂拳」
――いや、名前の由来までは知らないけどね。
爆裂拳の結果を見て満足しながら、チルノはペロリと舌を出しつつ自分の言葉に自分でツッコミを入れた。
「……っ痛てて」
そして痛みを消すように両手をプラプラと振る。闘気についてある程度は学び、実践できるようになったが、それでもまだ素手で岩を殴って平然としていられるほど、肉体も闘気も鍛えられているわけではない。
岩にたたきつけたせいで皮膚が破れ、拳からは血が滲んでいた。
「【ケアルラ】」
大盤振る舞いとばかりに、中級の回復魔法で傷を癒す。完全に治ったことを確認すると、再び修行へと戻る。
チルノは楽しくて仕方がないのだ。
これまで中々使うことの出来なかった魔法が、技能が突然使えるようになる快感。まるで目の前の世界が一気に広がる感覚は、根拠のない全能感と陶酔感を彼女に齎した。
「……と、いけないいけない」
浮ついた気分を自らの頬を叩きながら彼女は戒めた。確かに今まで使った魔法や技術は、この世界ではチルノしか使うことはできない。だが決して自分は万能ではないのだ。最終的に相手をしなければならないのは、神の金属とまで呼ばれるオリハルコンを素手で無造作に引きちぎるような敵である。そんな相手に、メラミより強い程度の炎を放った程度では歯牙にもかけられまい。
「さて、次は……」
多少顔がニヤケるのは仕方ないとしても、慢心だけはしないようにしよう。あと、今だけは喜んでおこう。そう自分に言い聞かせながら、少し離れた場所へ避難させるように置いていた手書きの手帳をめくる。
それは、アバンが書き残した手記だった。
チルノが一人で残っていても修行が続けられるようにと書き記したもの、わかりやすい言い方をしてしまえば、手書きの教科書である。覚えられそうなものを一通り書いてあるうえに、時おりデフォルメされたアバンのイラストが登場してワンポイントアドバイスを言っている。しかもその絵も下手なイラストレーター顔負けの上手さである。
またこの手記には、ダイの修行とポップの修行についても書かれていた。
ダイについては空裂斬の修行についてとアバンストラッシュの特性が。ポップには呪文への集中力についてと、最悪の場合はマトリフに頼もうかと書いてあった。大まかな場所とマトリフにお願いする一文も添えてある。
それらを、ダイが二日目の修行を終えた夜の時点で書いた、という体で記述している。虫の知らせか嫌な予感と胸騒ぎがしたのか、とにかく万が一の時のためにこれを書き記したことが冒頭に書いてあるためだ。
あの短い時間でこれだけの文量をイラスト込みで書く……普通に考えればどうやっても無理だろうと思うが、同時にアバンならこのくらいやってのけるだろうという根拠のない謎の信頼感もあった。
「やっておるな、チルノ」
「あ、おじいちゃん」
ナイフ――見失っていたダイの短剣である。ハドラーがどこかに投げ捨てたものを回収したものだ。ダイとの合流時に渡すつもりで現在はチルノが持っている――を片手に、先ほどまで激しいステップを踏んでいたチルノを見ながらブラスは言う。
「あの電撃も、最初に見たときは腰を抜かしたものじゃが……慣れるものじゃなぁ……」
サンダラの痕跡を見ながら、ブラスは遠い目で呟いた。
「何か用だった?」
「おお、そうじゃった。いや、お主の言っていた、未来の出来事についてなんじゃが……」
おそらく大丈夫だろうが、話す内容が内容だけにブラスは声を潜めた。
「お主の話だと、軍団長の一人――クロコダインがダイたちに一度敗れ、ダイへの対抗手段としてワシが人質になる。間違いなかったかな?」
「間違いないけれど、何か気になることがあった?」
「ワシが連れ去られる前提で準備をしておるが、お主の話だとダイは本来よりもずいぶんと強くなっておるよう。そうなると相手をそのまま倒してしまうということはありえんのか? その場合お主はどうするのか、それが気になってな」
そう言いながらブラスはチラリと、自身の左手首に目を向ける。そこには紐で結ばれた木片がお守りのように揺れている。マホカトールの呪文が込められたそれはさながら護符といったところか。本来の歴史ではブラスが人質に取られるため、その対策として身に着けているものだ。連れ去られるまでは許容するが、邪気による凶暴化を防ぐことでダイを戦いやすくする。という狙いだ。
なお、便宜上アバンの守りと名付けられているが、ブラスもチルノも「お守り」程度にしか呼んでいない。
「ええ、それも考えたわ。でも相手は軍団長よ。一筋縄では行かないと思っている。それにクロコダインよりも注意すべきはザボエラの方だと思ってるの」
苦い顔をしながら、チルノは推論を展開する。
「ザボエラ……確か、同じ軍団長の一人でワシを直接捕まえに来るという」
「うん。魔王軍が連絡に使う悪魔の目玉は、ザボエラ指揮下の妖魔師団に所属してるの。その悪魔の目玉からの情報で、ザボエラはハドラーがクロコダインにダイの討伐を命じたことだって知っている」
原作知識というやつである。細部は異なれど、ハドラーはダイが竜の紋章を発動させたのを見た上で撤退している。そしてロモスへと向かっているのであれば、クロコダインに勅命を下す可能性も高いと睨んでいた。
「ザボエラは上役にこびへつらって、同僚や部下は踏み台程度にしか考えていないの。今回の場合は、上手くハドラーに取り入って自身の地位を上げるために、クロコダインを手助けするはず。クロコダインがピンチになったら援軍の一つでも差し向けると思う。そうすれば、ダイを倒した後でも自分の主張を通しやすくなるはず」
原作通りクロコダインが自力で逃げられればよし。逃げられそうになければ、部下を捨て駒としてでもクロコダインを逃がす。その後、クロコダインへ必勝の策を授ける。
この奸計の肝は、クロコダインが一度逃げているということだ。ハドラーが苦戦した相手である以上、クロコダインも手傷を負う可能性は高い。武人二人が苦戦した相手を授けた策略で倒したとなれば、ザボエラの評価も大きく上がるというものだろう。
「そうして、己に有利となる情報を集め手柄をかすめ取ってのし上がろうとするのか? ……話には聞いていたが、何とも言えん性格じゃのう……」
「最終的にはクロコダインに倒されちゃうんだけどね」
万策尽きた惨めな最期を思い出し、すこし哀れみすら覚える。
「ともあれそういうわけだから、可能性は極めて高いと思うの。ダイは今はラインリバー大陸まで着いて、魔の森に入るところだから、迷わなければ三日以内には来ると思う」
「む? 待てチルノや。なぜダイの現在位置が分かるんじゃ?」
「それはね……【サイトロ】」
正確すぎる現在位置予測に何かからくりがあると見て尋ねれば、返ってきたのは言葉ではなく魔法だった。
サイトロは世界地図を表示して、位置を確認することのできる魔法だ。
現代科学を知るものならば、この光景はまるで拡張現実を見ているようだとでも思ったことだろう。空間に世界地図が浮かび上がり、地図上に光点が幾つも輝く。そしてそれとは別に、特異な輝き方をしている光点が一つある。チルノはそこを指さしながら言った。
「この光っているところが、今ダイのいるところ。で、こっちがロモス城の場所。これから考えると、旅路は順調に行っているみたいね」
「これも別世界の魔法か? いやはや便利じゃのう……」
唐突に浮かび上がった地図に、もう慣れたと思っていたブラスは再び驚かされた。
ダイの位置がわかるのは、チルノが目印となる特殊な魔力を込めた自身の髪の毛をパプニカのナイフの鞘に編み込んでいるためだ。そうすることでオリジナルの魔法では持ちえなかった、特定の位置を知ることもできるようになっている。
この方法で毎朝位置情報を確認しているため、正確な居場所が分かったのだ。
「おじいちゃんが連れ去られないままダイがロモスを出発しようとしたら、キメラの翼でロモスまで行って直接合流するわ。それでなくてもロモス-パプニカ間の航路途中でデルムリン島に寄ってくれると思うけれど……」
そう言いながらもチルノは、最後の考えは流石に甘えすぎだと思っている。航路の途中で立ち寄ることは可能だろうが、それでも都合良く彼女を迎えに来てくれるとは限らないからだ。そのためタイミングを見計らってキメラの翼で移動することになるだろうと考えていた。
「ふむ。そこまで考えておるならば、ワシは何も言わんよ。それはそれとしてじゃ。特訓もほどほどにな。肝心な時に動けんようでは特訓の意味もないからのう」
疲れ知らずのように特訓を続けていたチルノを見ながら、ブラスはそう言った。
ひょっとして、今まで話していたことはすべて、最後の一言を言うためだけの理由付けだったのだろうか。特訓を直接止めるのではなく、長々と話させることで休ませる。
思い過ごしかもしれないが、ブラスの不器用な優しさを感じたような気がして、チルノはもう少しだけ休憩を続けることにした。
■□■□■□■□■□■□■
「~♪ ~~♪♪」
その日は、チルノの歌声がデルムリン島に響いていた。これも彼女の修行の一つ、吟遊詩人のごとく歌うことで特異な効果を発揮させる特訓である。
鈴を転がしたような美しい声から紡がれる歌は、聞いているだけで心が安らぎ体力が回復していく……というのが理想である。現在は効果発揮を目指して練習中。まだまだ普通の歌だ。
「あれも訓練か……じゃがまあ、あのくらいならば良かろう」
先日までのいつ気絶してもおかしくないような修行とは違い、歌を歌っているだけなのだからブラスも安心である。心配でわざわざ見に来ていたが、問題はないと判断する。
覗いていた木陰から離れ、家路へと向かう。その帰路の途中にて、ブラスはふと気づいた。無理矢理に気付かされたといった方が正確だろうか。
「なっ、なんじゃこの凄まじい妖気は……!? まさかっ!!」
背筋に怖気が走るような感覚。何事かと思ったが、すぐに原因が思い当たった。これこそが、チルノの言っていた出来事に違いあるまい。そう判断すると、敵がどこから来ても良いように意識を強く持って辺りを見回す。
気が付けば辺りは曇天模様のように暗くなり、日の光はどこかに消えていた。周囲には薄い靄なものが立ち込めていき、恐ろしさに拍車をかける。何より、先ほどまで聞こえていたはずのチルノの歌声が聞こえてこない。
まるで、異変を知覚するよりも素早く別の空間に引きずり込まれたような、そんな恐ろしい感覚をブラスは味わっていた。
「キヒヒヒヒ! お前がブラスとかいう鬼面道士じゃな……」
聞こえてきたのは年老いた男のような、だが存外甲高い声だった。
「これは一体……? どうなっておるんじゃ!?」
「ヒッヒッヒッ、このぐらい造作もないことよ……このワシの妖魔力をもってすればな……」
何も見えないはずの空間から声だけが聞こえる。そんな感覚に囚われていたが、やがて周囲に漂っていたはずの靄が集まり人の形を作っていく。
そして、一人の男が姿を現した。
「お……おまえがっ……!?」
「ワシの名は妖魔司教ザボエラ! 大魔王六軍団のひとつ、妖魔士団の軍団長よ!!」
現れたのは存外小柄な老人だった。やや派手な印象を受ける法衣を身に纏い、蜘蛛を模した意匠の杖を持っている。その内側から滲み出てくる不気味な魔力は圧巻の一言。自ら妖魔と名乗っているのは決して伊達ではない。
「……一体、何の用じゃ?」
話には聞いていたが、実際に相対すればこれほどのものか。考えてみれば、アバンの張ったマホカトールの結界を、外部から影響を与えることなくスルリと通り抜けるだけでも、魔力の高さとその扱いに精通している証なのだ。下手をすれば一瞬でやられかねない。
ブラスは内心の冷や汗を流しながら気を引き締めなおす。
「なぁに、ちょいとワシの計略に貴様が必要になっての。部下に任せたかったんじゃが、あやつらではこの結界は抜けられんからな。ワシ自ら直接お迎えに来てやったというわけよ。せいぜい光栄に思うがよい」
「計略じゃと!? 何をするか知らんが、ワシがそう易々と従うと思うたか!?」
何も抵抗せずに連れていかれるようでは、逆に不自然だ。何かを企んでいると言外に宣言しているようなもの。ある程度の腹芸はブラスとて理解している。相手にならなくとも抵抗の素振りくらいは見せておく。そのくらいが相手も気に入りそうだと判断していた。
「フン、ジジイにしては中々威勢がいいのぅ。大人しく従えば良いものを、全く面倒じゃな……」
そう言いながらザボエラは手にした杖で島を舐めるように動かした。
「じゃが従わんと、この島が少々愉快なことになるぞ? ダイとか言ったかな? 小僧も戻る場所を失いたくはないじゃろうなぁ……」
同時に感じる魔力の集中。ザボエラは言外に言っていた。逆らえばこの島はどうなるか。炎の呪文で島全体を焼け野原とするか、はたまた冷気の呪文で氷の世界にでも変えようというのか。その過程で、島に棲む多くのモンスターもみな命を落とすだろう。
「ぐ、ぐぐぐ……わかった……好きにするがよい。ただ、ワシだけじゃ。この島と他の者には手を出さんと誓ってくれ……頼む……」
予定された行動とはいえ、このような相手の言いなりになることにここまでストレスを感じるとは。本気で歯噛みしながらもブラスは折れた演技を装った。そうとは知らぬザボエラは思い通りに事が進み上機嫌に顔を歪める。
「ヒッヒッヒッ、物分かりの良いジジイじゃな。そういうヤツは長生きができるぞ」
「それは、魔法の筒、か……?」
懐から取り出された細長い筒の正体を、ブラスは看破する。なにしろ自分も持っていたものだ。知らぬわけがない。
「ほう、なかなか博識じゃな。さすがは元魔王軍幹部か。そうよ、このワシ自ら改良した魔法の筒じゃ」
見るからに禍々しい黒い魔法の筒を自慢げに見せる。ブラスはこれからあれに封じ込められるのだと理解していた。予定通り、全く以って予定通りである。
「おじいちゃん……」
そんなブラスとザボエラのやり取りを、チルノは少し遠くから見守っていた。ザボエラが侵入して来たことは彼女も感じ取り、慌ててブラスの後を追っていた。もっとも、心配する必要もないほどあっさりと見つけられたが。
どうやらブラスが見ていた恐ろしい空間はマヌーサを応用した幻覚でしかなかったらしく、外から見たチルノではその残滓すら見ることはなかった。
もっとも、幻覚は見ずとも育ての親であるブラスを連れていかれるのだけはただ見ていることしかできない。予め決めていた行動とはいえ、ブラスへの不義理を働いているようでチルノは気が気でなかった。
「大人しく中で待っておれ! イルイル!!」
ブラスの考えもチルノの気持ちも知らぬまま、気を良くしたザボエラは筒を向けると封印の呪文を唱える。ブラスの全身が淡く光り、筒へと吸い込まれるかと思われたが、何事もない。
「む? どうしたことじゃ……?」
起こりえるはずのない事態に、ザボエラは筒とブラスを交互に見つめる。これまでが順調に進んでいただけに、その表情には混乱の色が強かった。
どうしたことだ? については、ブラスたちも同じ気持ちだった。このまま連れ去られるはずと思っていたところに突然のイレギュラー。何が起こっているのかわからぬまま、それでもブラスは年の功からか驚きの表情を懸命に飲み込んだ。
「これは!? 貴様の仕業か? ……いや、確かアバンがこの島には来とったな。となればヤツか。まったく勇者というやつはワシらの邪魔ばかりしよる!」
やがてザボエラが忌々しげに声を上げる。その視線の先にあったものは、アバンの守り――対策用にと持たされた護符である。邪悪な力を退ける効果を持つマホカトールがザボエラの持つ魔法の筒の力に敏感に反応し、その封印に抗ってしまった。
「……っ!」
普段ならばありがたいと思える効果も、今この時だけは歓迎できない。先の言葉から察するに、ザボエラはこの護符に気づいていなかった。ならば当初の目論見が成功する可能性は極めて高かっただろう。だがそれもこれでご破算となってしまった。
「外すのはちと面倒じゃな。ええい、多少傷ついても構わんわ。バギ!!」
「ぐうぁっ!!」
しばし護符を眺めていたものの、面倒になったらしく真空呪文を使って強引に護符を切断しようとする。だが護符は傷一つ付かず、その代わりだとでも言わんばかりに、ブラスの腕に裂傷が走った。
「おっと、いかんいかん。大事な人質に傷をつけてしもうたか……いや、多少傷ついていた方が価値は上がるかもしれんな。しかし、呪文にも耐性があるとはどこまでも面倒じゃな」
ブラスの腕から流れる血を見ながら、ザボエラは嗜虐的に笑う。その脳裏に浮かぶのは、人質となったブラスとダイが再会するシーンだ。邪気の影響を受けて凶暴化した状態で、それに加えてブラスが怪我を負っていると知れば、ダイの受ける衝撃はどれほどのものになろうか。それを想像してザボエラはほくそ笑む。
「まあよいわ。おい、とっととその厄介な物を捨てんか。お前自身の手で外した方が手間は掛からんからな」
「くぅっ……」
痛む左腕を庇いながら右手で護符を外そうとする。なんとか隠して持ち込めないものかとブラスは考えるが、既にザボエラが発見済みで警戒しているためにそれも難しかろう。忌々しく思いながらも護符を外していく。
「やめて!!」
そこまでが我慢の限界だった。本人すら意識せぬまま、チルノは陰から身を出すとブラスたちへ向けて叫んでいた。
「チ、チルノ……」
「あん? なんじゃこの小娘は?」
突如として投げかけられた声にブラスたちの注意が向く。
「チルノ、やめんか!」
「おじいちゃん、ごめんなさい。でも私は、おじいちゃんを傷つけられて黙っていられるほどいい子じゃない!」
慌ててブラスは注意する。ブラスとてこのままでは当初の計画がご破算になることは分かっている。だが、だからといって今チルノが出てきても事態が好転するわけでもない。むしろ身を晒したことで彼女も危険な目に遭う可能性が出てくる。それは親として見過ごすことはできなかった。
だが、ブラスが親としての意見だというのならば、チルノにも子供としての意見がある。
あのまま連れて行くだけならば、チルノはまだ我慢できた。爪が肌に食い込み、血が出るくらいに強く拳を握りしめながらも、まだ自制はできた。
譲歩できるのはそこまで。それ以上はダメだ。アバンの守りを手放すことまでは許容できなかった。優しいブラスにまたあのような苦しみを味合わせる気なのか。そう思うと我慢できなかった。
そしてチルノにとって何よりも許せなかったのは、ブラスを傷つけたことだった。バギの呪文が放たれブラスの腕から血が流れたことを見た瞬間に、もはや彼女は静観することなど出来なかった。
「む、まだ肉親がおったのか? 面倒じゃな、魔法の筒は一本しか持ってきておらん……」
不意に現れたチルノを見ても、ザボエラは特別な反応をすることはなかった。あえて言えば、ブラスとの会話から二人の関係性を理解してこちらも人質にできるかと思ったくらいだ。
「ザボエラ! 覚悟!!」
チルノはダイのナイフを取り出すと逆手に構え、ザボエラ目掛けて駆け出した。
腐っても相手は師団長――それも妖魔師団という呪文の使い手たちを率いているのだ。そしてチルノもどちらかと言えば後衛。ザボエラ相手に呪文合戦では勝ち目は無いと判断しての行動だ。決してやぶれかぶれの行動ではない。
ダイを相手に修行を重ね、数日とはいえアバンに仕込まれているのだ。ならば通用しないということはないはず。接近戦で意表を突いたまま、強引に押し切れるはず。そう判断していた。
「チッ、面倒な小娘め」
だが、チルノが想定していたようにザボエラは腐っても師団長である。純粋な前衛系の相手であればチルノの考えも通用したかもしれないが、不慣れなチルノの剣ではその戦術は悪手でしかなかった。
そもそも、苦手な手段で挑もうとすれば相手により大きな差をつけられて当然である。サンダラのようなザボエラが思いもよらない魔法を見せることで動揺を誘うなど、何か手はあったはずだ。だがそれすらも考えられないほど、彼女の思考は熱くなっていた。
そしてチルノが剣の間合いに踏み込むよりも早く、ザボエラの呪文が完成する。
「ギラ!!」
「ううっ!?」
強力な熱閃がチルノに向けて襲い掛かり、それに気づいたチルノは間一髪で横に跳んで避ける。だが直撃を避けられただけだ。ギラの熱量までは避け切れず、彼女の肌を浅く焼く。
「そら、もう一発じゃあ! イオラ!!」
気を休める間もなく、続いて爆裂呪文が飛んできた。今度はギラより呪文の影響範囲そのものが大きい。到底避け切れるものではない。
「ああっ!!」
爆発がチルノを襲い、彼女の細い体を木の葉のように吹き飛ばす。吹き飛んだ勢いは死なぬまま地面に叩きつけられたが、チルノは痛みを堪えながら必死で受け身を取って僅かでもダメージを軽減する。
「実力の差も弁えず、ワシに襲い掛かってくるとは……アホの考えることは理解できんわ。いや、考えてみれば人質が増えたことになる。なるほど、アホも少しは役に立つこともあるということか。とはいえ、人間一人持ち帰るのも面倒じゃな……」
蔑んだ眼を向けながらザボエラは考え込むように一人呟いた。チルノをどう扱うかを考えあぐねている。肉親である以上、ダイを相手に利用価値はあるはず。しかし魔法の筒は一本しかなく、ルーラで移動させるのも面倒。下手に暴れられればもっと面倒な上、ダイと組んでクロコダインに牙を剥く可能性もある。そんなものはザボエラが望む展開ではない。
「いや、待てよ……小娘一人抱えて移動するのは面倒でも、その
チルノとブラスが、同時にゾワリと背筋を震わせた。それは脅しの言葉かそれとも命をなんとも思っていない証左か。ザボエラの口調はあまりにも普通にそれを言っていた。チルノの体の一部を切断して、ダイに衝撃を与えるための見せ札としようということだ。
「首は存外に重いからのう。腕、いや手首の方が楽か?」
「待て待て! 待ってくれ! ワシは行くと言った! そして他の者には手を出さんことも約束してくれたじゃろう! 頼む、すぐに行く! 守りも外した! これでよいじゃろう!?」
ブラスが飛び出したようにザボエラの前に回り込み、土下座をせんばかりの勢いでまくし立てる。このままではザボエラは本当にチルノの腕を切断しかねないと感じ取ったのだろう。ブラスの慌てふためく姿を見ながら、ザボエラは思考を止めた。
「まあ、よかろう。考えてみれば、切断したばかりの腕など持ち歩きたくもないわ」
必死の願いが通じたのか、チルノへはこれ以上手出しはしないようだ。胸をなで下ろすブラスを尻目に、ザボエラは未だ起き上がれないチルノの下へと向かう。
「おい、小娘! 今回は見逃してやろう。お優しい父親と、慈悲深いワシに感謝するんじゃぞ? キィ~ッヒッヒッヒッ! そらっ!!」
「あぐっ……」
置き土産とばかりにザボエラはチルノを蹴り上げた。彼女の腹部を狙った一撃に、チルノは低く呻く。だがザボエラはそれ以上何かを行うこともなく、興味を失ったようにチルノから離れる。
呪文の痛みと先ほどの蹴りの痛みで限界が訪れ、チルノは意識をゆっくりと失っていく。薄れゆく意識の中で彼女が最後に知覚できたのは、ザボエラの「イルイル」と言う声だった。
チルノが意識を取り戻したのは、太陽が大分西に傾きつつある頃だった。まだ痛む体に鞭を打ち、上体だけ起こして辺りを見回した。薄暗くなり始めた周囲には、もはや誰もいない。
ブラスもザボエラも既にこの場から去っていた。ただ、ザボエラがイオラで開けた穴とチルノ自身が全身に感じる痛みが、先ほど考えもなしにザボエラに挑み、無様に負けてブラスに命を救われたことを雄弁に物語る。
冷静になって考えてみれば、チルノにとってダイのいない状態での初めての戦闘である。幾ら一人で頭に血が上っていたとはいえ、あれはない。先ほどの戦いを思い出し、自分の思慮分別の無さを恥じると同時に、ダイに今まで無茶を任せてきたことを心の中で謝る。
「ようやく理解した気になれるなんて、私も相当の大馬鹿ね……」
今まで後ろで援護出来たのは、ダイが前にいてくれたからだとようやく理解できた気分だ。弟が前にいてくれたから悠々と魔法を使って援護が出来た。役割分担だと言ってしまえばそれまでのことだ。だがチルノは自身の特異な能力によって前後衛どちらの区別もなく力を発揮でき、その才能はアバンによって多少なりとも鍛えられたはずだ。それが何一つ実力を見せられなかったことが情けなくて仕方がなかった。
自責の念に駆られ、思わず自分の額に拳を一発叩き込む。そうしたところで何が変わるわけでもないが、少なくとも自分の気分は少しは晴れる。
「ピィ……」
「……スラリン?」
か細い声が聞こえ、チルノが良く知るスライムが申し訳なさそうな表情をしながら姿を見せた。そうしてゆっくりとチルノへと近づいていく。近寄ってきたスライムを、彼女は優しく抱き上げた。
「ピィ! ピピィ!!」
「そっか……うん。ごめんね、心配かけて。おじいちゃんは、連れていかれちゃった。先生が作ってくれたお守りもとられて……私も止めようとしたんだけど、負けちゃって……」
「ピピィ!! ピィ! ピィ!!」
「え、今までずっと見てたの? 島のみんなで? 起こしてくれても良かったんだけど……」
スラリンの言葉に辺りを見回すと、隠れていたモンスターたちがぞろぞろと姿を見せる。各々が皆、ザボエラの襲来に気づいた者もいれば、イオラの爆音で気づいた者もいる。ただ、全員がチルノとブラスを心配して駆けつけたということだけは変わらなかった。
事の顛末を見ていた者によって、何が起こったのかを知るモンスターたちだったが、チルノについては何と言って良いのかわからず声を掛けられずにいた。そのうちに自力で目覚め、かと思えば自分を自分で殴るような様子を見せれば、飛び出てきても無理もない。
「みんな……みんな……」
チルノの言葉に、モンスターたちは皆声を上げる。その全てがチルノが負けたことを責めることもなく、慰める言葉。自分たちも手だし出来なかったことを謝る言葉だった。
「ううん、そんなことない……ありがとう……」
感極まり、スラリンを優しく抱きしめる。その様子を見て一角ウサギが近寄り、マッドオックスが体を摺り寄せ、暴れ猿が隣に座る。島中のモンスターたちが全員、チルノの下に集まっていた。その一人一人に言葉をかけているうちに、チルノは疲れからか安堵からか、眠りにつく。
そんな彼女のあどけない寝顔を見ながら、モンスターたちもみな今日だけは自らのねぐらに戻ることもなく、彼女を守るようにその場で眠りについていった。
ロモスの魔の森に存在するクロコダインの拠点にて。
クロコダインは突然訪れたザボエラとの問答を繰り広げていた。ダイに敗れたことを知り、協力を申し出るザボエラに対して、クロコダインは断固として拒否をする。
ザボエラが申し出た協力の方法、それは人質を使うことだった。ダイの親であるブラスを人質に、絶対的な優位を手に入れてからダイを叩く。拒絶の意志を見せるクロコダインを前にして、ザボエラは弁舌を用いて煽っていく。
万が一に負けた場合にどうなるのかを。敗れた場合に評されるであろう不名誉についてを。
「悪いことは言わんよ……勝ちたくばこれを使え。お主とて今の地位、失いたくはあるまい?」
そうやってザボエラは、禍々しい意匠の箱を取り出す。この中に入っている物こそ、ブラスを封じた魔法の筒である。既に大魔王の邪気をたっぷりと浴びせており、中のブラスはそれに耐えきれずに凶暴化した状態で封じているのだ。あとは決戦の場にてこれを解き放つだけ。
「…………くっ!」
ザボエラが差し出した箱を目掛けて、クロコダインも手を伸ばす。
だがそれでいいものかと、クロコダインは逡巡する。これを使えば確かにダイには勝てるだろう。だが、彼の他の仲間がどう出るか。ミーナに襲い掛かった流れ玉に対して、躊躇うことなく庇って見せたマァムの姿が。怯えて何も出来なかったはずのポップが、土壇場で機転を利かせてクロコダインの武器を凍らせて攻撃を防いだことを。獣王は思い出す。
決して侮ることの出来ない存在。そしていざとなれば勇気を奮うことが出来る。自らの身を顧みずに他者に接することの出来る。そんな相手に対して、自分は敬意を払わず相対するのかと。
武人としてのプライドが、箱を受け取ることを拒絶させる。保身と誇りがせめぎ合い、無言の時間だけが過ぎていく。
やがて――クロコダインは箱を握っていた。
翌日、チルノは島中のモンスターたちの前で宣言していた。
「ごめんねみんな。私、やっぱり行ってくる!」
そう言ってモンスターたちに深々と頭を下げる。
時刻はまだ早朝に近い頃。東の空から太陽がようやく顔を見せ始めた頃だ。チルノは日が昇る前から起きると旅支度を済ませ、起き出してきたモンスターたちに胸を張ってそう告げる。
「本当は良くないことだってわかってる。ダイたちのためにならないんじゃないかってわかってる……でも、行くわ。目の前でおじいちゃんを傷つけられて、私もあしらわれて、それでもまだ無事を祈ってるだけなんて、私にはできそうもないの」
チルノの言葉にモンスターたちは寝ぼけ眼を止めて沸き立つ。我慢することはない、好きにやってこいと口々に囃し立てる。彼らは先の未来を、本来の歴史を知らないからこそ、こうやって好きに言えるのだ。それは分かっているが、それでもチルノには彼らの言葉に強く頷く。
荷物を纏めた袋からキメラの翼を取り出そうとして、チルノはふと日課になっていたことを思い出してサイトロの魔法を使う。
現れた地図に映し出された光点は、ダイが現在ロモスにいることを告げている。
「……これも神の見えざる手ってことかしら?」
まるで事前の打ち合わせをしていたかのようだ。あまりに都合の良すぎるタイミングに、地図を見ながら自嘲すると、首元に揺れるアバンの守りを握りしめる。
ブラスが捨てたそれを拾いなおし、絶対に忘れないように首から提げているのだ。これを渡せればよし。渡せなければ……チルノは首を横にブンブンと振って最悪の可能性を頭から追い払う。
「それじゃあみんな、ちょっとだけ留守番しててね。おじいちゃんを連れて、必ず戻ってくるから!!」
モンスターたちに向けて手を振りしばしの別れの挨拶としてから、改めてキメラの翼を取り出す。
「キメラの翼よ! ロモスへ導け!!」
チルノはキメラの翼を天高く放り投げた。
ここで区切り。キメラの翼を投げるところでシメたかった。
自分で考えたことを自分でぶっ壊していくスタイル。なんで姿を見せた挙句に乗り込んじゃうかな(苦笑) 成長の糧にするために皆で耐えるって決めたじゃないですか。
ですが、安全装置が外されて怪我まで負わされれば怒って当然ですよね。受け入れてくれた相手であり、10年以上一緒に暮らしてきた親。そんな相手を傷つけられては黙っていられません。そもそも家族を傷つけられたら誰だって怒りますよそりゃ。取返しにも行きますわ。
(そういった意味では策士に向いてませんね)
そしてザボエラの場面を書いてる時の楽しさよ。今は頑張ってヘイトを稼がせたい。
(切断した腕とか見せて、相手の動揺を誘う作戦。でもそれやったら流石にクロコダインもブチ切れてザボエラを攻撃しそう)
デルムリン島残留者。魔法使ったり、必殺技使ったり、踊ったり歌ったりしてますね……
(後で「こんなこともあろうかと!」と便利に使うために)アバンの特訓は密度の濃い時間を連続で多種多様に詰め込まれたと想定しています(そのせいで器用貧乏とも言えますが)
そして爆裂拳が気付けばこんな扱いに。だって探しても詳しい技の説明ないんだもの!
あの技は見た感じだと片手で拳をこうズガガガガッと叩き込んでいる。でもダメージ表示1回だけ(FF6準拠)防御力無視という効果から、鎧では防げない攻撃。いわゆる内部破壊と妄想。
(別にどんな技かなんて、気にしなければそれで済む話ですけどね。爆裂拳を放ち、岩を破壊した。くらいでも)
拡張現実って書いたけど伝わりますかね? ARです。カメラを通すとARコードの上にキャラが浮かぶアレです。あんな感じで、にゅっと地図が空間に浮かび上がるのが個人的イメージのサイトロ。
(世界地図と町や村の場所が分かるとか、ある意味メテオより危険ですね)
ブラスが連れ去れた翌日にクロコダインがロモスに総攻撃を掛ける。その前日の夜にはダイがロモス入りをしていて、総攻撃の直前にチルノがキメラの翼でロモスに到着する。という時系列をこの中では採用しています。
(原作の時系列よくわからなかったので)
まるで奇跡のようなタイミングですね(笑) ご都合主義すぎますが、まあ原作も(略)
(例:ガルダンディーに苦戦するポップの前に都合良すぎるタイミングで来るヒュンケルetc)
次、ようやくロモスのボス戦か……何にも考えてないんですけど……
てかロモスならブロキーナ師範なんとかしてよ……覇者の剣もザムザも……(悩みの種)
何時になることやら……