銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百五訓 適度にスッキリさせなければいつまでも溜まってしまう

 川の流れている所を歩いていく銀時達。文の言葉を信じるならば、このままずっと上へ登っていけば問題の神社まで辿り着くとのことであった。あの場面で嘘をつくわけがないので、銀時達は無条件で信じていた。

 

「もう少しであの巫女ブッ飛ばせるのね……今からどう調理してやろうか楽しみだわ」

「霊夢、もう少し怒りのボルテージ抑えるんだぜ……冷静な判断出来なくなっちまってるぜ……」

 

 霊夢は天誅を下すことで頭がいっぱいなご様子。

 そんな彼女を必死に宥める魔理沙という何とも新鮮な図が生まれていた。

 

「霊夢がいつもにまして迫力あるネ」

「場所が近づくにつれて、溜め込んでた怒りがヒートアップしてきているんですね……」

「あ、ちょっと待ってくれ」

 

 ここで銀時が一同に止まるよう指示する。

 

「どうしたんですか? 銀さん」

 

 気になった新八が尋ねる。

 すると銀時は、

 

「テメェらちょっと先行っててくれ。俺もすぐ追いつくから」

「一体何があるっていうのよ?」

 

 少しは怒りを抑えた霊夢が銀時に尋ねる。

 銀時は川を見ながら一言。

 

「川見てたら、ちょっとションベンしたくなったからここで……」

「アンタ今最低な台詞吐いてるぜ!?」

 

 出来れば聞きたくなかったと思ってしまった魔理沙なのだった。

 霊夢の顔には青筋が浮かんでいる。

 

「だから先行けっつったろ? すぐ追いつくって。ちょっくらすっきりするだけだから」

「知らないわよ!! こんな時にアンタってば何考えてんのよ!!」

「仕方ねぇだろ……出ちまうもんは出るんだからよ。俺だって我慢してたんだよ」

 

 特に悪びれる様子もなく銀時は言う。

 神楽と新八の二人は、『あぁいつものだ』と言わんばかりの表情を浮かべている。

 シリアスが続くとたまに忘れてしまうのだが、坂田銀時という男はチャランポランな一面も兼ね備えている。今回はその部分が如実に現れてしまっていることの表れなのだろう。

 

「……漏らされても困るわ。私達は先に行くから、すぐ追いつきなさいよ」

 

 怒っても仕方ないと思ったのか、霊夢は歩き出す。

 心なしか、先程よりも怒りは少し収まっているようにも見えた。

 

「んじゃ、銀さんもすっきりさせたら来るんだぜ」

 

 魔理沙も、なるべく銀時の方を見ないようにしながら霊夢の後を追う。

 新八と神楽の二人もその後を追い、とうとう銀時は一人になった。

 

「よしっ」

 

 銀時の銀時を取り出して、所謂立ちションをする。

 心地よい音が奏でられて、銀時の心を穏やかにする。

 それは綺麗に流れる川に向けて、綺麗に発射される。

 だからこそ銀時は気付かなかった。

 

「ちょっ!? なにしてるの!?」

「あ?」

 

 川下の方で、今からもれなく水を飲もうとしていた二人の少女の存在に。

 

「私達が水を飲もうとしてるの分かってて、こんな所で用を足そうとしてたの!?」

「み、穣子ちゃん、落ち着いて……っ」

「静葉ちゃん、これが落ち着いていられるの!? もう少しで私達、汚い水飲まされるところだったんだよ? あんな天然パーマの体液が、神様である私達の身体に沁み込まれてしまう所だったんだよ? 汚される所だったんだよ?」

「おいちょっと待て。人を病原菌みたいな扱いすんな?」

 

 穣子と静葉と互いを呼んだ少女。

 しかもその内、穣子から酷い風評被害を受ける銀時。

 

「ってか、今お前神様っつったか?」

 

 何より、自分達のことを神様と称した少女。

 それに対して、穣子が答える。

 

「その通り!」

「私達は、秋を司る神なの……」

 

 続く形で、静葉も控えめに答える。

 それに対して、銀時が一言。

 

「あー……そういう遊びは余所でやれ?」

「アンタ真面目に聞く気ある? 祟るよ?」

「私達祟り神じゃないからそんなの無理だよ穣子ちゃん……」

 

 銀時目線で見れば、小さい子が自分達を神様だと称して遊んでいるようにしか見えない。

 ただしここは幻想郷だ。どんな存在が居たとしてもおかしくはない。

 

「んで、その紙様とやらが何してんの?」

「待って。なんか漢字違う気がするんだけど。気のせい?」

「気のせいだろ金髪ボブ」

「それだと私なのか静葉ちゃんなのか分からないよ?」

「そっか。じゃあ金髪アホボブ」

「アホってなんで!?」

 

 ひたすら銀時に遊ばれる穣子。

 そんな彼女に対して、オロオロとしながらどうしたらいいか分からなくなっている静葉。

 

「っと、このままじゃ追いつけなくなるわ。なんか知り合い曰くこの山危険だっつーことだから、テメェらも気をつけろよ」

「「え?」」

 

 静葉と穣子はきょとんとしていた。

 そんな彼女達の反応に対して、銀時もきょとんとする。

 

「どした? 鳩が豆鉄砲を食ったような表情浮かべて」

「い、いや、なんでもないよ……?」

 

 静葉が答える。

 

「というか、アンタは何しに来たの? そんな危険な山に」

「俺か? あー……巫女退治?」

 

 頭を掻きながら銀時が答える。

 その言葉を聞いた瞬間。

 

「「……あっ」」

 

 静葉と穣子の二人は、あることに気付く。

 それを確かめる為に、

 

「もしかして……坂田銀時?」

「え? 俺のこと知ってんの?」

「やっぱり……」

 

 穣子が名前を尋ねると、銀時はその通りだという反応をした。

 ここで彼女達は確信する。

 

「あの、緑髪の巫女には注意してね?」

「は?」

 

 静葉が銀時に、忠告(?)をする。

 何のことかさっぱり分からない銀時だが、とりあえずその場を後にすることに。

 

「……ねぇ、静葉ちゃん」

「何? 穣子ちゃん」

「あの男……多分あの神社で巫女がドハマりしてるっていうお侍さんだよね?」

「うん……そうだと思う。聞いてた話と一致するし」

「……あれ、かっこいい?」

「……うーん……」

「チャランポラン……木刀……天然パーマ……どうしよう、あの巫女がハマっている理由がまったく分からない」

「ごめん……私も……」

 

 銀時が去った後、二人の姉妹はそんな会話をしていた模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

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