銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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気付いたら文字数30万字を突破しておりました……。
すごい……。


第百九訓 時として情報は人の考えを左右する

 博麗神社乗っ取り未遂事件から一夜明けて、場所は紅魔館。美鈴はいつも通り門番の仕事をしつつ寝ていて、咲夜がそんな彼女に対して説教をし、パチュリーと小悪魔が図書館の整理をする中、レミリアとフランの二人は咲夜が淹れてくれた紅茶を楽しんでいた。

 

「お姉様、最近本当に楽しいね」

 

 紅茶を飲みながらニコニコと語りかけてきたのはフランだった。聞き手であるレミリアもまた、笑顔で答える。

 

「そうだな。こうして二人でじっくり楽しめるのも……ギントキのおかげなんだな」

「うん。ギン兄様があの日、私に語りかけてきてくれなかったら……そしてお姉様とけんかしていなかったら……きっと私は今でも地下室に閉じこもったままだったと思う。お姉様のこと大好きだから、あのままもしいつまでも地下室にいて誰にも会えなかったのかもしれないと思うと……だからね、今の楽しい時間をしっかり満喫するの!」

 

 フランドール・スカーレットは、自身の感情を抑圧しすぎたあまりに狂っていた。そんな狂気が取り除かれ、心からの本音をぶつけてわかり合ったあの日、彼女達の時間は動き始めたのかもしれない。

 そんなきっかけを与えたのは、坂田銀時という一人の侍。

 

「私、ギン兄様のことがすごく大好き。多分この気持ちはお姉様に対する好きとか、屋敷の人に対する好きとは違うんだって思うの」

「……そうか。そうだな」

 

 フランドール・スカーレットは、坂田銀時に恋をしている。自他共に認められた事実。

 レミリアからしてみれば、妹が抱いた大切な感情。それを壊して欲しくないし、出来ることならば幸せになって欲しいと思っている。もはや彼女達にとって坂田銀時はいなくてはいけない存在となっているのだ。

 だからこそ、レミリアは時々不安を抱く。自分達でこうなってしまっているのだから、幻想郷に住む他の人は一体どうなっているのだろうか。同じような状態になっているのだとすれば、坂田銀時が幻想郷からいなくなってしまう日が訪れた時、果たしてこの世界はまともな状態を保っていられるのだろうか……。

 

「お姉様?」

「ん?」

 

 レミリアが思考の世界に没頭していると、心配そうな眼差しをしながら覗き込んでくるフランの姿があった。

 レミリアは彼女の頭を撫でながら、

 

「なんでもない。少し考え事をしていただけだよ」

 

 と、優しく語りかけた。

 願わくば、今のままの時間が続けばいいのにと思うのに、彼女の能力を使って導き出された運命には、『坂田銀時に訪れる死』が待ち受けている。

 厄介なのは、『どうして坂田銀時にそのような運命が待ち受けているのか』というのが分からない所だ。解明しようにも謎が残るだけ。彼女の能力によって見える光景はその点だけなのだ。

 

「……」

 

 彼女はこれからも、フランの幸せを祈り続ける。その上で坂田銀時の存在は欠かせないものだと確信しているので、彼の命を脅かす者が現れたとしたら、恐らく──。

 

「号外ーっ! 号外ーっ!!」

 

 その時、レミリアの思考を妨害するように、号外を持ってきた射命丸文が現れた。

 

「あ、ギン兄様が言ってたマスゴミの人だ!」

「ちょっと!? なんでその覚え方で通ってるんですか!? 私は清く正しく美しく、何処よりも素早く情報をお伝えする文々。新聞の新聞記者、射命丸文ですよ!! マスゴミって単語流行ってるんですか!?」

「アンタを表すにはちょうどいい単語じゃないか。身の丈に合ってていいぞ」

「どういうことですかー! せっかく号外として坂田さんの情報が入った新聞をお届けに参ったのにー!」

「ギン兄様の!?」

 

 いち早く反応したのはフランだった。

 彼女としては銀時の様子について気になるのだろう。

 彼が新聞に出るということは、つまり何かしらの異変に巻き込まれていたことを指しているのだから。

 

「なるほど。また何か異変が起きたわけか」

「そうなんですよー。今回は博麗神社を巡った戦いがありまして……それがいつのまにか坂田さん争奪戦になりつつあったものでしたから……」

「「ん??」」

 

 文の説明を聞いた二人が、そこでハモる。それはもう綺麗にハモった。気になる点が全く以って同じだったからだ。

 

 

「今、なんて言った?」

 

 レミリアが尋ねる。

 

「だから、博麗神社争奪戦……」

「ちがう、その後。なんか聞き捨てならない単語が聞こえてきた気がするの」

 

 追撃するはフラン。

 文は『しまった』という表情を浮かべている。彼女たちに対して銀時の話題を出すということは、それだけ追求されることを意味しているからだ。

 それに、文はフランの気持ちを理解している。ある程度ならば新聞のネタとして消化出来るとは思われるが、今回については果たしてどうなることやら。

 かと言って、一度いってしまったことは撤回することは出来ない。

 

「……ここに新聞置いていきますので、あとは読んでみてください!!」

 

 故に彼女は逃亡した。

 新聞をテーブルの上において、自身の速度をフル活用して、脱出。

 

「……これね」

 

 レミリアが新聞を手に取る。

 フランは隣にやってきて、レミリアと共に新聞を読む。

 そこに書かれていたのは、

 

『巫女同士の熱いバトル! 婿養子を手に入れるのは果たしてどっちだ!?』

 

 という、ゴシップ記事顔負けの煽り文句と、早苗に追いかけ回されている銀時の姿。

 

「「…………」」

 

 二人は言葉を発しない。

 

「……これ、ナニ?」

「……なんだろうな」

 

 フランの目はぐるぐるとなっていて、レミリアは内心動揺している。

 

「記事のトップは割とどうでもいいの。だけど、この記事に写ってる女の人……一体誰なんだろう……」

「…………」

 

 彼女達はある意味銀時を信用している。

 故に銀時からこんな話を吹っかけるわけがないということを理解している。

 だが、それでも納得出来ないのは、写真に写っている少女の存在。つまり、東風谷早苗の存在が許せないのだ。

 今にも銀時に抱きつこうとしている、その少女の写真が。

 

「……お姉様。宴が楽しみだね」

「……そうね」

 

 最早宴がどうなってしまうのか、今から不安で仕方ないという感じのレミリアであった。

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

 

 

 

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第百九訓 時として情報は人の考えを左右する

 

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