銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百十三訓 逃げるが勝ち

 坂田銀時は現実逃避に近い何かをせずにはいられなかった。何せ今目の前で繰り広げられている光景は、とてもじゃないがどうすることも出来ないもの。周りにいる人にすら恐怖を与える程の圧迫感なのだ。その証拠に、隅の方ではチルノが泡を吹いて倒れていたり、パチュリーが『むきゅ〜』と呟きながら目をぐるぐるとさせている。

 理由は目の前にいる四人の少女。

 

「それで? 貴女達は先程銀時のなんて言ったのかしら?」

 

 にこにことしながら牽制してきたのは幽香だった。

 それに対して反応したのは、

 

「銀時さんは将来守矢神社を引き継いでくださる私の旦那さんです! つまり私は、銀時さんの嫁ということです!!」

「旦那様は私の出した無理難題を無事に解決した素晴らしきお方よ。蓬莱山輝夜が嫁入りするのに相応しい男であると確信したのよ。私は坂田輝夜として嫁入りする決意をしているわ」

 

 今回の騒動を巻き起こすきっかけともなった二人である、早苗と輝夜だった。

 彼女達は銀時について譲るつもりが微塵もない──! 

 

「ギン兄様は私の家族なの! 私のそばに居てくれるって約束してくれたもん!!」

 

 フランもまた、彼女達に喰らい付く。

 その言葉に嘘偽りは存在しない。たしかに銀時はなるべくフランのそばにいることを約束している。他の者とは違って、フランは事実をもって勝負することが出来るのだ。

 

「私は銀時をとても魅力ある男だと認識しているわ。確かにマイナスな点も存在するのかもしれないけど、それを上回る勢いでとても良い所があるのもまた事実。あまり関わる時間がないのが残念だけど……」

 

 幽香は住んでいる場所や、花達の世話をする関係もあるために、なかなか銀時と会う時間が取りづらい。主に宴会の場面で会話をするか、太陽の畑でお茶を嗜むかのどちらか。

 だからと言って、彼女もまた他の者達に負けるわけではない。

 

「その代わり、こうしてボディタッチをすることも出来るわ」

 

 銀時の側まで近寄ってきたかと思いきや、その豊満な胸を押しつけるように、銀時の腕に抱き着いた。

 

「ふぁっ!?」

 

 今まで声を出していなかった銀時が謎の奇声を上げてしまう。まさかこの場面で抱き着かれるとは考えてもいなかったので、突如として感じ取れるようになった二つの幸せな感触と、鼻を刺激する華の心地よい香りに、銀時のアーム砲が準備態勢を取り始める。

 

「なっ……!」

 

 驚きの声を上げたのは早苗だった。何せいきなり恋人同士がやるような抱きつき方をしだしたのだ。傍目から見ればただいちゃついているようにしか見えない。

 

「うふふ。甘いわね……」

「なにを……?」

 

 しかし、あまり動じていない様子の輝夜。

 そんな彼女を見て幽香は思わず尋ねてしまうが、

 

「私は旦那様と一夜を共にしたわ!!」

 

 ドヤ顔で宣言する輝夜。

 

「てめぇが勝手に潜り込んできただけだろうが!!」

 

 すかさず銀時はツッコミを入れる。随分と輝夜相手には容赦のない銀時である。対応がまさしく猿飛にするそれと同じである。

 

「その程度のボディタッチなんてとっくに済ませてるし、何より私には同じ布団で寝たというアドバンテージがある!」

「う、うらやましい……私も今度やってもらわなくちゃ……っ!!」

 

 この中で唯一、そういったことがほとんどない早苗。銀時に出会ったのが一番遅く、かつ、関わっている時間もそんなにないのだから当然のこととはいえ、彼女には大打撃だろう。

 そんな中で、フランは顔を赤くしながら俯いている。

 

「どうしたの? 何も言えなくなっているのかしら?」

 

 挑発するように告げる輝夜。

 誰もが輝夜以上の何かはもうないだろうと思っている。

 実際にはその逆。フランは彼女達に対する唯一の対抗策を持っている。ただし、それを提示するのが恥ずかしいのだ。

 それはこの場で公開告白をすることと同じ。しかしこのままやられっぱなしになると、銀時がとられてしまうかもしれない。

 そう考えたフランは、勇気を振り絞り……。

 

「わ、私は!! ギン兄様ともう、き、キスしたもん!!」

 

 瞬間。

 今まで各方面で騒いでいた者達が、一斉に銀時達の方を見た。

 

「…………えっ」

 

 驚きのあまり、幽香は銀時に抱きついていた腕の力を緩めてしまう。その一瞬の隙をついて、フランが正面より銀時に抱きついた。

 

「なっ……」

 

 銀時もまた、何も言えずにいた。

 確かに、フランは銀時に一度キスをしている。しかもその際、銀時に告白までしているのだ。好意があることについてはこの段階で既に気付いていたし、周りもほぼ黙認していたことではあったが、よもやそこまでいっていたなどと誰が想像していたであろうか。

 何せその現場、誰一人として目撃していない。にも関わらず、『フランならやりかねない』という気持ちがあり、その真偽を確かめようとしている。

 つまり、視線が怖い。

 

「……ねぇ、銀時。今の話、すごく興味あるんだけど」

 

 今まで全く別の場所にいたはずの霊夢が、気付けば銀時の真後ろまでたどり着き、背筋が凍りつくような冷たい声で話しかけてくる。

 

「い、いや、その、な?」

 

 余計なことを言ったら、自分の首が飛ぶかもしれない。

 そんな緊張感の中銀時が取れる行動は……。

 

「……フラン、しっかり掴まってろよ」

「ふぇ?」

 

 フランにしか聞こえないように耳元で話しかけると、次の瞬間には、フランを抱き上げて、その場から……脱走。

 

「あ、逃げた!!」

 

 坂田銀時、フランドールを引き連れて、その場から逃走した模様。

 

 

 

 

 

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