銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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今回からはポロリ篇その伍です!


ポロリ篇その伍
第百十五訓 物事には大抵理由が存在する


 坂田銀時逃走事件から数日が経過したある日のこと。銀時はというと、守矢神社に来ていた。前回は異変後の宴ということで呼んだ筈なのに、結局追いかけっこをして終わってしまったことに対してお詫びをしたいとの申し出が守矢神社側よりあったからだ。

 主に追いかけっこが始まった理由は乙女の喧嘩であり、さらに大元を辿ると銀時にもその一端がないわけではないのだが、この際一度話は置いておくものとする。

 そんな訳で守矢神社に赴いた銀時だったが、

 

「ん? 今日はあの巫女いねぇのか?」

 

 その場に早苗の姿はなかった。

 通された場所に居たのは、諏訪子と神奈子の二人のみ。辺りを見渡したところ、早苗の姿は確認出来なかった。

 それに対して諏訪子が答える。

 

「早苗は今、人里に行って信仰を集めてるんだよ」

「信仰を?」

 

 霊夢とは違って普通に巫女らしいことをしているらしい早苗。思えば銀時は、幻想郷に限らずまともな巫女に出会ったことがない。引きこもりニートとキャバ嬢姉妹であったり、常に金欠で困り果てていたり。

 

「後から早苗も来るわ。それまでにどうしても話しておきたいことがあったんだ。お詫びも兼ねて、少し付き合ってもらいたくてな」

 

 杯に酒を注ぎながら、神奈子が言う。

 銀時も二人の杯に酒を注いだ。三人の酒が揃ったところで、各々が杯を持ち、少し上に上げた。乾杯の合図だ。

 

「神様に頼まれちゃあ俺も断れねぇな。で? 話ってのはどんな内容なんだ?」

 

 酒を飲みながら銀時は尋ねる。

 

「……早苗のことだよ」

 

 意を決したように、諏訪子が話を切り出した。

 

「あの巫女の話か?」

「あぁ。話を始める前に聞いておきたい。早苗のことをどう思っている?」

「怖い暴走巫女」

「ぶちのめすぞ?」

「落ち着いて神奈子!! 悔しいけど今のところ坂田銀時目線から見たらそういう風にしか見えないから!!」

 

 前回の壮絶な鬼ごっこや、過剰なアピールを受けている銀時目線で見たら何も間違っていない答えだった。思わず神奈子は怒りで拳を握りしめるも、諏訪子が必死にそれを止める。どうやら意外にもこの中で一番常識があるのは諏訪子のようだ。

 

「まぁ、気になる点は様々あるな。テメェらが幻想郷に来たのは信仰を集める為ってのは理解した。しかし、信仰を集める仕事は必ずしも早苗である必要はない筈。それに……」

 

 一度言葉を区切り、銀時は酒を飲み干す。自分の杯に酒を注ぎながら、

 

「アイツの家族は何処行った?」

 

 本人を前に口にしたことはなかったが、銀時が引っかかっていた点はまさしくそこ。得体の知れない場所に向かうかもしれないというのに、その場所に早苗の家族の姿はない。彼女が元から幻想郷に暮らしているのならばともかく、外の世界から来たと言った。即ち両親がいる筈なのだ。

 その質問に対して、神奈子が答える。

 

「早苗が幼い頃に、両親は既に死んでいる。唯一の肉親だった祖母についても、天寿を全うされてしまった」

「……つまり、早苗にとっての家族ってのは、テメェら二人ってわけか」

 

 神奈子は言葉ではなく、頷くことで肯定の意を示す。

 

「別に家族の愛を受けてないわけじゃないんだよ。ただね、その期間があまりにも短いし、男性の身寄りとなるといよいよもってほぼ会話すらしたことないような状態なんだ。だから表現の仕方がわからずに、あんな行動に出てるんじゃないかなって思う」

 

 諏訪子は酒を一気に飲み干した後に、自身の考えを伝えた。

 

「実を言うと、今回の事件において私達は、早苗を貴方に会わせるつもりはなかったんだ」

 

 銀時に酒を注ぎながら神奈子が言った。

 

「そうなのか?」

「もちろん私達が、早苗をアンタみたいなチャランポランに染めたくなかったって言うのもあったけど……」

「いきなりチャランポランって言うのやめてくんない?」

 

 流石に銀時も、諏訪子の言葉に抗議していた。いきなりチャランポラン攻撃が繰り出されたのだ。

 

「きっと、早苗は依存に近い感情を抱いてしまう。それじゃああの子は……幸せになれないんだ」

「……」

 

 神奈子は唇を噛み締めていた。その様子は、心から早苗の幸せを祈っていることを表している。早苗の家族として。

 

「これが恋愛で止まるのならばまだ良かった。成功しようが失敗しようが、立ち直る事も学ぶことも出来る。けど私達は、今の早苗が抱いている感情の正体を……依存に近いものだと認識している」

「そして相手はアンタだよ。私の予想が間違っていなければ……アンタは自分の幸せの中に、『自分』を入れちゃいない。つまりそのうち、アンタは命を落とすかもしれないということなんだよ……今までの噂から、私と神奈子が建てた推察でしかないけどね」

「そんな相手に依存してしまったら……だけど、きっともう遅いんだ。だからこれだけはなんとしてもお願いしたい」

 

 そこまで言うと、神奈子と諏訪子の二人は、杯をおいて、銀時の前で頭を下げつつ、

 

「「早苗を、悲しませないであげて欲しい」」

 

 自身の想いを伝えたのだった。

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百十五訓 物事には大抵理由が存在する




お知らせです。
新連載、始めました。
『やはりバカ達の青春ラブコメはまちがっている。』
俺ガイルとバカテスのクロスオーバー作品です!
よろしければ是非とも応援よろしくお願いします!
ただ、銀色幻想狂想曲も負けじと更新しますよ!
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