銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百十七訓 たまには違う人物が主役を張る話もある

 毎度お馴染みBGオンリー。

 万事屋を背景に、二人の声が聞こえてくる。

 

「……暇」

「働くアル社会のゴミ」

「のっけから神楽ひどくね? どストレートにただの悪口オンパレードだよな?」

「そんなの当然ネ。昼間っから寝転がってジャンプ読んで鼻糞ほじくってる暇あったら外出て仕事の一つでも手に入れてこいヨ」

「ソファに寝転んでテレビ見ながら酢昆布齧ってる神楽に言われたくねぇんだけど? てか、何で今日新八いねぇの? ライブのおっかけ?」

「姉御から、今日は幻想郷に行ってるって聞いたアル」

「珍しいな。あいつ一人で幻想郷行くたぁ……どうせ暇だし俺らも行くか?」

「お? 現地幼妻に会いに行くアルか? 」

「おいそれ誰のことだよ」

「いつも近くに居るアル。いい加減認めるネ。ドキドキイチャイチャらぶちゅっちゅしてるアル」

「してねぇからな? らぶちゅっちゅしたら姉にぎゅっぎゅっされちゃうから。ドキドキの展開が待ち受けてるから」

「紅魔館大戦が起こりそうネ。それはそれで楽しそうアル」

「楽しくねぇから。俺命がけだから」

「そんなわけで行くなら早く支度しろヨ。いつまで惰眠貪ってんだ天パー」

「テメェにいわれたかねぇよチャイナ」

 

 結局、この二人が動き出すまでにかかった時間は、この会話が繰り広げられてからおよそ数時間後だったという。

 ツッコミ役である新八がいないだけでこの体たらくであった。

 

 

 肝心の新八はというと、少し薄暗い森の中を歩いていた。

 

「相変わらずここは薄暗いなぁ」

 

 この場所は、以前永夜異変が起こった時に通った森である。

 彼が今ここを歩いているのは、とある人物に会う為だ。

 

「思えば一人でここに来るのは初めてだし、なかなか会いに行くことも出来なかったからなぁ……僕のこと覚えてるかなぁ」

 

 ポツリと呟きながらも、新八は歩き続ける。

 やがて、薄暗い森の中に薄っすらと光る提灯みたいなのを見つける。

 

「……ん?」

 

 そして目に映ったのは、

 

「……屋台?」

 

 香ばしい匂いをさせながら何かを焼いている屋台だった。

 気になった新八が近づいてみると、

 

「いらっしゃい~ららら~♪」

 

 一人の少女が、ウナギらしき何かを焼いている姿があった。

 彼女はミスティア・ローレライ。永夜異変の時に妖夢に一刀両断された妖怪である。

 普段はこうして屋台を営んでいる、らしい。

 

「いや、あの、僕食べにきたわけでは……」

「何にします~? 八目鰻? 八目鰻? それとも、八目鰻?」

「結局八目鰻しかねぇじゃねえか!! つかただの鰻のかば焼きかよ!!! それしかメニューねぇのか!!」

「後はおでんかな~ららら~♪」

「おでんもあるんですか? じゃあおでんを……」

「おでんの具は何にする~? 八目鰻?」

「おでんの具に八目鰻使うなァアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 何とも自由な屋台である。

 終始新八はツッコミしっ放しだった。

 

「もう八目鰻でいいですよ……」

「分かった~ららら~♪」

 

 店主であるミスティアは、歌いながら八目鰻を焼いている。

 確かに、味付けとか匂いは美味しそうなのだが、見た目が如何せんあまりよろしくない。

 口元が凄い大きく開いているせいで、食欲がいまいち湧かない見た目をしていた。

 

「というか、どうして八目鰻なんですか? おでんとか提供しているのなら、焼き鳥とか……」

「焼き鳥だって?!」

 

 ここまで心地よく歌っていた(彼女の唄声は常時人間を魅了して狂わせる効果がある)のを止めて、身を乗り出すミスティア。その表情は怒りに染まっている。

 新八は知らないのだ。彼女が夜雀の妖怪であるということを。

 

「なんてむごいことを考えるんだ! 焼き鳥なんて文化は滅びるべきなんだ! だから私はこうして、八目鰻を売り続けている!! 現にこの屋台は売れているんだぞ!! だからアンタも八目鰻を食べるしかないんだ! ね? 段々食べたくなってくるでしょ~? ららら~♪」

「え? あ、ま、まぁ……」

 

 しまいには洗脳まがいなことをするミスティア。

 もう一度言うが、彼女の唄声は人を魅了する。つまりミスティアは、新八を唄声で操って無理矢理八目鰻を食べさせようとしているのだ。

 

「さて、そろそろ焼けたかな~?」

 

 そうこうしている内に、どうやら八目鰻が焼けたようだ。

 新八の前に、皿に載せられた鰻が現れる。

 やはり見た目はあまりよろしくないが、味付けや香りは食欲をそそるものがある。

 

「さ、遠慮なくがぶっといっちゃって~」

「い、頂きます」

 

 恐る恐る口にする新八。

 そっと口をつけて……ゆっくり噛んだ。

 瞬間、口の中に広がる新食感。何より味は。

 

「お、美味しい」

 

 普通にうまいのだ。

 醤油ベースに味付けをし、かば焼きにしているのだから、基本的に外れることはまずない。

 元々この屋台は妖怪達には人気なのだから、味の保証は出来るのだ。

 無理矢理食べさせようとしなければ、だが。

 

「でしょでしょ~? どんどん食べちゃってね~」

 

 気前よくミスティアは鰻を焼いていく。

 やがてそうしている内に、

 

「あれ? もしかして……」

 

 暗闇から現れてきたのは、

 

「リグルちゃん!」

 

 新八が今回会おうとしていた少女、リグル・ナイトバグだった。

 

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百十七訓 たまには違う人物が主役を張る話もある

 

 

 




と、いう訳で今回は新八とリグルちゃん回でございます。
ミスティアさんですか? 今回限りですね……。
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