天候が無茶苦茶になっている原因を突き止めようとしている銀時達。もはや次の天候は何なのかを楽しみにしている節もあった。
「てか、俺達は本当に何もねぇのな」
「テメェなら飴が降ってくるんじゃねえか天パー」
「神楽は飯でも降ってくるんじゃねえか?」
「そんな天気あるわけないアル」
「飴が降ってくる天気もねぇよ」
適当な会話をしながら歩いていると、あたりの天気が次第に変化していくのを感じた。言葉に表記するのなら、霧雨の中に雹が混じっている感じである。
「雹についてはわからねぇけど、霧雨っつったら……」
何か思い当たるものがあるかのような銀時。というより、霧雨になりそうな人物といえば検討のつく人物は一人しかいない。
「よぅ銀さん!」
「貴方も今回の異変に?」
「……雹はアリスだったのか。霧雨はやっぱりお前か魔理沙」
雹がアリスだったのは意外だと思った銀時だが、霧雨が魔理沙だったのは簡単に予測出来た。何せ名前に『霧雨』とついているのだ。これでスルーして別の天候に割り振られていたとすれば、霧雨の名が廃る。
「けど予想通り過ぎてつまらないアル。もっと面白い天候になっとけヨ」
「人の天候に駄目出しするんじゃないぜ!? 第一選べないからな!?」
全くもってその通りである。
「とりあえず、異変について調べているっていうのなら、少し気になる情報を手に入れたから共有するわ」
「気になること?」
アリスと魔理沙は、異変について調査するにあたって何かを掴んだようだ。
「博麗神社に地震が起きたってのは銀さん達も知ってるか?」
「マスゴミから聞いた。んで、その地震がどうかしたのか?」
「その地震……どうやら予測してた人物がいたって話だぜ。妙にタイミングがいいとは思わないか?」
魔理沙は腕を組んで悩みながら言った。
「地震を予知したにしてはタイミング良過ぎるアルな……」
「犯人とまではいかずとも、何かしら掴んでる可能性はあるってわけか」
地震を予知したということは、少なからず自然現象にまつわる何かしらの能力がある可能性を示唆している。今回の一件についてもしかしたら掴んでいるのではないだろうかと銀時は考えたのだ。
「犯人に直接当たればよろしいのですが、その予知を成功させた人物に会って事情を伺うのも一つの道であるように思います」
「各人でそれぞれの天候を当てるなんてことは魔法でも難しいことよ。ならばこれはその人個人の能力であると考えるしかないわ。それもかなり大きな力を持った、ね」
今まで遭遇した者の中に犯人はいない。何故なら、天候を操る程度の能力を持つ者がいないからだ。それと同等の強さの力を持つ者なら何人もいるが、幻想郷にいる全ての能力持ちに対して同じことをする程の手間と労力、そして力を注ぐことは決して簡単なことではない。
唯一、八雲紫ならばそれだけのことをすることは出来るとは考えられるが、彼女の保有する能力は『境界を操る程度の能力』だ。応用をしたところで天候を弄れるわけではない。
「他に手がかりもなさそうだからな……そいつに会って話を聞く方向で進めてみるか」
「そうアルな。もし犯人ならばぶっ飛ばしちゃえばいいアル!」
随分と神楽が短絡的な結論に達しているが、幻想郷における異変解決は基本的に犯人をぶちのめすことにあるので、強ち間違いではない。おそらく他に調査している者達も同じ結論に達していることだろう。冷静に考えればわりと物騒な解決方法である。平和的解決が出来なさそうなのが最大の理由ではあるのだが。
「何にせよ今の状況を打破しない限り、幻想郷の天候は元には戻りません……安定していない状況では御嬢様も妹様も危険ですから……」
「最早誰が一番最初に異変解決出来るのか競争ね……私としては早く帰りたい……そらそろ疲れる……」
「相変わらず体力ねぇなヒキ魔法使い……」
呆れながら銀時が呟く。
普段なかなか外に出ない彼女にとって、今回は外に出ている方なのだろう。加えて頭を働かせながらの情報収集なので、疲れもほどほどに溜まる。
「解決しましたら是非とも紅魔館まで足を運んでください。妹様と御嬢様様がお待ちしております。もしくは紅魔館2ndGまで……」
「俺達としては2ndGの方が行きやすそうではあるんだよな……まぁ、メイドの頼みとあっちゃ仕方ねぇな」
不敵な笑みを浮かべながら銀時は答える。
「貴方達がいると、レミィの反応が面白いからね……楽しみにしてるわよ」
「アンタなかなかにいい性格してんな」
「お互い様じゃない」
「かもな」
そんな会話を弾ませながら、彼らはその場を後にする。
兎にも角にも、敵の手掛かりを見つけないことには解決のしようがないのだ。今は咲夜やパチュリーが掴んだ『地震を予知した人物』を探すのに専念した方がよさそうだろう。
そしてその人物は、過去に銀時達が会ったことのなさそうな人物。
「総領娘様はどちらへ行かれたのか……あの人の我儘っぷりにも困ったものです……」
「ん?」
まさしくそんな時に。
銀時は、とある人物と遭遇するのだった。
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