そんなわけで、銀時達一向は地底へ潜ることとなった。
潜り方は実に単純で、間欠泉状態となっている場所から飛び降りるという簡単な作業だ。
ただし、飛べる人のみだが。
「仕方ねぇぜ……こうなったら、私達で銀さん達を担いでいくしか方法はないぜ。このまま突き落すと絶対死んじまうから危ないぜ……」
最初の問題。
銀時達が空を飛べないせいで、このまま落ちたら死に至るというもの。
「いや、待って……もっと単純な方法があるわ」
「え?」
霊夢の呟きに対して、銀時が反応する。
それを無視して、霊夢は何もない空間に向かって、
「いるんでしょう? 紫」
八雲紫のことを呼んだ。
瞬間、何もない所からスキマが現れて、扇子を広げた一人の絶世の美女が現れた。
「私は便利屋ではありませんのよ……? けど、今回ばかりはお役に立てるようですわね」
「出たナBBA」
「あん? ひとっ走り付き合うか?」
「いきなり喧嘩売らないで神楽ちゃん!! 今これから助けてもらう所なんだから!!」
こんな時でも喧嘩を売るのを忘れない神楽。
お約束という奴である。
「銀時様達が空を飛べないので、このまま行くと間違いなく危険ですから……地底の入口までスキマを開けて欲しいのです」
咲夜が依頼をする。
紫は分かり切っていたような表情を浮かべると、
「せっかく依頼するのですから、滞りなくこなせるようにしなければいけませんわね……」
そう言いつつ、銀時達が立っている地面を、切り裂いた。
「「「え?」」」
当然、何の準備もしていなかった銀時達は、目を大きく見開く。
霊夢・咲夜の二人は溜め息をつき、魔理沙はにこにこと笑顔を見せていた。
「これでよろしいですわね?」
「サンキュー!」
「「「って、全然よくねぇえええええええええええええええ!!!」」」
結局、大きな穴に落ちるか、スキマに落ちるか。
どの道落ちることには変わりない三人なのであった……。
※
「ふぎゃっ!」
「あぐっ!」
「ほわちゃっ!」
銀時・新八・神楽の三人は、尻から下に落ちる。
スキマのおかげですぐ地面に到達したおかげで、ほぼ無傷で降りることが出来た。
「よかったじゃない。無事降りられて」
その上から、霊夢と魔理沙と咲夜の三人も降りてくる。
彼女達は能力で宙を浮いている為、こうして無事に降りることが出来た。
「確かに、そのまま墜落するよかマシだったけどよ……いっちばん最初を思い出しちまったぜ」
かなり序盤の、紅霧異変発生時。
銀時が初めて幻想郷に降り立った日。あの時も今みたいに、紫が開いたスキマから落ちて、そのまま地面に落下した。その時から比べてみればまだ優しい方であることには変わりない。
とにかく、地底にやってきた一同は、一度周りを見渡した。
地底と呼ぶのにふさわしく、周りには灯りらしきものはほとんど見受けられない。
一応、そこにある街に行けるだけの道は存在する為、銀時達はその道を歩くことにした。
「地下にある街ねぇ……なんだか吉原みてぇだな」
銀時達の世界にも、地下に作られた街、吉原が存在する。
ただし、ここは人工的に作られた場所ではない。
「吉原……どんな街なのですか?」
咲夜が興味本位で尋ねる。
「女がたくさんいる街だ。遊びの為の街とも言える」
「単なる飲み屋だけが並んでいるわけじゃなさそうね……」
銀時の口ぶりより、吉原がどんな街なのか軽く想像がついた霊夢。
そんな雑談を交えること、数分が経過した時。
「……ん?」
銀時は、ふと立ち止まった。
「どうしたアルか?」
神楽が尋ねる。
銀時は辺りを見渡しながら、
「気配だ。何かの気配を感じる……」
「……そうね。私達を見ているみたい」
霊夢も気付いたらしく、辺りを警戒している。
「早速敵のお出ましか? 私の弾幕をお披露目する時が来たみたいだぜ」
何故か魔理沙はわくわくしている様子。
弾幕を放つことには生きがいを感じている模様。
「……」
咲夜は無言でナイフを握りしめる。
新八や神楽も、辺りを警戒していた。
そうしていること、数分。
「……っ!!」
銀時の目の前に、木製の桶が落ちてきた。
「えっ……?」
しかもその中には、一人の女の子が入っていた。
緑色のツインテール、水色と白の玉が二つ付いた髪留め、白い着流しを羽織った幼い少女。
そんな少女が、銀時の目をジッと見つめていた。
「おん、なのこ……?」
新八はきょとんとしている。
「何でしょう……?」
咲夜も不思議そうに眺めている。
「あ、あの……何か御用でしょうか……?」
おずおずと尋ねてきたのは少女の方だった。
銀時はきょとんとしながら、
「いや、俺達地上から来たんだけどよ……突然温泉湧き出たもんだから、なんでかなぁ……なんでかなぁ……って思って……こわいなぁ、こわいなぁ……って思って……調べに来たんですよ……そしたら……なんと……小さな女の子が……ぼわぁあああああ! って……」
「なんでアンタが稲●さんみたいに喋ってんだよ!?」
律儀に新八はツッコミを入れた。
「……あの、私……キスメって言います。貴方達は……?」
少女――キスメは、銀時達を見渡しながら尋ねる。
一通り彼らは自己紹介をした後で、
「地底について一番詳しいのは誰?」
と、霊夢が尋ねた。
するとキスメは少し考えた後、
「たぶん、旧都に行けば地霊殿の主様の所に辿り着くと思います……ここを真っ直ぐ進めば大丈夫です」
「そう。ありがとう」
そのまま何事もなかったかのように霊夢は歩きはじめる。
「……どうかご無事でー」
キスメも、何事もなかったかのように見送る。
一体何だったのだろう、と思わざるを得なかった銀時達だった。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第百二十九訓 上から降ってくる少女は大抵可愛い