銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百三十二訓 他人に対する嫉妬は誰にだってあるものだ

 旧都到着から少し時間が経過して、こいし合流からある程度時間が経った頃。

 彼らは地霊殿に向かう途中で橋に差し掛かった。

 その橋にもたれかかるようにして、一人の女性が立っていた。

 

「なんだアイツ?」

 

 銀時が思わずポツリと呟く。

 その右腕には、ちゃっかりこいしがにこにこしながら抱き着いていた。

 

「……何よ銀時。あんなにべたべたと……」

 

 霊夢、あからさまに嫉妬しているの巻。

 そんな霊夢を見ながら、橋にもたれかかっている女性が。

 

「……人に嫉妬しちゃって。妬ましい」

 

 と、突然言ってきたのである。

 

「「「は?」」」

 

 思わず、万事屋の三人は声を合わせてあきれ果てる。

 女性の容姿は――金色のショートボブ、緑色に輝く瞳、耳は少しとがったエルフ耳、服装はペルシアンドレスに近い物。服の裾やスカートの縁には、橋姫伝説の舞台である宇治橋を髣髴とさせるような橋の形をした模様や装飾が施されている。

 

「何よ貴方達。見せつけちゃって妬ましい……」

 

 霊夢に言った後は、銀時とこいしの二人を見て『妬ましい』と称する女性。

 

「貴女は……?」

 

 咲夜が尋ねる。

 女性はにこっと笑いながら、

 

「私は水橋パルスィ。そんなに大人数で旅をしていてなんて妬ましいのかしら」

「……最早妬ましいが口癖みたいになってるぜ」

 

 まさしく魔理沙の言う通りであり、パルスィの口癖は『妬ましい』というもの。

 その理由も、彼女の能力が『嫉妬心を操る程度の能力』であるから。

 ただし、他人に使われることはあまりなく、むしろ自分の嫉妬心が力になっていたりするものでもある。

 

「本当珍しい人ね。侍がこんなところに来るなんて……貴方、なかなかに強そう。本当妬ましい」

「へっ。嫉妬深い女ってのは趣味が分かれるぜ?」

「お生憎。私はただ単に嫉妬深いだけじゃないわよ」

 

 パルスィの目は銀時をジッと捉えている。

 恐らく、これから彼女は銀時に対して何かを仕掛けてくるに違いない。

 

「こいし。ちょっくら離れていてくれ」

「わかったー……」

 

 少し残念そうに、こいしは銀時から離れる。

 その様子を見ていたパルスィは、

 

「主の妹様に魅入られるなんて妬ましいわね……一体どんな手品を使ったのかしら?」

「しらねぇよ。ただ単に勝手について来られてるだけだ。テメェこそその嫉妬は一体何処からくるんだ? 俺達まだ初対面だぜ?」

「初対面だろうが何だろうが、嫉妬することに変わりはないわ」

「そうかよ……おめぇらもそこで見ておけ」

 

 銀時は、霊夢達に少し離れた所で見ておくように指示し、自分は橋の上に歩を進める。

 自然と、銀時とパルスィは向かいあう形で橋の上に居る形となった。

 

「……妬符『グリーンアイドモンスター』!」

「っ!!」

 

 パルスィから放たれたのは、サッカーボール大の緑色の弾。

 その弾幕は、蛇のようにうねうねと動きながら、銀時の方に迫ってくる。

 その挙動は決して素早くない。故に銀時は前へ飛ぶことによって難なく避けることが出来た……が。

 

「なっ……!」

 

 その軌道に、動かない弾幕が張り巡らされていることに気付いた。

 

「ちっ……」

 

 咄嗟に銀時は木刀を突き刺して、足場を作る。

 その足場を利用してさらに前へと飛び、

 

「当たるわけないでしょう!」

 

 パルスィに向けて蹴りを放つも、その蹴りはパルスィによって躱される。

 ただし、時間が経過したことによって橋の上の弾幕は消える。銀時は一度突き刺した木刀を抜き、再度パルスィに向かって突進した。

 

「花咲爺『華やかなる仁者への嫉妬』」

 

 それを黙って受け入れるパルスィではない。

 銀時を狙う大玉弾を放ち、迎え撃つ。

 それを銀時は木刀で斬り伏せたが、

 

「またか……っ!」

 

 今度は、その軌道に花の形をした綺麗な弾幕が設置されていた。

 橋の手すりを壊すと、銀時はそれらを弾幕に向けて弾き飛ばす。

 破片と弾幕が衝突し、弾幕の花びらは無残にも霧散した。

 

「本当、そこまでの強さを兼ね備えているなんて……妬ましい」

「精々妬んでろよ。テメェが妬んでいる内に、こっちは難なく越えてやるからよ」

 

 銀時は木刀を思い切り振り上げて、パルスィに振り下ろそうとして――。

 

「恨符『丑の刻参り七日目』」

「っ!!」

 

 しかしパルスィの攻撃は終わらなかった。

 銀時を目がけて全方位から飛んでくる、無数の弾幕。

 それらは橋に跳ね返り、霊夢達の方にも飛んでいく。

 

「なっ……!!」

「こっちは大丈夫だぜ銀さん!」

「私達は私達で何とか出来ますので」

「アンタはアンタで終わらせなさい」

 

 弾幕を放つ三人が、新八や神楽、そしてこいしを守る。

 銀時はその様子を見て安心したかのように笑い、

 

「背中は預けたぜ!!」

「その絆がとても妬ましいのよ!!」

 

 パルスィから放たれた弾幕を、銀時はすべて木刀で斬り伏せ、そして――。

 

「はーい、終了ー」

 

 パルスィの目前まで木刀を振り下ろし、そこで止めたのであった。

 

「……どうして止めるのよ?」

 

 疑問に思ったパルスィは銀時に尋ねる。

 すると銀時は、

 

「テメェを倒すことに何の意味も見いだせなかったってのと、美人の顔傷つけるわけにゃいかねぇだろ?」

 

 と、不敵な笑みを浮かべつつ言ってのけたのだった。

 

「……本当、何処までも妬ましい男」

「……テメェこそ、何処までも憎たらしい女」

 

 互いにそう言いあう。

 そんな銀時に、

 

「お兄さん凄いぞー!」

 

 と言いながら、こいしが抱き着いてきた。

 

「おっと……銀さんはいざという時には輝くんだぞ?」

「かっこいいーっ」

 

 こいしは目を輝かせながら銀時の話を聞いている。

 

「まったく……これだからロリコンは……ケッ」

「神楽ちゃん、口かなり悪いし語尾忘れてるよ……」

 

 痰を吐き捨てる神楽を宥める新八。

 そして霊夢・魔理沙・咲夜の三人と言えば、

 

「……行くわよ」

「霊夢機嫌治すんだぜ……」

「……はぁ」

 

 三者三様の反応をとりながら、前へ進むのだった。

 その後を、銀時達も追う。

 

「……妬ましい程、仲の良い人達ね」

 

 軽い口調で、そんなことを呟くパルスィなのだった。

 

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

第百三十二訓 他人に対する嫉妬は誰にだってあるものだ

 

 




久しぶりに戦闘描写書いた気がします……。
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