銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百三十四訓 名前と中身が一致しないことが時々ある

「いやぁ参った! 私じゃなくて盃を攻撃する可能性は読んでたけど、まさかここまで露骨に来られるとは思ってもなかったからねぇ!」

「真正面から鬼に挑んだところで勝てるわきゃねぇからな。俺達なりに戦った結果だ」

 

 勇儀は素直に褒め、銀時がそれに対して反応する。

 確かに、力自慢の鬼相手に参ったと言わせるのはなかなかに骨が折れる。しかし、勇儀は『盃の酒が溢れたら自分の負け』というルールを課した。もしそれがなかったら、銀時達は負けていたかもしれない。単純な耐久力も、パワーも、実力も、すべてが銀時達より上回っていたのだから。

 

「私の弾幕が全然当たらないなんて……もう少し修業の余地ありだぜ……」

 

 魔理沙が少し悔しそうにつぶやいた。

 初っ端からクライマックスのつもりで挑んだ彼女だったが、マスタースパークをいとも容易く避けられてしまったのだ。最大火力の攻撃をあっさり躱されたとなると流石にショックなのだろう。

 

「し、心臓止まるかと思いましたよ……」

 

 一番人間らしい反応を取っているのは新八だろう。確かに並大抵の人間に比べたら余程強い新八だが、この場には彼を余裕で上回る化物どもが沢山いる。ついていくだけで手一杯だろう。

 

「またやるアル!」

 

 神楽は楽しかったのか、勇儀に対してそう告げる。

 勇儀はニヤリと笑った後、

 

「もちろん!」

 

 と握手した。

 

「お兄さん強い! みんなも強い!」

 

 そんな中、今回は観戦していたこいしが銀時に抱きつく。

 銀時はこいしを受け止める。

 その様子を勇儀は暖かい眼差しで見つめていた。

 

「……へぇ。あんたその子に懐かれてるんだ」

「なんだ? こいつのこと知ってんのか?」

 

 銀時は尋ねる。

 

「地霊殿においてその子達を知らない奴はいないさ。まぁ……仲良くしてやってくれ。姉の方にもよろしく」

「……あぁ」

 

 その時の勇儀の表情はとても真剣だった。何処までも真っ直ぐで、一切のふざけを感じない。

 だからこそ、銀時も真剣に答える。

 きっとこの子には何かがある。そう感じ取ったからだ。

 霊夢達も茶化したり深追いする様子はない。今はその時ではないということを悟ったを

 

「もうすぐであんた達の目的地である地霊殿さ。その子に道案内してもらってるのならすぐ着くさ」

「ありがとうございます」

 

 咲夜が頭を下げて感謝の言葉を述べる。

 勇儀は手を振りながら、

 

「今度会った時には酒でも飲んで語り合おうな!」

 

 と告げたのだった。

 

 

 勇儀と別れた銀時達は、とうとう地霊殿に到着することが出来た。

 外観は西洋風の物。名前が地霊殿と言うわりには随分と西洋に傾いた建物となっている。

 

「ここが地霊殿だよ!」

 

 こいしは嬉しそうに言う。

 銀時達は一度それを眺めた後、

 

「入るわよ」

 

 霊夢の言葉に頷いた。

 とにかく今は目的地に到着することが出来たのだ。中に入って事情を確認することが大事となる。

 扉を開けると、床は市松模様に彩られていた。ステンドグラスが天窓に施されている。

 

「ここが地霊殿、ですか……すごい建物ですね」

 

 ポツリと新八が感想を述べる。

 かつて紅魔館をはじめとした幻想郷にある建物を訪れたことのある一行だったが、そのどれにも負けず劣らず、地霊殿は広い。

 

「いいとこ住んでんのな、お前」

「そうだよー。お兄さんもどう? 一緒に住もうよー?」

「遠慮しとくわ。俺には俺の帰る場所があるからな」

「えぇー」

 

 銀時がやんわりと断ると、こいしは少し残念そうにしていた。

 口ぶりからは軽めのものであるものの、もしかしたら一緒に住みたいと言うこと自体は本音だったのかもしれない。

 

「ん?」

 

 そんな中で、魔理沙が目の前に何かがいるのを見つける。その声に合わせて他の人たちも魔理沙が見ている方向を見つめる。

 

「ねこ……?」

 

 そこにいたのは、一匹の猫だった。

 

「にゃーん」

 

 尻尾が二本ある黒い猫。首元についた鈴がチリンと鳴り響く。その猫は、まるで品定めでもしているかのように銀時達のことをじーっと見つめている。

 やがて視線がこいしと合うと、何やら驚くように体全体でびくっとさせていた。

 

「こいし、コイツは一体何なんだ?」

 

 銀時が尋ねる。

 こいしは銀時の腕をしっかりと抱きしめながら、

 

「この子はお燐。私達のペットなんだよー」

「ペットねぇ……にしちゃ、しっかりと俺達のことを見つめている気がするが……」

 

 銀時は猫――お燐をしっかりと見つめている。

 対するお燐も、警戒心を緩めることはない。

 そして――。

 

「にゃーん!」

 

 その場を走り回った。

 と、その時だった。

 

「なっ……!?」

「これは……っ!?」

 

 霊夢と咲夜が、驚きの声をあげる。

 何故なら、お燐の歩いた所から、複数の弾幕が飛んできたからだ。

 

「ちっ……!」

「ほわちゃーっ!」

「はぁっ!」

 

 銀時・神楽・新八の三人は、各々で何とか弾幕を対処する。

 一方の霊夢・魔理沙・咲夜についても、弾幕を放つことで相殺した。

 

「……」

 

 それを見届けたお燐は、猫の形から、

 

「へぇ、随分と腕の立つようだね……」

 

 人の形へと姿を変えた。

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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