銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百三十五訓 力試し

 その少女は、真紅の髪を両サイドで三つ編みにし、根元と先を黒いリボンで結んでいる。頭には黒い猫耳が生えており、瞳の色は赤。黒の下地に緑の模様が入ったゴスロリファッションのような服を着て、手首と首元に赤いリボンを巻き、左足には黒地に白の模様入りのリボンをつけていた。

 少女は銀時達を見ると、

 

「アタイは火焔猫燐! 長いからお燐って呼んで欲しい!」

 

 と、人懐っこく言ってきた。

 

「猫が……人に変身した……!?」

 

 銀時は少し目を見開いている。

 何かの動物をモチーフにしたような人物なら何度も遭遇したことがあったが、姿が変わるのを間近で確認したのは初めてのことだった。猫といえば記憶の中に橙が浮かぶも、銀時達の前では猫の姿になったことはない。

 

「貴方達は人間だよね? けど、そこの人はこいし様に懐かれているみたいだし……」

 

 お燐は、今もなお銀時から離れようとしないこいしを見て驚いていた。

 

「私達としては、この先の主人に用があるのだけど……そこを通して貰えないかしら?」

 

 霊夢が尋ねる。

 するとお燐は、

 

「……もしかして、怨霊の件でここに来たってこと?」

「その通りですが……何かご存知なのですか?」

 

 お燐の様子が少し変わったことに気付いた咲夜は、彼女にその真意を確かめる。もしかしたら今回の一件、彼女も何か掴んでいるのではないかと思ったからだ。

 お燐はとうとう、今回の一件について説明することにした。

 

「……間欠泉に混じって怨霊を送ったのはアタイだよ」

「なにっ!? アンタが犯人だったんだぜ!?」

 

 魔理沙はお燐の言葉を聞いた瞬間に戦闘態勢を取る。

 しかし、そんな魔理沙の前に出て霊夢は止めた。

 

「なるほど……つまり温泉が湧き出たことと、怨霊を送ったことは別だった、ってわけね」

 

 彼女は気付いていたのだ。

 今回の一件、間欠泉と怨霊は別の人物によって引き起こされたことであると。

 お燐は目を見開いて、それから笑顔で言った。

 

「大当たりだよ! 流石に異変を解決しにきただけのことはあるね。私が怨霊を送り込んだのにはちゃんと理由がある……」

 

 お燐の目つきが真剣なものへと変わる。

 先ほどまでの人懐っこい雰囲気から、戦闘する者のそれへと変わった。

 

「こいし、ちと下がってろ……アイツの狙いは俺達だ。テメェは主人である以上狙われることはねぇ」

「で、でも……」

「それに、きっとアイツは俺達を試そうとしてんだ。だからテメェが入って来ちまったら、意味がなくなっちまう」

「……うん、分かった」

 

 銀時に説得されて、こいしは少し離れたところで見守る形で下がる。

 その様子を見たお燐は、

 

「分かってるんだね。アタイが何をしたいのか」

「そんだけやる気に満ち溢れていりゃ、嫌でも理解させられるさ。けど、テメェこそいいのか? これだけの人数を相手にすることになっても」

「構やしないよ。元よりアタイは、貴方達の力を試したいと思ってたところだからね!!」

 

 その言葉を皮切りに、お燐は弾幕を張り始めた。

 

「いきなり攻撃ってことね。けどそういうのも悪くはないわよ!」

「えぇ。先手必勝と言いますからね」

「そういうのはアタイの弾幕を避けてからにしてよね!」

 

 呪精『ゾンビフェアリー』。

 お燐が弾幕を放ちつつ、数体の青白い妖精を召喚した。その妖精達は、銀時達目掛けて飛んでくる。

 

「この速度なら対応出来るぜ!」

 

 魔理沙は近づいて来た妖精を、星の形をした弾幕で迎撃した。

 あっさりと倒された妖精は、周囲に小さな弾を放出した後で動きを止める。

 しかし、少し経ったら、

 

「っ!? 復活したアル!!」

 

 元に戻り、再び活動を開始した。

 

「なるほど……ゾンビフェアリーとはなかなか言い得て妙ね。倒されても復活するのだから、面倒な相手ね」

「そっちだけに気を取られていてもいいのかい!?」

 

 そう。

 相手は妖精だけではなく、弾幕を張っているお燐自身もそうなのだ。

 

「ってこたぁつまり、コイツら避けつつ、本体に攻撃当てりゃあいいってこったぁなぁ!!」

 

 銀時は、迫り来る妖精を避け、お燐との距離を詰めていく。隣には同じように新八がやって来ていた。

 

「新八ィイイイイイイイイイイ!!」

「はぃいいいいいいいいいいい!!」

 

 二人で同時に木刀を振り下ろそうとする。

 しかし、お燐はそれを簡単には許さない。

 

「恨霊『スプリーンイーター』!』

 

 周りに浮いていた妖精が姿を消し、代わりに火の玉が召喚される。ほぼ同時に小さな弾幕を張り巡らせたと思いきや、その弾幕と火の玉が中央の方に集まっていき、

 

「「っ!!」」

 

 咄嗟の判断で、銀時と新八は後退した。

 瞬間、収束した弾幕達を中心として巨大な大爆発が起こる。

 

「くっ……!」

 

 その爆風により、火の玉と弾幕が周囲一帯に散らばっていった。

 

「咲夜!!」

「承知しました」

 

 霊夢の叫び声に合わせて、咲夜が動き出す。

 彼女の保有する能力を利用し、散らばった弾幕の全てにナイフを設置。

 そして時は動き出す。

 瞬間、ナイフと弾幕が衝突することにより、周囲に煙が立ち込める。

 

「死灰復燃!」

 

 そんな中でも、お燐は決して油断しなかった。彼女は煙の中にゾンビフェアリーを召喚し、そこに怨霊を取り憑かせる。

 取り憑かれたゾンビフェアリー達は、突撃しつつ、自身も弾幕を放つ存在と変わった。

 そんなゾンビフェアリーが、煙の中から襲いかかる。

 

「ちっ!」

 

 霊夢は札をばら撒くことで対処。

 魔理沙もミニ八卦炉よりマスタースパークを放つことで、近くにいた妖精達をかき消した。

 

「まだまだ……っ」

「「「いや、これで終わりだ」」」

「っ!?」

 

 煙が完全に晴れた時、お燐は自身の負けを自覚する。

 銀時、新八、神楽の三人がお燐を取り囲んでいて、銀時と新八は木刀の刃先を、神楽は自身の拳を、お燐の頭部に向けていたからだ。

 彼ら三人の攻撃が決まれば、お燐は確実に倒れるだろう。

 ここまでの侵入を許してしまった時点で、彼女の負けは確定したのだ。

 

「まいったねぇ……こりゃ完全にアタイの負けだ。期待していた以上の実力の持ち主だったとは……」

 

 お燐は周囲にいた妖精達を消し、両手を上げて降参の意を示した。

 その後で銀時達の方を向き、

 

「そしたら、理由を話さなきゃね……なんでこんなことをしたのかっていう」

 

 彼女の口より、今回の異変の経緯が説明されることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

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第百三十五訓 力試し

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