銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百三十六訓 心を読める奴に隠し事など出来ない

「アタイがここのペットだという話はもうしたよね? 実はペットはもう一人いるんだよ」

 

 地霊殿にいる住人は、こいしやお燐を含めて合計四人。そのうちの一人が、まだ名前の出ていないペットということになる。

 

「名前を霊烏路空と言って、みんなからは親しみを込めて『お空』って呼ばれてるんだ……私の名前もそうだけど、やっぱりフルネームだと長いからね」

「屋敷の主人ではなくそっちを出してきたってこたぁ、つまり……」

「今回の異変は、貴方とそのお空によって引き起こされた、ということね」

 

 銀時と霊夢の二人はそう予測を立てた。

 屋敷の主人達によるものではなく、今回はペット達が引き起こした異変である、と。

 

「半分正解かな。けど、アタイとお空は手を組んでるわけじゃない。アタイの場合、どうしてもお空の状態を知らせたかったのさ……けど、地底から地上にわざわざ出向いて、ってやってると効率が悪い。そこで思いついたのが……」

「間欠泉に合わせて、怨霊を地上に送り込むことだった、ということですね」

「その通り……」

 

 咲夜の問いは当たった。

 つまり、間欠泉を引き起こしたのはお空であり、それを利用して何かしらの事態が起きたことを地上に知らせる為に怨霊を送り込んだのがお燐だった、ということになる。

 だが、ここまでくれば当然のように湧き出る質問がある。

 

「そこまでしてお燐さんが伝えたかったことって何なのですか?」

 

 ペットの身に起きたことであるならば、真っ先に伝えるべきなのは主人のはず。しかしそれらのプロセスをすっ飛ばして地上に知らせようとしたということは、主人にバレてはマズイこと。

 お燐は少し顔を伏せて、意を決した後に伝えた。

 

「……お空は、とある二柱の神よって力を手に入れたって喜んでいた。その結果、とてつもない力を手に入れたお空は、力を濫用し始めてしまったの。もしそんなことが他の人に……特にさとり様にバレてしまっては……」

「……なるほど。ペットの不始末を主人がしてしまう可能性を恐れたってわけか。けどいいのかよ? ここにはその主人の妹がいるんだぜ?」

 

 銀時は、こいしの頭を帽子越しに撫でながら言う。こいしはそれが少しむず痒かったのか、帽子を取って、それから再度頭を撫でてもらっていた。

 そんな様子を微笑ましそうに見ていたお燐は、

 

「こうなってしまっては関係ない。今は止めてもらうことの方が最優先さ……」

 

 と、潔く観念したかのように言った。

 

「なるほど……最近何かと騒がしいと思ったら、そう言ったことがあったのですね」

「っ!」

「お姉ちゃん!?」

 

 お燐とこいしが驚いたように目を見開く。

 そこに現れたのは、薄紫色のボブヘアーに真紅の瞳。フリルをつけてゆったりとした水色の服を着ている。下は膝丈ほどのセミロングスカート。頭には赤いヘアバンドがつけられており、それと、複数のコードで第三の目が繋がれている。それはこいしとは違って見開かれている。

 彼女こそ、この地霊殿の主人であり、こいしの姉である。

 

「初めまして。古明地さとりと申します。博麗の巫女や、紅魔館でメイドを勤められている方もいらっしゃってたのですね……そこの方は、魔法使い、ですか?」

「なっ……私達まだ自己紹介してないぜ!?」

「ここまで言い当ててくるなんて……」

「何かしらの能力、でしょうか?」

 

 魔理沙は驚き、霊夢と咲夜は警戒態勢をとる。

 

「何故正体がわかったか、ですか? そうですね……心を読んだから、ですよ? 志村新八さん」

「ま、まだ僕何も言ってなかったのに……!?」

「テレパシーアル!?」

 

 新八がまだ何も言わぬうちに、彼が言いたかったであろうことを当ててみせたさとり。

 神楽は思わず目を輝かせてしまう。

 

「……私の妹に抱きつかれていますけど、別にやましいことは考えていなかったみたいで安心しました。もし下衆なことを考えていたとしたら、どうなってたか分かりませんから」

「おぉ、こえぇこえぇ。幻想郷の妹持ちは総じてシスコンになるって決まりでもあんのか?」

「家族のことは大切に思っていますから。それはどうやら貴方も同じみたいですね……成る程、信念は大した物のようですね」

 

 さとりは、『心が読める』と言った。つまり、今の彼女に対しては、銀時達の考えが筒抜けであることを意味する。

 

「お燐、安心してください……お空がたとえ暴走しようとも、少なくとも私はお空に対して処罰するつもりはありませんから」

「よかった……」

 

 さとりの言葉を聞いて、お燐は少し安心したようだ。

 その後、さとりはこいしの側にきて、

 

「よかった……こいしが無事で……一体どこに行ってたの?」

「ちょっとお外回ってただけだよー。それでこのお兄さん達に会ったの。お兄さんすごいんだよ? お姉ちゃん以外で私の気配感じ取ったの、はじめてだったから」

「そうだったのね……」

 

 そこまでの会話を聞いて、銀時はとある違和感を抱く。

 そして、それを心の中で思ってしまう。

 故にさとりにはその考えを読んでしまう。

 

「……そうですね。貴方の考えは凡そ当たりです。そのことについては後ほど詳しく」

「……事情ありきみたいだからな。今回の異変が解決したら、全部教えてもらうからな」

「そのつもりです」

 

 こいしの頭を撫でながら、さとりは言う。

 こいしは不思議そうな表情で二人をじっと見ていた。

 

「中庭を抜ければ、お空のいる所まで続く。後は頼んだよ……」

「あぁ、任せろ。テメェんところのペットにちょっとお灸を据えてやっからよ」

 

 銀時の言葉に対して、他のメンバーもまた笑顔で答える。

 その辺等を聞いて、お燐は安心したようだ。

 

「……霊夢、通信機にて……」

「えぇ、分かったわ」

 

 その途中、咲夜と霊夢によって、通信機越しにとあることが伝えられたという。

 

「……なるほど。なかなか面白そうな人達ね」

「私、お兄さんのこと……」

「……えぇ。いい人ね」

 

 さとりは、こいしの言うことを肯定する。

 

 坂田銀時は、いい人物であるということを確信していた。

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

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