閑話休題。
とりあえず言葉でどうにもならなかった時には、時間経過によって収まるのを待つに限る。そんなわけで、ある意味何も決まらないまま争いだけは落ち着いた状況。
「そういえば、ここで提案があるのだけれど」
話を切り出したのは霊夢だった。
彼女は、今だに銀時にべったりくっついているこいしを見て内心苛立ちつつ、冷静に話をしようとする(ただし隠しきれているとは言ってない)。
ちなみに、さとりはこいしが好きな人ならばということと、自分自身も少なからず銀時に感謝しているため、今の状態に対しては肯定的な姿勢を取っている。
頭を悩ませているのは魔理沙や咲夜。幻想郷側で一番まともな反応をしているのは魔理沙といったところだろうか。
「今回の異変がきっかけとなって、博麗神社の敷地内では温泉が出て来たのは事実よ。そのこと自体は感謝しているのよ」
「お空がやったことですね……」
さとりがポツリと呟く。
今回の異変については、地霊殿の主である古明地姉妹は関わりがなく、お空と二柱の神によって引き起こされ、それを心配したお燐にが動いたこと。ある意味では偶然の産物と言っても過言ではない、
「せっかくだし、貴女達も来なさいよ。ペットの始末をつけるのは主人の務めでしょ? だから、貴女達地霊殿のメンバーで、宴の準備を手伝って欲しいのだけれど?」
「えっ……?」
その言葉は、さとりの目を大きく見開かせるのに十分過ぎるものだった。霊夢より告げられた一言は、実質的な和解案だったからだ。
だからこそ、彼女は一度、霊夢の心の内を探ろうとした。霊夢の心を悟った。そして、理解した。
博麗霊夢は、地底のことを許している、認めている、と。
「……えぇ。お任せください。私達四人、微力ながらやらせて頂きます」
さとりは笑顔を見せながらそう言った。
「ばーか、何言ってやがる」
そんな時、銀時がこいしの頭を撫でながら会話に参加する。そして彼は、笑みを浮かべながら、
「ここにいるやつら全員でやるんだ。報酬は弾ませてもらうぜ?」
「おぉ! それは楽しそうだぜ! けど銀さん、サボりだけは勘弁して欲しいぜ?」
「貴女にも言えたことですよ、魔理沙」
「そうね。サボるんじゃないわよ、魔理沙」
「咲夜はともかく、霊夢にだけは言われたくないぜ!?」
しんみりしたムードは消え去った。
そこに訪れているのは何時もの馬鹿騒ぎ。
「ま、そういうことアル!」
「ここにいる人達全員でやるんですよ?」
「ま、他にも何人かいるかもしれねぇけど、そん時は仲良くしてやってくれ」
万事屋の三人がにこっと笑みを浮かべながら、さとりとこいしに言った。
銀時に撫でられているこいしは、その言葉を聞いてさらに嬉しそうにする。そして笑顔で姉であるさとりに言うのだ。
「なんだか楽しみだね!」
「……えぇ、そうね」
姉妹の心が通じ合ったような瞬間だった。
※
同時刻。
紫による話し合い(意味深)が終わった次の日のこと。
とりあえず今後の方針を話し合うという名目のもと、紅魔館に集まっていたアリスや紫。
霊夢や銀時達が地底で行なっていたことについては、『霊夢が』持っている通信機を通じてある程度聞き取っていた。基本的には霊夢が電源を入れっぱなしにしていた為、聞き取ることは容易なことだった。
それがなにを意味するのかといえば。
「……ねぇ、パチュリー」
「……何かしら、アリス」
「……あれ、確実に不貞腐れてるわよね?」
紅魔館の客間。
今回の異変に関わったメンバーはそこで常にやり取りを確認していた。
戦闘の様子はもちろんのこと、その道中で繰り広げられた会話等も、すべて。
ということは、銀時が今回行った女殺し的行動の数々もまた、ここにいる者達に伝わっているということ。
それは、即ち。
「ギン兄様……また……まただ……っ」
フランドール・スカーレットが、坂田銀時の行動を把握することを意味する。
そしてそれらの行動は、銀時に対して好意を抱いている女性陣に対して絶大な効果を与えるということ。
「ふふふ……ギントキ……貴様は相変わらず愉快な男だ……」
そして、妹が不機嫌になるということは、その姉に対しても何かしらの感情の動きが発生するということ。
結論、カオス。
「あらあら、なかなかに愉快なことになっておりますわね」
そんな様子を遠目で眺めていた紫が、アリスとパチュリーにそう告げる。
「こんな時でも貴女は面白がってるのね、八雲紫」
「そんなことありませんわよ? 少なからず私も、坂田さんには感謝しておりますから……大変だな、とか、気の毒だな、とか思っておりますわ」
「本当かしら……」
紫が微笑みながら言ったことに対して、俄かに信じきれない様子のパチュリーだった。
「……はぁ」
アリスは小さなため息をついた。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第百四十三訓 少ない人数より大人数でやった方が騒がしくなる