銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百四十八訓 知らない天井って呟く時は大抵知っている天井

「ん……」

 

 目覚める銀時。

 辺りを見渡してみると既に夜。どうやら相当な時間を彼は睡眠に費やしていたらしい(睡眠というより最早ただ気絶していただけなのだが)。

 寝ている場所は恐らく寝室。博麗神社の客室と言った所だろうか。

 

「あ、ギン兄様っ!」

 

 その時、銀時にとってかなり聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 声のした方を振り向くと、そこに居たのはフランだった。

 

「よかった……ギン兄様起きた……ごめんね? あの時はギン兄様の事情も聞かずに……」

「あ、あぁ……まぁ、仕方ねぇよ。誰だっていきなり空から落ちて来たら驚きもするし、ぼこりたくもなるって……」

「いや、そこまでならないと思うよ……」

 

 あの後、銀時は湯船まで真っ逆さま。

 大抵の人間は銀時に対して好意を抱いていたからまだ被害は最小限にとどまったものの、一部の人間は覗かれたことに対する羞恥心からか、相当に抵抗をした者も居た。

 一度は死にかけた命だが、四大ヒロイン(フラン、幽香、輝夜、早苗)によって止められ、男性陣から事情を伺い、将軍のカリスマによって何とかその場は収まったとのことだ(尚、一番覗きに対してノリノリだったのはその将軍だということは、銀時・新八・長谷川の三人しか知らない)。

 ちなみに、宴自体は銀時が寝ている間にすでに終わってしまったらしい。

 何人かは片付けの為に残っていたりするが、大抵は次の日に差し支える為帰っている。

 早苗や輝夜もなくなくかえってようだ(というよりほぼ強制送還に近い)。

 

「あ、お兄さん!」

「目覚めたようですね」

 

 その時、タイミングを見計らって入ってきたのは、こいしとさとりの二人だった。

 

「こいしちゃん!」

 

 フランはこいしの姿を見つけると、嬉しそうに歩み寄り、抱き着く。

 そんな姿を見た銀時は、

 

「へぇ……コイツら、仲良くなったんだな」

 

 と、嬉しそうに呟いていた。

 

「元を正せば貴方のおかげでもあるのですがね……同じ人が好きなんだと分かった時、二人はもう仲良くなっていましたよ」

 

 さとりもまた、自分の妹に友人が出来たことが素直に嬉しいのか、その様子を笑顔で眺めていた。

 やがてさとりは銀時の方に向き直り、

 

「この度は、何から何まで本当にありがとうございました」

 

 小さく頭を下げた。

 

「よせよ……別に俺は何もしちゃいねぇ。ただ、俺がやりてぇようにやっただけだ。気にするな」

 

 頭を掻きながらそう告げる銀時。

 

「けど、ギン兄様がやりたいことって、結果的に私達を助けることだよね?」

「そのおかげで私も救われたから嬉しいのだ~!」

 

 フランとこいしが、笑顔で銀時に抱き着く。

 双方から抱き着かれた銀時は、二人の頭を優しく撫でる。

 嬉しそうに目を細めるフランとこいし。

 さとりもまた嬉しそうに眺めて、その後ですぐに不安そうな表情を浮かべた。

 

「どうした? 何がそんなに不安なんだよ」

 

 キョトンとする銀時。

 さとりは、しばらく言葉にするのを躊躇っていたが、やがて――。

 

「貴方は、いつまで生きられると思いますか?」

 

 そう、尋ねていた。

 フランとこいしの二人が、さとりの言葉を聞いて目を見開く。

 対する銀時は、何となくこんな質問が来るのが分かっていたかのように、不敵な笑みを浮かべて。

 

「死ぬまで」

 

 そう、答えた。

 

「……貴方は、貴方を取り巻く世界を、守ろうと思っていますか?」

「あぁ、もちろん。俺の守りてぇモンは、数こそ増えてきちゃいるが、今も昔も何一つ変わっちゃいねぇ。これだけはぜってぇ曲がらねぇ」

 

 平然と告げる銀時。

 しかし、さとりは気付いている。

 心を読める彼女だからこそ――いや、心を読んでいなくても、察することは出来ていた。

 

 坂田銀時を取り巻く世界に、坂田銀時が存在していない。なのに、中心に彼が存在している。

 

 つまり、彼の存在が居るか居ないかだけで、幻想郷の今後に影響が及ぶのではないだろうか、という推察だ。

 ただし、こうも考えられる。

 

 ――最初から坂田銀時が存在していなかった場合、果たしてどのような結末を辿っていただろうか。

 

 恐らく、博麗の巫女と普通の魔法使いだけでも、異変解決は可能だっただろう。

 事実、二人もこれまで幾つもの異変を解決してきた者だ。

 目的の為に自身の身を削って手にした力を存分に振るう者を相手にしていた二人に対して、お空は借り物の力が強大だったからこそ対等にやり合えていたようなものだ。

 きっと、弾幕ごっこを興じる上で、博麗霊夢ならば解決に導くことが出来た。

 そう、坂田銀時は幻想郷において、本来ならば絶対条件ではないのだ。後天的に必要となった存在なのだ。

 だからこそ、さとりは不安を感じてしまう。

 それほどまでに強大な影響力を与える者が、ある時突然いなくなったりしたら――?

 例えば、自分の存在が幻想郷の崩壊に大いに影響を与えるとすれば、坂田銀時は迷わず身を投げ出すかもしれない。その後のことを考えずに――。

 

「……そうですか。私も、妹の好きなものの為なら、守り抜きたいと思います」

「へっ……お互い様じゃねえか」

「そんな大層なものじゃありませんよ。私はただ、妹を――家族を愛しているだけですから」

 

 こうして、地底を巡った異変は解決へと導かれ、姉妹の蟠りもまた解消された。

 今回の異変もまた、無事に幕が降ろされるのだった――。

 

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百四十八訓 知らない天井って呟く時は大抵知っている天井

 

 

 

 




これにて地霊殿篇は終了となります!
次回からは再びポロリ篇です!
なんだかポロリ篇やるのも久しぶりな気がしてきました……。

それはそうと、人気投票はまだまだ実施中です!!
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