銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百五十三訓 何かの準備をしているらしい

 道中で色々とあった銀時達だったが、なんやかんやで紅魔館2ndGに到着することは出来た。これが初見となるこいしは、その大きさに目を輝かせている。

 

「こっちの紅魔館だと門番いなくてもいいわけだから、実質あの美鈴リストラされたようなもんだよな?」

「ちょっと!? 思い切り目の前にいますよ!? 貴方の目の前に門番いますよ!?」

 

 扉の前にいる美鈴は、銀時がスルーしそうになったのを見て思わずツッコミを入れる。

 

「お、なんだいたのか。今日は居眠りしてねぇんだな」

「いつも寝てるわけではないですよ? 幻想郷だと平和なのでつい心地よくなってしまうだけで……」

「おいコイツ今幻想郷だとサボる発言したぞ」

 

 気持ち的に歌舞伎町の方が気を張らなくてはいけなくなるのは理解出来る銀時。幻想郷と違って何が起きてもおかしくないような場所だ。ある日突然巨大ゴキブリが発生したりする世界なので、用心するに越したことはないだろう(そんな事実をレミリア達は知らないわけだが)。

 

「まったく、相変わらずの門番ね……そんなんだから咲夜にどやされるのよ」

「咲夜さんには言わないでくださいね!?」

 

 どうやらメイド長たる咲夜からは散々お説教(物理)を喰らっているようだった。自業自得ではあるのだが。

 

「ところで、そちらの子は?」

 

 美鈴は、銀時の腕にしがみついているこいしを見ながら尋ねる。彼女達は実質初対面。自己紹介をするのが道理という物だろう。

 

「はじめましてー。私はお兄さんの古明地こいしだよー」

「なんかとんでもない発言ぶっこんできたんですけど!?」

 

 聞き取りかたによっては勘違いされ兼ねない言い回しをするこいしに対して、思わずツッコミ役たる新八が反応してしまう。ツッコミの悲しい性というものだ。

 

「私は紅美鈴です。よろしくお願いします……もしかして、妹様のご友人でしょうか?」

「そうだよっ!」

 

 嬉しそうな声を出しながら答えたのはフランだった。彼女がこうして『友達』を紹介するのは初めてのことだったので、美鈴も心なしか笑顔を浮かべていた。

 今までレミリアによって地下室に閉じ込められていたフランに気になる男が出来、支えてくれる人が出来、そして友達が出来た。これはかつてない程大きな収穫であり、変化であった。銀時達が幻想郷に来るようになってから一番恩恵を受けているのはフランやこいしなのかもしれない。

 

「レミリアは中にいるの?」

 

 今度は霊夢が尋ねる。

 

「中で迎える準備をされてますよ。そろそろ来る頃だと見計らっていたみたいです」

「私達の動きが読まれているアル!」

「能力使って運命読み取りやがったな……しかしこんなしょーもねぇことに使わなくてもいいだろうに」

 

 純粋に驚く神楽に対して、銀時は冷静に分析する。たしかに、レミリアの能力を使えば運命を読み取ることが出来る。その上で行動を取るのは造作もないことだろう。

 

「中も凄いんだよ? 是非見て欲しいな!」

「そうなの? これは楽しみだー」

 

 銀時を挟んで、フランとこいしが楽しそうに話している。こうしていると親子に見えなくもないが、本人達は恐らく認めないだろう(特にこいしやフラン)。

 

「ま、今回はゆっくりする時間があるわけだしな。せっかくだから中入っていいか?」

「お構いなく。あ、坂田さん。今度手合わせしてくださいね?」

「遠慮してぇんだけど……銀さんいざとなった時しか目が煌めかないから。普段はぐうたらしたいんだよ」

「んなこと言ってねぇで身体の一つや二つ動かして来るアル」

「将来ニートになっても知りませんよ」

 

 こういう時の万事屋メンバーは言葉が辛辣である。

 

「大丈夫だよ。ギン兄様はフランが守るから……」

「私も守るー。お兄さんはこいしのことを見てくれるから、絶対離さないー」

「私達で守ろうね?」

「うん!」

 

 どうやらフランとこいしは既にタッグを組んでいるらしい。ある意味最強の妹同士が手を組んだら、幻想郷でも勝てる人物はそう多くはないだろう。そう考えると、坂田銀時という存在は幻想郷において偉大なのかもしれない。

 普段はちゃらんぽらんだが。

 

「中で既にパーティーの準備は整っています」

「「パーティー??」」

 

 銀時と霊夢。

 主人公サイドの二人の声が重なった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

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