銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百五十九訓 人を脅かす時には悟られないようにするのが一番

「しかしまぁ、UFOが破片になるってのも随分とまたおかしな話なもんだなぁ」

 

 歩きながら銀時がつぶやく。

 

「やっぱりこの幻想郷では常識に囚われてはいけないのですね! 勉強になります!」

「常識は常に打ち破るもの。中途半端に縛り付ける為に設けられた縛りなど、ないも同然。早苗殿もなかなか分かってきておるではないか」

「ありがとうございます!」

 

 常識を捨て去ることにもはや生き甲斐でも感じているのではないかと思われる二人。どちらか片方だけでもそこそこの面倒くささではあるが、両方揃うとこの上なく面倒だということが周囲に知れ渡る。

 

「あんた達、どうでもいいけど探す手は緩めないでよね! 目指すは宝船。その宝船にたどりつくためにUFO探してるんだから!」

「本当、霊夢さんもお金のこととなるとがめつくなりますよね……」

 

 新八はポツリとつぶやいた。

 

「というか、UFO見つけたのは私の手柄なのに、結局UFOはただの木片になってしまっては意味ないアル! 銀ちゃん、帰ったらご飯大盛りネ!」

「んな金あるわけねぇだろ! 確かに見つけたのはテメェだが、肝心の宝船に辿り着いちゃいねぇんだからそれから判断しろ! 金のためなら本気出すぞ!!」

「この主人公陣本当にただの金の亡者だな!! もっと主人公らしく人助けとかしてくださいよ!!」

 

 普段はやる気なく、金に貪欲であり、ぐうたらしている二人は、本当に気があうのかもしれない。

 

『金出せYo!』

「アンタは誰に向かってたかってんだエリザベス!!」

 

 ツッコミ一人の状況ではなかなか追いつけないこの感じ。何か変化が欲しいと感じていたその時のことだった。

 

 からん、ころん。

 かつん、かつん。

 

 銀時達の背後から近づいて来る足音。足音に合わせて、何かが地面をついている音も響いて来る。その音は規則的に、ゆっくりと、確実に近づいて来ている。

 

「敵か……?」

 

 一瞬にして、周囲の空気が変わった。

 これでも、何度も戦場に出た者達が集まっている。銀時や桂達は、異変に限らず何度も事件に遭遇している。この中では新参者である早苗もまた、そんな空気を察してか真面目な雰囲気を出していた。

 

 からん、ころん。

 かつん、かつん。

 

 こうしている間にも、足音は確実に近づいて来る。やがてその足音がしばらく聞こえなくなり、しかし人の気配は確実に感じるこの空気。

 

「……っ!!」

 

 銀時は咄嗟に木刀を振りながら、後ろを振り向いた。

 

「ばぁっ! ……きゃあああああああ!!」

「「「「「え?」」」」」

『悲鳴?』

 

 銀時の背後にいたのは、一人の少女だった。

 水色のショートボブに、右が水色で左が赤のオッドアイ。水色のミニスカート姿に、素足に下駄を履いている。白の長袖に水色のベストを羽織った少女は、その手に大きな紫色の唐傘を握っていた。

 そんな少女は今、まるで驚かそうとして、逆に自分が驚かされたかのようにその場に座り込んでいる。

 

「っ!!」

 

 だからこそ、新八は気付いてしまう。

 ミニスカートから伸びる足は素足。ストッキングやタイツなどを履いていない。つまり、座り込んでいる彼女の生脚は存分に視野に入るわけであり、さらにミニスカートの中にある女の子の秘密の花園が、もう少しで見えてしまいそうな角度となっていて。つまりこれが最早宝物として扱ってもいいのではないかという変態的な思考に──。

 

「勝手に人の思考を捏造するなァアアアアアアアアアアア!!!」

 

 新八のツッコミが冴え渡った瞬間である。

 

「うぅ……どうしてですかぁ……」

「は?」

 

 銀時は少女の言葉に目を丸くした。涙を溜め込み上目遣いで見上げてくる少女は、銀時を見つめながら一言。

 

「どうして驚いてくれないんですかー!!」

「……はい?」

 

 少女の言葉に銀時は思わず目を丸くした。どうやらこの少女の予定では、今頃銀時達が腰を抜かして驚いている所だったということらしい。

 残念ながら可愛い女の子が背伸びして頑張って脅かそうとしたようにしか見えなかった。

 

 

 

 

 

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