銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百六十訓 人が勝手にやることについては止められない

「私にとって人を驚かすのは生き甲斐……いえ、人生の一部のようなものなんです……それなのに……どうして驚いてくれないんですかー!」

 

 わりと理不尽な八つ当たりに近い感情を存分にぶつけられる銀時。それこそ、まるで振られた女のように泣きじゃくり、ぽかぽかと弱い力で銀時の胸元を殴り続ける彼女は、可愛い以外の何物でもない。これで脅かさる人物はそう多くないだろう。脅かし方についても、可愛い女の子がやるそれにしか見えなかったし。

 

「……銀時。その子は一体何者なの?」

 

 何故か霊夢は汚物を眺めるような目で銀時を見つめていた。ちなみに、早苗は頰をハムスターばりに膨らませている。怒っていますアピールを存分にしている。

 

「いやしらねぇけど……」

 

 真面目な話、彼は彼女のことを知らない。当然ながらその場にいる誰もが、目の前に現れて急に泣き出した彼女のことを知るはずがない。

 そんな少女は、ひとしきり泣き終えた後に気を取り直したのか、おもむろに自己紹介を始めた。

 

「私は多々良小傘。こう見えても唐傘お化けなんですよー」

 

 どう見てもお化けには見えないのだが、小傘は何故か妙に自信満々に胸を張っている。幽霊であることを誇っているかのようだ。具体的に言うと『ドヤァ』という効果音が背景に描かれるのではないかと思われるほど。

 

「立ち直るの随分と早いアルな」

 

 何気なく神楽は呟く。

 

「でも、最近は全然驚いてくれないんですよ……前までは少なからず誰かしらは驚いてくれたのに、今や妖怪なんて珍しくもなんともなくなってしまいましたから……」

「確かに、この幻想郷では妖怪たくさんいますし、人間の中でも圧倒的な力を持つ人だっていますからね……」

「下手したら人間の方が怖いやつだっているくらいだからな」

 

 新八と銀時が妙に悟った目をしながら語る。彼らの周りにいる人物達が軒並み化け物級揃いなのが原因だろう。そもそも今いる中に人間でもなければ妖怪でもない、カテゴリーに悩む着ぐるみ的存在がいるくらいだ。

 

「その頑張りは実に良いことではないか。周りが変わったとしても、己がやることがブレることない。その姿勢は褒められたものだと俺は思う」

 

 うんうん、と頷きながら桂が言う。キャラがぶれぶれな彼が言っても何処か説得力に欠けるのだが、割と小傘には響いた模様。そもそも桂がどんな人物か分かっていないのだから、素直に褒められていると思っても不思議ではない。

 

「まぁ、なんにせよこれからも精進するといいんじゃねえか? ただまぁ、本気で人驚かせてぇんだったら、まずはその可愛い面どうにかした方がいいと思うけどな」

「えっ……?」

 

 小傘は目を丸くして銀時を見つめる。

 サラリと女殺し的な台詞を言ってのける銀時に対して、思わず胸が高鳴ったのだ。ドキドキさせようとしてた側が、ドキドキさせられた瞬間である。ただし相手の目は死んでいる。流石は坂田銀時と言えるだろう。

 

「もっとこう、腕にシルバー巻くとかさ☆」

「ただそれぶっこみたかっただけだろうが!! ゲームキングに謝ってこい!!」

 

 新八の遠慮ないツッコミが銀時を襲う。

 しかし本人は痛くもかゆくもない様子。ボケはボケられたらそこで満足なのだ。

 

「とりあえず、驚かせてぇってんなら、ちっとは驚かす為の勉強してこい。話はそれからだ」

「あっ……」

 

 銀時はその場から立ち去ろうとする。彼らには一応のこと目的がある。いつまでもここで油を売っている場合ではないのだ。だから先に進もうとして、

 

「ま、待ってくださいっ!」

 

 その手を、小傘に引き留められた。

 

『お?』

 

 エリザベスが興味津々なプラカードを掲げる。

 構わず、小傘は銀時に対して言った。

 

「あの、また驚かせてもいいですか?」

 

 不安混じりに尋ねる声。

 断られたらどうしようと言いたげな表情。

 上目遣いに見つめる瞳は不安げに揺れている。

 銀時は頭を右手でガシガシと搔いてから、

 

「やりたきゃ好きにしろよ。人が何しようとテメェの勝手だからな。勝手にやる分には止められねぇだろ」

「……っ」

 

 その言葉に、小傘は胸を打たれた。

 

「まぁ、銀さんは幽霊とか苦手ですからね」

「お化けだと分かった瞬間に泡吹いて倒れるのかと思ったけど、そうでもなかったアル」

「前は怨霊の声が聞こえるって聞いただけであれだけ騒いでたのに……随分ね」

「そうだったんですか!? それは是非とも見てみたかったです……可愛い銀時さんも素敵……」

「情けないなぁ銀時。武士ともあろうものが怖い物あるとは」

『無様☆』

「テメェらふざけんじゃねえぞ!!」

 

 銀時の叫び声が辺りに響いた瞬間だった。

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百六十訓 人が勝手にやることについては止められない

 

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