銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百六十四訓 出る杭は打たれる

 現れたのは、ウェーブのかかった黒のショートヘアーの少女。青緑色の瞳が銀時達を見据えている。上は緑の線が入った白地メインのセーラー服。下はそれに合わせたキュロットスカート。頭には小さな帽子が被せられており、その帽子には錨のマークが描かれていた。

 

「ムラサさん!」

 

 一輪が、少女の名前と思わしき単語を発する。ムラサと呼ばれた少女は、銀時達の前まで歩み寄ると、

 

「私は村紗水蜜。この船の船長を勤めています」

 

 村紗は丁寧に頭を下げ、自己紹介をした。

 銀時達もそれに倣って自己紹介をし、互いの名前を把握したところで、

 

「まず、そもそも封印されている人物が誰なのかを話さなくてはいけませんが、その前に一つお願いがあります」

「お願い……ですか?」

 

 早苗が尋ねる。

 村紗は真剣な表情を見せながら、その内容を口にした。

 

「この話をするということは、貴方達も関与するということです……その上で、私達に協力していただけないでしょうか? もちろん、私達は悪事を働く為に復活させようとか、そんなことは微塵も考えていません。だから……っ」

「何を言っている。俺達は元より関わるから話を聞いているつもりだが?」

『桂さんのいう通り!』

 

 村紗の言葉に対して、さも当然のように言い放った桂。それに合わせるエリザベス。そして、この場にいる誰もが別に反対意見を持ち合わせていないように見つめている。

 

「私としては特ダネ記事を書ければそれで十分なので! 是非是非協力させて頂きますよ〜」

「アンタが言うと台無しね……」

「あやや!? 霊夢さんそれは酷くないですか!?」

 

 一人、ほとんどぶれていない射命丸文だった。その様子には霊夢も呆れ顔。

 

「なんだかよく分からないけど、少なからず何かしら理由があるんだろ? それなら私達が協力しない理由はないぜ!」

「そうですね……困っている人がいたら見過ごせませんし!」

 

 魔理沙と早苗もまた、協力する気満々といった様子だった。

 

「銀ちゃん、これは依頼アルか?」

「まぁ、そうなるだろうな……」

「依頼とあっては、仕事しないわけにはいかないですよね?」

「そうだな……万事屋として、その依頼引き受けるぜ。だからもう少し詳しく話を聞かせてもらおうじゃねえか」

 

 万事屋の三人も、村紗に協力すると告げた。彼らの言葉に胸を打たれた村紗は、

 

「ありがとうございます……このご恩、必ずや返させて頂きます……っ」

 

 涙目ながら嬉しそうにそう告げたのだった。

 

 

「そもそもの発端は数百年前。かつて一人の人間が居たのです……その方の名前は聖白蓮。私達が最も尊敬しているお方です」

 

 村紗が語った内容を簡単にまとめると以下の通りになる。

 聖白蓮は元々人間であった。僧侶として過ごしていた彼女は、ある日妖力や魔力の類を学び、その力を使って若返りの力を手にした。それからの彼女は、表では僧侶として人々からの信仰を集め、裏では若返りを維持する為に妖怪を助けていた。そうして過ごす内に、妖怪達に秘められた過去を知り、彼女は妖怪達を救いたいと思うようになる。だが、そんな彼女の想いとは裏腹に、人々は妖怪を助けているという白蓮の話を知ってしまった。妖怪を恐れている彼らにとっては、当然受け入れられない事実であり、同時に彼らは白蓮を恐れた。そして彼女は人間達の手によって、魔界へ封じ込められたのだった。

 

「……ざっと、こんな感じです」

 

 村紗から聞いた話に、銀時達は言葉を発せずにいる。僧侶として人々から慕われていた彼女も、妖怪を助けたいと思った彼女も、同じ人物であることに間違いない。だが、人間達にとって妖怪は恐怖の象徴であることの方が大きいのだ。弾幕ごっこのルールが制定された今だからこそ拮抗出来たり仲良く出来たりする妖怪もいるが、必ずしもそういった者達ばかりいるとは限らない。

 

「私は聖に助けられたんです。だから今度は、私たちの手で聖を助けたい。封印を解いてあげたいんです……」

「村紗殿……」

 

 村紗の目は決意に満ちていた。少しのことでは揺るがない決意があった。

 桂は銀時と見合わせて、それから2人は言った。

 

「俺達の宝探しはどうやら終わってなかったみてぇだな」

「あぁ。とびきりのお宝が魔界に秘められているみたいだな、銀時」

「てこたぁ、俺達で宝見つけなきゃいけねぇな? ヅラ」

「ヅラじゃない、桂だ」

 

 その会話を聞いて、霊夢達もまた意図を察する。

 

「……どうやら私達、まだまだ探索する必要があるようね」

「そうと決まれば、目指す場所は……っ!」

「魔界、ですね!」

「あやや! これはなかなか面白い展開になって来ましたね!」

 

 彼女達の言葉に、村紗は目を丸くする。

 そんな彼女に対して、

 

「村紗さん。行きましょう、魔界へ」

「長い眠りに就いてる女起こしに行くアル」

「そうだな……目覚めるにゃ随分と時間経っちまってるお姫様、起こしに行こうじゃねえか」

「……えぇ! 行きましょう!」

 

 銀時達の言葉に対して、村紗は強く頷いた。

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百六十四訓 出る杭は打たれる

 

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