銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百六十五訓 打たれた杭を引き抜くための準備

 魔界の一部にある法界。銀時達を乗せた船は、しばらくの航海の後、そこまで辿り着いていた。辺りは瘴気が酷く、息苦しいような感覚さえする。しかし、そんな中で一人、

 

「ここは……私達の森みたいな感じがするぜ」

 

 そう、霧雨魔理沙は逆に元気そうにしていた。

 

「なるほど……ここは魔法使いにとっては都合の良い場所ということね」

「それで魔理沙さんは元気そうにしているということですな……あやや、なかなかに興味深い場所ですね!」

 

 霊夢が自身の考えを述べ、それに納得した文が感心したかのように言葉を返す。魔法使い達にとって、澄み切った場所よりも瘴気が強い場所の方が、魔法の源である魔力が強くなり都合が良いのだ。恐らくこの場にパチュリーやアリスが来ていた場合、より分かりやすかったのかもしれない。

 

「この世界に、封印されているって訳ですね……」

 

 辺りを見渡しながら、新八は呟いた。

 

「女一人閉じ込めておくにゃ、なかなか趣味の悪ぃ空間だな」

「全くだ。女性の扱いくらい心得た方が良さそうだな」

「いやそういう問題じゃないですからね!?」

 

 若干ずれた反応を見せる銀時と桂に対して、新八は思わずツッコミを入れてしまっていた。せっかくのシリアス空間が台無しである。

 

「何言ってんだヨ新八。乙女ってのは場所や環境を無茶苦茶気にするアル」

「普段押入れの中で猫型ロボットのように寝てるやつに言われたかねぇよ! 色気より食い気だろ!?」

 

 強ち間違いではないから神楽については否定出来ないところである。

 

「銀時さんは、女性の扱いとか慣れてそうですもんね……妻としては時々心配になります」

「いや、テメェの妻になった覚えねぇからな? これっぽっちもねぇからね?」

 

 事あるごとにアピールしてくる早苗に対して、割とガチトーンで否定している銀時なのだった。

 

『ヒューヒューモテ男!』

「喧しいわエリザベス!!」

 

 よりによってエリザベスに煽られている銀時なのだった。

 そんな中、

 

「…………ここに聖が。長い間封印されていた場所……」

 

 村紗は、悔しそうにポツリと呟いた。一輪と雲山は、船の中に残って侵入者が来ないように見張っている。ここは魔界の中でも法界と呼ばれ、先程判明した通り瘴気が酷いのだ。何が起きてもおかしくないのだから、一応のこと誰かしらが残ったとしても問題はない。念には念を、というやつだ。

 

「そうだよ。ここに、聖白蓮は眠っている。だから私達は、その為に必要なものを集めてきたのさ」

「そして、その時は訪れた……今ここに、聖を復活させるのに必要な道具は全て揃ったという訳だな」

 

 銀時達の耳に届いたのは、二人の女性の声だった。一人はどこかで聞き覚えのある声。もう一人は、威厳ある女性の声だった。瘴気の中より姿を現したのは……。

 

「お前……あの時の宝探し女じゃねえか!」

 

 そう。一人は『飛倉の破片』を探していると銀時達に告げていた少女、ナズーリンだ。

 もう一人は、金と黒の混じった髪を持ち、頭上に花を模した髪飾りをつけた少女。虎柄の腰巻をつけ、背中には白い輪を背負っている。左手には長い槍を、右手には宝塔を持っていた。

 

「そして私は寅丸星。私もまた、聖を復活させる為にここに来た」

 

 星は、威厳ある表情を銀時達に見せながらそう告げた。

 

「やっぱり貴方達が持ってたんだね……私としたことが見落としちゃってたよ」

「あん時はそもそもあれが飛倉の破片だとは知らなかったからな……回り道させちまったようですまなかった」

「いいさ。こっちも説明しなかったのがいけない。だからこれでおあいこってことで」

 

 ナズーリンは特に気にしていないといった感じで話を進める。

 

「とにかく、これで必要なものは全て揃った。後は聖を復活させるだけ……ありがとう。礼を言わせて欲しい」

 

 星は銀時達にはもちろんのこと、村紗やナズーリンに対しても頭を下げていた。彼女達の目標はあくまで聖白蓮を封印から解き放つこと。その気持ちや想いに嘘偽りは存在しない。

 

「俺達はただ宝探しのついでに見つけただけだ。たまたまだから気にするこたぁねぇ」

「それでも、結果的にこうしてここまで来てくれている。普通あんな話を聞いた後で着いてこようなんて思わないだろう。何処までお人好しなんだ……異界の侍とはこのような者ばかりなのか。時代の流れとは如何程変わったのかわからぬものだな……」

 

 銀時の言葉を聞いた後で、星はただただ感心していた。彼女が普通に行動してきた時代の人間達は、それこそ自身の欲望に忠実で、傲慢で、恩を忘れて恐怖に支配されるだけの存在でしかなかったのだ。それが、今目の前にいる銀時達には当てはまっていない。いや、欲に忠実であるという点に変わりないのだが、それを上回るほどのお人好しだった。

 

「まぁ、これ以上語る言葉もないだろう? 後は目的果たしてから話すことにしようぜ」

「……それもそうだな」

 

 銀時に促される形で星は準備を始める。そして、その場にいる全員に対してこう告げた。

 

「これから、聖白蓮の封印を解き放つ」

 

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百六十五訓 打たれた杭を引き抜くための準備

 

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