宝船騒動が終わり、今回の異変は幕を降ろした。その後、いつものように万事屋で繰り広げられるBGオンリー。今回はいつもの三人に加えて、久しぶりに登場する最早ヒロインの座を我が物にしているとも言えるあの女の子も登場する。
「ギン兄様、正座」
「え、なんでいきなり正座させられそうになってんの? 俺なんか悪いことした?」
「最近ギン兄様が全然フランに会ってくれないんだもん……そろそろ私、本格的にギン兄様のことを……」
「ちょっと? そこで止めないで? 銀さん気になっちゃうから。気になっちゃって夜しか寝られないから」
「しっかり寝てるじゃないですか銀さん」
「これでも私、すっごくギン兄様のことを心配してるんだよ?」
「……あぁ、それについては悪かった。今度何かで埋め合わせしてやっからよ」
「本当アルか!? じゃあ私はパフェ一年分寄越すネ!」
「なんでテメェが埋め合わせもらえる前提で話進めようとしてんだ神楽ぁ! 俺はフランにやるっつーだけだぞ!?」
「銀さん、僕はお通ちゃんのライブチケットで大丈夫ですよ」
「何新八まで便乗してんだテメェ!! そもそもお通ちゃんはこの小説で出番ねぇからライブチケット取ったところでその話は作られねぇんだよ!!」
「おつうちゃん、って誰? ギン兄様」
「新八が付け回してるアイドルの名前だ」
「なんかその言い方だとストーカーしてるみてぇに聞こえるでしょうが!!」
「アイドルの追っかけでストーカー紛いなことをしてる奴もいるアル」
「其奴らと僕を一緒にすんな!! むしろ僕としてはそういう輩を許せないと思ってるんだからね!?」
「と、に、か、く! そろそろギン兄様も危ないところに首突っ込まないようにして欲しいの! ギン兄様からいなくなっちゃったら……ううん……居なくならないように、ずーっと一緒に居られるようにしなきゃいけなくなっちゃうから……」
「こえぇよ!? 冗談だよな? 場を和ませようとしているジョークだよな!?」
「銀さん、諦めてください。フランちゃんの目、本気ですよ」
「俺は一体何されるってんだー!!」
「大丈夫、ギン兄様。痛いのは一瞬だから、すぐ気持ちよくなるから」
「誘い文句がおかしいよフランちゃん!?」
フランを交えながらもいつもと同じような会話を繰り広げている万事屋。それだけ彼女の存在がこの場所に溶け込んでおり、居場所として成り立ちつつあることを意味していた。フランにとっての居場所とは、紅魔館のみではなくなっている。銀時の隣──万事屋もまた、彼女にとって大切な場所となっているのだ。
「相変わらず馬鹿やってるわね……フランまで……もうなんというか、あんた達で家族みたいじゃない」
呆れたような表情を浮かべながら入ってきたのは、何やら一通の手紙を持った霊夢だった。彼女は銀時達の様子を見て、何処となく感じるものがあったのだろう。
「あれ? 霊夢さんその手紙はなんですか?」
手紙の存在に最初に気づいたのは新八だった。分かりやすく霊夢が持っているのも気付けた理由の一つではあるだろう。
霊夢は溜息をつきつつ、その手紙を銀時に差し出す。
「今回の宴をやる場所の案内図よ。新しく建てられた場所だから、流石に地図がないと厳しいだろうからって、向こうの連中が気を回してくれたのよ」
「なるほどな……」
向こうの連中、とは恐らく白蓮達のことを指しているのだろう。今回の宴でメインとして動いているのは彼女達だ。
銀時は受け取った手紙の中身を読む。隣にいたフランもその手紙を覗き込む。
「「命蓮寺?」」
そして、聞いたことのない名前にキョトンとするのだった。神楽や新八も、幻想郷にそんな場所があったのか? と言いたげな表情を浮かべている。
そんな反応を読んでいたかのように、霊夢は説明した。
「命蓮寺は……あの船を基にして幻想郷に新しく建てられた寺の名前よ。つまり、正真正銘ニュースポット、と言ったところね」
「あの船改造して寺にしちまったのか!?」
これには銀時も驚いた。
船から寺への改造とは、最早かつて船だったことすら忘れ去られるのではないかと思われるほど大規模な改造に思われるからだ。実際そんなことをする者はなかなかいないだろう。なかなかに英断だったと思われる。
「船から寺への大規模工事なんて、よくそんなこと思いついたアル」
「本当ね……正直、誰もが驚いているわよ。今まで幻想郷に新しく寺が建つこともなかったから、それだけでも驚きだというのに……しかもあの宝船が寺になったという評判があって……信仰が……っ」
「「「「あっ」」」」
霊夢以外の四人はその言葉で察してしまった。
多分このままだと、博麗神社への信仰はますますなくなるのではないか、と……。
「ともかく、今回の宴はそこでやるから忘れないようにね。他の奴らにはもう伝えてあるから、呼びたい奴がいたら声かけておけばいいんじゃないかしら。どのみち幻想郷の宴なんて、気付けば勝手に人が増えるのだから」
「否定出来ねぇな……」
溜息交じりの霊夢の言葉に、銀時は否定出来なかった。
ともかく、こうして今回もまた、何が起きるか分からない宴の幕開けとなるのだろう。
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