銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百七十一訓 たまに登場するとその人がどんな味覚をしているのか忘れてしまいそうになる

 というわけで、実際に命蓮寺まで足を運んだ銀時達。道中では、今まで甘えられなかった分、フランが存分に銀時成分を味わう為に常に腕にしがみつき、時折かなり強く抱きしめていた。女の子特有の柔らかさと、吸血鬼特有の力強さという、天国と地獄を同時に味合うことになった銀時の体力は、ここに辿り着くまでに赤ゲージまで達していた。

 ちなみに、そんな様子を見ていた霊夢の機嫌は良くない。

 

「万事屋か。テメェやっぱりガキ引き連れて……今がオフじゃなかったら手錠引っ掛けてた所だぞ」

 

 銀時達の前に現れたのは、何気に久しぶりの登場である土方だった。

 

「土方さん!? お一人でどうしたんですか?」

 

 新八が尋ねる。

 そう、彼にしては珍しく、他の真選組メンバーがこの場にいないのだ。普段ならば少なくともあと二人は居るはずなのに、なんとも珍しい状況のように見える。その理由は、すぐに分かった。

 

「坂田さん! 今日の宴には坂田さん達もいらしてたんですね?」

 

 駆け寄ってきたのは、ミツバだった。

 そう、本日の土方は真選組鬼の副長としてではなく、ミツバの旦那として来ていたというわけだ。

 

「ケッ!!」

「あの、神楽ちゃん? 露骨に土方さんに威嚇するのはやめよう?」

「見てるこっちが火傷しそうになるアル。あーあ、これだからバカップルは嫌アル」

「まだなにもしてねぇよ!? ただ二人一緒にいるだけでバカップルと言われる筋合いねぇから!!」

 

 土方が青筋浮かべながら神楽にツッコミ返す状況が誕生していた。

 

「しかし、尚のことドS野郎が来てないのが違和感あるが……」

「どえすやろう?」

 

 銀時の呟きに対して、首を傾げながら尋ねるフラン。

 

「あそこにいる瞳孔開きっぱなしの怖いマヨネーズバカの部下で、女の人の弟だ」

「おいテメェ今ナチュラルに俺のこと煽っただろ?」

 

 流石に銀時の言葉をスルー出来ない土方なのだった。

 

「まぁ、何がともあれ、貴方達も今日の宴に参加するってことね?」

「そうなります。よろしくお願いします」

 

 霊夢の言葉に対して、ミツバが笑顔で答える。

 基本的にミツバは美人でいい人だ。それこそ土方の帰りを信じて待っていられる程にはいい奥さんなのだ。

 ちなみに、幻想郷において土方とミツバはほぼ事実婚のような形を取っている。最近では幻想郷から真選組へ仕事に向かっているようだ。一度帰る場所を決めた土方は、その後の闘いにおいてもかなりの強さを発揮しているという。

 尚、土方がミツバの所に帰る際、ほとんどの確率で総悟もくっついてくるのだが、その話はする機会があればいずら行うことになるだろう。

 

「実は私も、今日の宴では料理を用意させていただいたんですよ?」

「本当アルか!?」

「ありがとうございます! こんな美人さんの料理食べられるなんて夢みたいです!!」

 

 ミツバの言葉に、神楽と新八が喜んだ。ここまで完璧超人だ。その料理も美味しいはずだと思っているのだろう。

 

「美味しい料理があるんだね! ギン兄様楽しみだね……でも、あれ? 確かこの人って……」

 

 料理があることに嬉しさを感じたあと、何かに気付いた様子のフラン。

 

「ここの人達はよく食べて良く飲む人達だから、つまみが美味しいのはいいことね」

 

 霊夢は料理に思いを馳せている。

 各々がミツバの言葉を聞いて、美味しい料理を想定していることだろう(フランは何か引っかかりを感じているが)。

 だが、ここに二人、ミツバが料理を作ることに対して素直に喜べない人物達がいた。

 

「……なぁ、土方」

「……なんだ、万事屋」

 

 銀時と土方はこっそり打ち合わせをする。

 その内容は……。

 

「アイツの料理、辛くないのか?」

「……………………正直、保障は出来ねぇ」

 

 そう。

 ミツバの料理における最大の問題点というのは……超がつく程の辛党であるという点だ。

 それこそ、パフェに対してデスソースを丸々一本かけても平気で平らげてしまうほどの辛党。

 ちなみに土方はマヨラー。マヨラーと辛党という、味覚の暴力同士の夫婦において、果たして食事の方は一体どうなっているのだろうか。

 

「本当はお祝いの場なので美味しい料理をたくさん振る舞いたかったのですが、辛い物を作ろうと思ったら、幽香さんや咲夜さんに止められてしまいました……」

「「ナイスプレイ」」

 

 ミツバが少し悲しそうに呟いたのに対して、銀時と土方は思わず声を揃えてしまったという。

 兎にも角にも、彼らは宴の会場へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百七十一訓 たまに登場するとその人がどんな味覚をしているのか忘れてしまいそうになる

 


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