「あれ!? もうここを掴んだなんてびっくりだわー……」
守矢神社に文達が足を運んだ時、そこにははたての姿もあった。どうやら彼女が念写として設定していたキーワードの中には、やはり守矢神社というワードも入っていたようだ。即ち、彼女の掴んだ特ダネというのも、幻想郷の中で噂されている巨大な何かということになる。
「取材を重ねた結果、この神社に辿り着いたんです。はたては最初からここを掴んでいたみたいですね」
「写真でピキーンってきちゃったというか、場所自体は最初から知っていたのよねー。だからしばらく文達は来ることがないと思ってたんだけど……」
「予想に反して俺達の到着がはやかった、ってことか」
「そうなのよー……本当行動力だけはあるわね……」
はたては残念そうというか、悔しそうというか、なんとも複雑そうなひょうじょうを浮かべていた。自分が真っ先に掴んだ情報に、目の前にいるライバルは自力でたどり着いてしまったからだ。いうなれば、取材レベルでいえばやはり文の方が上ということになる。
「文屋と話を聞いているうちに、異変かもしれないって思い始めたから私達も同席するわよ。構わないわよね?」
博麗の巫女たる霊夢が、割と真剣な表情を浮かべながらたずねる。はたては特に拒否する理由もないため、
「それくらいは構わないわよー」
と、霊夢の意見を通した。
そして彼女達は、意を決して守矢神社の鳥居をくぐった──。
※
そこにあったのは、人型の『ナニカ』だった。大きさにして百メートル程のそれは、銀時達のことを見下ろしているようにも見受けられる。何処かのロボットアニメに登場する巨人メカのようなナニカは、確かに早苗の情報通り巨大ロボのようにも見える。
「い、いつの間にこんなものを……」
「でっかいぜ……!」
霊夢は目を丸くし、魔理沙は目を輝かせている。
「銀ちゃん銀ちゃん! 巨大ロボアル! 乗っていいアルか!?」
「神楽ちゃん危ないからダメだよ!?」
同じく目を輝かせる神楽と、そんな彼女が余計なことをしないように必死に止めている新八。
「これはスクープの香りがしますね……!」
「早速突撃取材って感じだわー!」
マスゴミたる二人は、これを記事にしたら盛り上がると言わんばかりに興奮している。
「こりゃあれだな。逃げちゃダメだな……逃げちゃ、ダメだな」
「なんか微妙にセリフが違うんですけどぉおおおおおおおお!?」
流石は新八。小ネタに対するツッコミも忘れない地味メガネツッコミ製造機の端くれだ。
「なんか久しぶりにすごく失礼なことを聞いた気がしますけど!?」
すごく失礼なことを言ったからである。
「おや? こんなに客がたくさんいるなんて珍しいこともあるもんだねー。もしかして、これが気になってここまできたのー?」
そんな彼女達の前に現れたのは、目がついた帽子をかぶっている一柱の神、洩矢諏訪子だった。彼女は何処か楽しそうに銀時達を見つめている。
「誰かと思えば守矢神社の祟り神じゃない……貴女が出てくるってことは、これには貴女が関わっているってこと?」
「うーん、そうなるかなぁ」
霊夢の言葉に対して、諏訪子は特に声の調子を変えることなく語る。その言葉を聞いたマスゴミ二人は、メモ帳に今の言葉をしっかりと書き残していた。
「大きいロボアル! あれに乗ってもいいアルか!?」
関わっているとわかったや否や、神楽はそのロボに乗せろと言わんばかりの勢いで諏訪子に詰め寄る。
しかし、諏訪子は。
「あー、それはやめておいた方がいいと思うよ?」
「どうしてですか?」
そんな微妙そうな反応を聞いて、新八は不思議そうに尋ねた。マスゴミ二人よりも余程他の人達の方が質問しているように見えるが、今はとりあえず置いておくことにする。
「元々あれは、『巨大妖怪型自動操作人形』なんだ。河童に作らせた特注品であることに変わりないんだけどさ……」
「やっぱり河童も一枚噛んでいやがったか……」
幻想郷において発明品絡みが関係するとなると、パターンとしては二つしかない。一つは香霖堂に流れ着いた品物によるもの。もう一つは、幻想郷における技術力第一位たるお値段以上河童のにとりさん印の発明品だ。今回の場合は後者であったということになる。
当然、今の情報もマスゴミの二人はメモにとっている。
「いやぁ、元々は今度山の麓の河原で開かれる未来水妖バザーの宣伝の為に作らせたんだけどさ? これだけ大きな人形に自我を持たれると困るなぁって思って……」
諏訪子は、今回のこの件に関してわりと重要な情報を口にする。
「中は空洞になってるんだよねぇ」
あれだけ巨大ロボだの、だいだらぼっちだの噂されていたそれは、実はなんて事のないただのアドバルーンだったという事実が判明したのだった。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第百八十訓 真実というものは意外と単純かつ呆気ないものである