銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百九十二訓 ちょっとしたギャップにはドキドキしてしまうもの

 バカルテットwith大妖精の襲撃(?)を退けた銀時達は、湖に沿ってそのまま人里まで向かっているところだった。華陀の目的が妖怪や妖精ではなく人間ならば、そこに何かしら仕掛ける可能性があったからだ。

 

「しかし、性格とかが逆転してる異変だったか? なかなかに迷惑だなこりゃ……」

 

 銀時が面倒臭そうにポツリとつぶやいた。

 

「本当ね……けど、あのチルノが大人しかったのは都合いいことじゃない」

 

 霊夢の言う通り、たしかにチルノはおとなしかった。普段あれだけ騒がしいので、今回の異変では逆に静かに……というかヘタレになっていた。ただし頭の中身は反転しなかった模様。バカはいつまで経ってもバカなままという悲しい現実である。

 

「ちょっと僕はドキドキしちゃいました……」

 

 ある意味今回一番得したのは新八かもしれない。普段はあんなラブコメ展開になることなどそうないのだが、何せあのリグルから積極的にグイグイいかれたのだ。多少その愛が重かったとしてそれすらも可愛いもののように思えているのかもしれない。異変が収まれば元どおりになるから、というのもあるだろうが。

 

「気持ち悪いネ変態。近寄るなヨ」

「オィイイイイイイイイ!! なんで僕は引かれなきゃならないんですかァアアアアアアアアア!!」

 

 ジェスチャーで『近寄るな』とばかりに手を払う神楽に対して、新八はいつものようにツッコミを入れる。

 そんな彼に対して魔理沙が一言。

 

「そりゃ……今のはちょっと……キモいぜ」

「魔理沙さぁあああああああん!?」

 

 とうとうツッコミ役からも見放されていた新八なのだった。

 

「さっきはちょっとドキドキしたなぁ……お兄さんってば、あの女の子にちょっかい出されてたんだものー。フランちゃんが退けてくれたからいいものの、こいしはちょっと残念かなー」

 

 そういえばあの場において唯一発言せず、かつ、存在感を消していたこいし。

 もしかしたら彼女は静かに怒っていたのかもしれない。

 

「ったく、それくらいでどぎまぎしてんじゃねえよ。あれは異変が招いた結果の産物だろ? 普段からああってわけじゃねえし、何よりテメェら放っておくつもりもねぇっての」

「わぷっ」

「ふにゃっ」

 

 少し拗ねているように見えるこいしと、最早語らなくとも銀時に抱きついたままのフランの頭に、銀時は自分の手を乗せる。そのまま少し乱暴に、しかし優しく頭を撫でた。

 

「ま、なんつーか。今回の異変が一筋縄ではいかねぇってのと、これをもし華陀が利用してるってんなら、面倒なことになりそうだっていうことは分かったな」

「そうね。普段はおとなしい妖精や妖怪達が一気に暴れまわったりでもしたら只事じゃないわ。今の様子を見て大体把握出来たでしょう」

 

 霊夢の言う通り、基本的に幻想郷では妖精や妖怪達が人を襲うことはあまりない。確かに中には人を襲う妖怪もいるものの、弾幕ごっこのルールが幻想郷に広まっている限りは双方に平等になるように仕組まれている。

 しかし、暴走となれば話は別だ。ルール無用の殺し合いがそこで繰り広げられるというわけだ。単純な力の差では、妖怪の方が上となるケースの方が多い。そもそも弾幕ごっこにしたって、能力を持っている人間の方が珍しいのだ。幻想郷にいるからと言って、すべからく全員に能力が備わるとは限らない。

 

「なんにせよ、警戒するに越したことはないぜ。こうしていつどこで誰が来てもおかしくない状況なわけだしな。まっ、きたとしても私のマスタースパークで一撃だぜ!」

「本当こういう時、アンタの能天気さはありがたいわね……」

「能天気は余計だぜ!」

 

 数々の異変を解決してきた魔理沙だからこその余裕。そしてそんな彼女を信頼しているからこその、霊夢の言葉。

 流石は東方側の主人公サイドと言った所だろうか。

 銀魂側はただ鼻くそ量産しているだけだというのに。

 

「……っ!?」

 

 そんな時だった。

 銀時が何かの気配に気付き、木刀を握り締める。

 

「どうしたんですか銀さん!?」

 

 真っ先に新八が尋ねた。

 新八もまた、銀時に倣って木刀を握り締める。

 

「誰かいる……気を付けろ」

 

 気配を感じ取れているのはアドバンテージに繋がるだろう。

 だが、それは同時に、銀時達を狙うものが居るという証明にも繋がる。

 

「待って。気配は二つよ」

 

 そこに、霊夢が更に付け加える。

 

「フラン、こいし。お前達は下がってろ。ここは俺達が何とかする」

「で、でも……っ!」

「それじゃあお兄さんが……」

 

 フランとこいしとしては、銀時が傷つくことが怖いのだ。

 だから自分達も戦おうとして、

 

「バカ野郎。まだテメェらには戦力温存していて欲しいんだよ。いざって時に、とっておきの切り札が疲弊してちゃつまらねぇからな……つーわけで、ここは万事屋に任せろ」

「弾幕出せない奴らが何粋がってるのよ。私も出るわ」

「そうかい。ま、せいぜい足引っ張んなよ」

「お互い様よ」

 

 霊夢と銀時が肩を並べて警戒する。

 神楽と新八、そして魔理沙の三人もまた、周囲を警戒し――。

 

 

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百九十二訓 ちょっとしたギャップにはドキドキしてしまうもの

 

 

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