銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第百九十四訓 事態を収める為には一つずつこなしていくと確実

 西行寺幽々子は、白玉楼に神霊が現れた原因を突き止める為、命蓮寺に足を運んでいた。彼女がそこで見たもの、それは。

 

「どうやらこの件は、この先に何かありそうね……」

 

 寺そのもので何かが起きているというわけではなかった。寺を通り道として、その先に向けて神霊の気配が濃くなってきている。彼らは人の欲が具現化した存在。故に、大多数の人間が求めていること、それは……。

 

「なるほど。流石は冥界の番人と言ったところかしら……」

「……紫ね」

 

 幽々子の目の前の空間に亀裂が走り、広がる。無数の眼が存在する『スキマ』を通り抜けて現れたのは、いつもよりも真剣な表情を浮かべている八雲紫だった。

 

「時間があまり残されていませんわ。今回の異変は情報量が多すぎて、一つずつ解決している暇がありませんの」

「その口振りだと、神霊騒ぎだけが今回の異変ではない、ということになるのかしら?」

「……大当たりよ。というより、そもそも神霊騒ぎ自体は偶発的に起きたもの。悪意ある存在によって起きたものなのではなく……」

「幻想郷に住む人間の大多数が……後悔を残した者達が……救済を求めて彷徨った末路。そういったところかしら」

「流石ね。でも、その偶発的な出来事すら、今回の異変を企んだ人物は計画のうちに盛り込んでしまった。故に、今回の異変は規模が余計に大きくなってしまった、ということになりますわね」

 

 元々、神霊が現れたというだけではそこまで大きな被害は発生しない。幽霊絡みの異変というのは、須らく『人間に』対してはそこまで触れないからだ。だが、そんな現象が大きな危険をもたらしているのは──その神霊となって現れる者の中には、闘いを望んでいる者も存在しているからだ。

 

「混じり合ったことによる影響は、やはり幽霊絡みだと如実に現れる……紫、貴女はもう気付いているのではなくて? 今回の異変は、貴女のエゴが招き寄せた副産物であるということを」

「……そうね。本来ならばあり得ない人物達が次から次へと現れる。此度の異変は、坂田銀時が関わったことによって現れた人物によって引き起こされ、かつて戦った者が神霊となって現れている……」

 

 夜王鳳仙は本来幻想郷に現れるべき人物ではない。彼は吉原に居たはずの人物だ。そもそも住んでいた世界が違う。華陀も同様。彼女はこの世界の人物ではない。元いた世界で存在を認知されなくなったが為に流れ着いた外来人だが、本来坂田銀時が幻想郷との縁を結ばなければ辿り着くこともなく、その一生を独房で終えていた筈の人物だ。結果的に彼女は解き放たれてしまい、この世界を支配しようと躍起になっている。なんという巡り合わせだろうか。

 

「ですが、彼等なら解決へ導いてくれるのも確かですわ。坂田さん達を信じて、私は……」

「けれど、それには限度がある」

 

 紫は銀時達を信じている。これまで幾度となく異変を解決へと導いてくれた存在だ。今回だって戦いに身を投じて、解決に向けて勤しんでいることも知っている。

 だが、幽々子は信じる信じないを問題としていなかった。

 むしろ──。

 

「今一度私は貴女に問うわ。坂田銀時は、本当に幻想郷に平和をもたらす存在なの?」

「!?」

 

 幽々子はずっと疑問に思っていた。

 幻想郷は、今や坂田銀時達なしには回らない。主力となる妖怪達の多くは、銀時達に好意を寄せている。中には依存に近い感情を抱いている者だって存在しているのだ。そんな彼等が、ある日突然いなくなってしまったとしたら? そもそも、彼等の存在が、幻想郷にとって間接的にとはいえ、悪影響を及ぼしている可能性があるとしたら? 

 

「……私は、あの方達を信じております。きっとあの人達は、希望をもたらしてくれると……」

「……話が逸れてしまったわね。今は神霊について、この先へ行かなければならないところよ」

 

 幽々子はそれ以上問わなかった。紫の心は既に決まっている。そう確信したからだ。

 代わりに、今やるべきことをやる。

 

「恐らく、魔界から彼女達が呼び覚まされたことにより、その影響で目覚めた者達がいますわ。神霊は、その人物達の影響で生まれていると考えるのが妥当でしょう」

「なら、まずはその場所へ行って確かめるのが先かしらね」

「えぇ。そしてその上で……地上へ歓迎致しましょう」

 

 八雲紫と西行寺幽々子は、事態収拾の為に歩みを進める。

 

 

 

 

 

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第百九十四訓 事態を収める為には一つずつこなしていくと確実

 

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