わかさぎ姫と今泉影狼の襲撃を退けた銀時達は、そのままひとまず人里へと向かって行く。その道中でのことだった。
「ったく……道行く妖精や妖怪が好戦的になってる奴らばかりで困るったらありゃしねぇ……」
今回の事態に対して思わずボヤいてしまう銀時。普段ならばスルーされる筈の妖精達だが、ここぞとばかりに戦いを挑んでくるために、銀時達としてはそこで少しでも体力を割かなくてはならなかった。華陀を相手にとる前に、単純な物量に押されそうになる。
「本当厄介なことしてくれるわね……何処の誰がやったことなのかは知らないけれど」
霊夢もまた、今回の事態の面倒くささに悪態をつく。
「ギン兄様、疲れてない? 大丈夫?」
「お兄さんさっきから戦いっ放しだから……」
フランとこいしは、心配そうな眼差しで銀時を見つめる。現在この二人は、万が一の時の切り札として銀時と霊夢の判断で戦わせないようにしている。特にフランの力は強力なので、出来ることならば相手の親玉を倒すのに使って欲しいというところだ。こいしは、自身の能力を活用すれば相手の背後を取ることなど造作ではないだろう。
「こんくらい、歌舞伎町で毎日戦国時代送ることに比べりゃ大したことねぇよ」
「ある意味そっちの方が体力持っていかれますからね……」
これには同意するしかなかった新八。下手すればシリアスの時よりギャグシーンの方が色んな意味で激しい作品だからこそ言えることだろう。そもそも方向性が違うので並べてはいけないのかもしれないが。
「銀さん達は一体普段どんな生活送ってるんだぜ……」
ため息混じりに魔理沙が呟いた。
「ところで、さっきから空飛んでるあれは何アルか?」
神楽が上空を指差しながら、その場にいる全員に対して尋ねる。
上空を飛んでいる存在?
「なんだぁ? 神楽。鳥でも見つけたのか?」
「鳥だとしたらでっかいアル。あれはどう見ても人みたいアル!」
「人が空を飛んでいる……能力を持っているってことね」
霊夢が答えた。
幻想郷に住まう住人全員が能力を持っているわけではない。だが、持っている人物がいることも事実。もし神楽の言うことが合っていれば、現在空を飛んでいるのは能力を持っている誰かということになる。
それを確かめるべく一同は空を見上げると、
「あの影、だんだん近づいてきてねぇか……?」
銀時がつぶやいた。
影の数は二つ。それらの影が今、銀時達目掛けて突っ込んできているような……。
「明らかにこっち来てるぜ!?」
「ちょっとぉおおおおおおお!! これって敵襲ってことじゃないですか!?」
ツッコミ二人が騒ぎ出す。
彼らの反応はある意味正しい。こうして何者かが突撃してくるということは、少なくとも味方である可能性はそう多くはないだろう。それに、伝わってくる敵意を感じ取っている銀時は、最早戦闘は不可避であるということを察していた。
「どうやら奴さんのお出ましってところみてぇだな……」
銀時は木刀を構える。
突っ込んできた二つの影が銀時達の前に現れると、その勢いを殺して彼らの前に降り立った。
影の正体は二人の少女だった。
一人は、薄い青紫色でショートヘアーと二つ結びを組み合わせたような髪型をし、紫色の瞳、右側頭部に葉付きの白い花の髪飾りをつけた少女。服装は薄い黄褐色のワンピースを白の長袖シャツの上に重ね着をしている。彼女は琵琶を持っているが、それには鶴首がなく、代わりに金色金具のようなものが付けられており、手枷と鎖で繋がっている。その弦は四本。いずれも赤い光のようなもので出来ていた。
もう一人は、茶色のショートヘアーにカチューシャをつけた少女。瞳の色も茶色。薄紫色のラインが入った上着に、紫のリボンや模様の入った黒いスカート。両手の親指、人差し指、中指には琴爪が付けられている。スカートには七本の赤色の光で出来た弦が入っていた。
「私は九十九弁々。こっちは……」
「九十九八橋ー。わっほーい」
個性的すぎる二人が銀時達の前に現れる。そして彼女達は自らの目的を伝える。
「私達の目的は、道具による幻想郷の支配」
「人間の時代は終わったー。これからは道具の時代なんだー! 私達だって使われるだけの道具じゃないってところを、見せてやるぞー」
二人の少女による戦闘が、今まさに幕を開けようとしていた……。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第百九十六訓 道具にだって心はある