「道具による幻想郷の支配? 随分とまたご大層な夢抱いてるじゃねぇか」
木刀を構えながら銀時は言う。
「なるほど……貴女達は道具に魂が宿った存在ってところかしら」
霊夢が言った。
弁々と八橋の二人の目的は、道具による支配だと言っていた。それはつまり、自分達もまた道具であるということを示している。何らかの理由によって魂を宿した彼女達が、人間達に対する不満から動き始める。よくある話といえるのかもしれない。
「当たりよ。私達は、人間より道具の方が優れていることを示したいが為に、より強大な力を得られそうな場所まで向かおうとしていたところよ」
「だけどその前に脅威になりそうな人達を見つけたからー、倒さなくちゃって思ったわけなんだよねー」
彼女達は敵意を見せながらそう告げる。
「力を得られそうな場所? それって一体何処なんですか?」
新八は彼女達が呟いたことに対して追求する。彼らが認識している異変として、妖精や妖怪達の性格がひっくり返るというものがある。もしこの二人の言っていることが関係するのであれば、事態収拾の手掛かりになるのではないか。
「私達に勝てたら教えてやるよ」
「だからかかってこーい」
しかし二人はこれ以上語る気は無いという反応だった。聞き出すには戦う他ないという感じだった。
「銀時。ここは私と魔理沙に任せなさい。この二人が仕掛けようとしているのは弾幕ごっこ。空を飛ばれてしまっては銀時達に戦う手段はないわ」
「そうだぜ。だからここは私達に任せて欲しいぜ!」
霊夢と魔理沙の二人はやる気満々と言ったところだ。
そんな二人を見て、銀時は。
「……あぁ。任せたぜ、最強コンビ」
「こんな戦い、すぐに終わらせてやるわ」
霊夢と魔理沙が空中へ飛んだのを受けて、九十九姉妹の二人もまた空中へと舞う。ここに空中での弾幕ごっこが幕を開けようとしていた。銀時達としては、その様子をじっと眺めるのみ。そう考えていたその時だった。
「なるほど。お前さん方があの子が言っていた侍達ということで間違ってなさそうだ」
「!?」
声が聞こえた。
声色とは裏腹に、そこにはとてつもなく貫禄が宿っているような、そんな声だった。
「誰アルか!?」
神楽は声のした方向に対して威嚇射撃をする。だが、その声の主は動じることなく、むしろ。
「ほぅ。それは幻想郷の技術……かどうかは分からぬが、なかなかに妙な技術をしているなぁ。少なくとも、儂が外にいた時には見られなかった代物。大変興味深い」
感心するかのように言う。
「テメェは一体、何者だ?」
警戒心を解くことなく、銀時は尋ねた。
すると、彼らの前に現れたのは。
「儂か? 儂は二ツ岩マミゾウ。ぬえに呼ばれてこの地に降り立ったのだ」
マミゾウと名乗った女性は、つるの部分がない丸眼鏡を付けていた。そこから覗ける瞳の色は赤茶色。髪は肩までかからない程度に伸びている赤みがかった茶色。その頭の上には丸く枯れた緑色の葉が一枚乗せられている。その頭からは、狸を彷彿とさせるような耳が生えていた。それを裏付けるように、臙脂と黄土色の二色が交互に並んだ模様をした尻尾も生えている。
服装は、薄い桃色の肩掛けに、黄土色の無地のノースリーブと、臙脂色のスカート。
「何の目的で動いているのかはわからないけれど、もしぬえの邪魔をする為に動いているのだとすれば、儂が邪魔をするのは道理であると知れ、若造」
敵意をむき出しにしながら、マミゾウは銀時達に対してそう言い放ったのだった。
こうして、空中と地上。二つの場所で戦いの幕が上がるのだった。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第百九十七訓 戦いの幕開けはいつだって突然に