宴もたけなわ。
ある者は寝静まり、またある者は用事があるとその場を立ち去り、ある者は片付けに勤しんでいる。
そんな中、銀時は八雲紫と共に、博麗神社の鳥居の前に立っていた。
「貴方の世界から幻想郷へ行く時、必ずこの博麗神社に繋がるようにしておきましたわ。ちなみに、この世界に来るためのスキマにつきましては、居間の押入れと通じるようにしましたわ。これでお互いに、行きたい時に行けるようになりますわ」
「そうか……なんでも出来るなお前」
「なんでもは出来ませんわ。出来ることだけやってるだけ。貴方は幻想郷の恩人ですからね……これくらいさせていただきたいですわ」
その言葉に嘘偽りはないことを、声色で感じ取っていた。
本来、外来人を相手にここまですることなどあり得ない。幻想郷という場所の本質を考えたら、外の世界と繋げるなど言語道断。だからこそ、これは紫のエゴであった。
「まぁ……なんだ? 数日間だったけど、いい場所だったぜ、幻想郷。負けず劣らず騒がしい奴らばっかだけどよ、それもまた魅力の一つだろうよ」
「歌舞伎町も負けず劣らず騒がしい方達ばかりじゃないの。特に貴方の背負った方々は……いい人達ね」
「あいつらに会ったのか? ま、次は霊夢達にも会わせてやらねぇとな」
「是非ともそうして下さいな」
暫しの間無言の時間が流れる。
そうしているうちに、
「銀さん!」
「銀時!」
魔理沙と霊夢の二人も、鳥居の前までやってきた。
「まったく、挨拶もなしに出て行こうとするなんて。片付けの一つでも手伝って欲しかったわね」
「そうだぜ銀さん! 水臭いじゃねえか! 一緒に戦った仲だろう? またな、位言わせて欲しいぜ!」
霊夢は不満そうに、魔理沙は笑顔でそう告げる。
「悪かったな。邪魔すんのもどうかと思ってな」
「嘘おっしゃい。どうせ面倒だったからでしょう?」
「なぜ分かった」
「勘、よ」
「……へ、相変わらず勘のいい奴だな」
互いに不敵な笑みを浮かべる銀時と霊夢。何かしら通ずるものがあったのだろう。
「ったく、二人とも相変わらず仲良いなぁ。なんか羨ましいぜ?」
「なーに言ってんだよ。貴重なツッコミ役を重宝しないわけねぇだろ?」
「そうよ。アンタがツッコミしないで誰がツッコミするのよ?」
「流石にそれは暴挙すぎるぜ!?」
自分の扱いが適当なことに抗議する魔理沙。とはいえ、流石に本気で嫌がっているわけではない。ある意味これこそが、この三人の関係性であるのだろう。二人が適当なことを言うのに対して、魔理沙がツッコミを入れる。共に戦った者同士、通じ合うところがあるのだろう。
「本当に仲がよろしいようで。私も羨ましい限りですわ」
「テメェも素を晒せばいいんじゃねえの? なんつーか、正直胡散臭いだけがあんたじゃねえだろ?」
「…………言葉だけはありがたく受け取らせていただきますわね」
目を丸くしながらも、冷静に返す紫。自身の性格を、少しとはいえ見抜かれているとは考えていなかっただけ、坂田銀時という男に対して驚きと感心を抱いたのである。
「にしてもアンタ、フランにお別れ言わなくていいの? 他の奴らには言ってたみたいだけど」
ため息混じりに霊夢が尋ねる。
「寝ちまってるからな……流石に起こしてやるのも野暮だろう」
「フランにとっては、銀さんが勝手に帰っちまう方がよっぽど酷だと思うぜ……ってなわけで」
「え?」
「さっき起こしといたから、後は任せたぜ、銀さん」
「え、ちょ、何してんの? ねぇ魔理沙? せっかく人が気効かせて寝かせてやってたってのに、それを無駄にすんの?」
「黙って帰ろうとするアンタが悪いわよ……じゃあね、銀時。またここで会えるのを楽しみにしてるわ。魔理沙、紫、行くわよ」
「じゃあな、銀さん! 今度は弾幕ごっこやろうぜ!」
「うふふ。坂田さん、またこちらで会える日を楽しみにしておりますわね。最も、すぐそちらへ向かいそうな方も何人かいるでしょうけど」
霊夢、魔理沙、紫の三人は、温かい眼差しを向けながら挨拶を交わし、その場を後にする。三人が立ち去った直後、必死な形相を浮かべながら駆け足で近付いてくるフランの姿を確認することが出来た。
「ギン兄様!!」
とうとう追いついたフランは、力一杯銀時を抱きしめた。
「どうして私に黙って行こうとしたの!?」
「悪かったって……その、あんまりにもぐっすり寝てたからな……起こすのも悪いと思ったんだよ」
「うぅ……もしマリサが起こしに来てくれなかったら、私泣いてたよ? 怒ってたよ? ギン兄様が私の元から離れないように監禁するところだったよ?」
「こえぇよ!? なんかもう犯罪予告聞いてるような気持ちになるからやめろよ!?」
フランの目に光が宿ってないのを見て、本気でやりかねないと考える銀時。フランの場合、実現可能であることが余計に怖いところである。
「……ギン兄様。私、ギン兄様の所に遊びに行くからね。ギン兄様も、私のところに遊びに来てね。約束だよ?」
「……あぁ、約束だな」
不敵な笑みを浮かべながら、銀時はフランに言葉を返す。
「じゃあな」
「あ、待ってギン兄様!」
「ん? なん……」
その続きを、銀時は続けることが出来なかった。
言葉を発しようとした銀時の口を、フランの口が塞いだ。
驚きのあまり、言葉を発せない銀時。
フランはそっと離れて、それから銀時に向かってこう言った。
「大好きだよ、ギン兄様! 心の底から、愛してます」
※
「はい、逮捕。そのまま牢屋で話を聞きますぜ、旦那」
「なんでシーン変わると同時に手錠かけられてんの!?」
フランに口づけされた銀時は、気を持ち直してスキマへと入っていき、万事屋へと戻ったのだが、そこに待ち構えていたのは、ドSな表情を浮かべている沖田総悟だった。
「強制わいせつ罪って言葉、旦那なら知ってますよね? 本件はそれに値するんでさぁ」
「銀さん……これも銀さんのためなんです……罪を償ってください……っ」
「あたし達に心配かけさせた癖に、自分は幼女とキャッキャうふふしてたとか聞き捨てならないネ。しっかり反省するヨロシ」
「テメェらの仕業かこのヤロォオオオオオオオオオオオ!! 誤解だからな!? 帰ってきて早々獄中からスタートとかあんまりだからな!?」
悔しそうな表情を浮かべる新八と、クソ野郎を見るような眼差しを向ける神楽。
「ま、そういうわけだ。万事屋。これからはしっかり心入れ替えて、娑婆に出られるよう励みやがれ」
「土方テメェ!! ちったぁフォローしやがれ!!」
兎にも角にも、銀時は元の世界へ帰ることが出来た。誤解を解くのにしばらくの時間はかかることだろうが……。
この一件は、坂田銀時と幻想郷を繋いだ一件であり、始まりに過ぎない。
彼らが再会する日は、そう遠くはないだろう。というか、すぐ訪れるに違いない。
いずれにせよ、今回の異変ーー紅霧異変は幕を下すのだった。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第十八訓 別れは何かの始まり
紅霧異変篇、ついに終わりました!!!
やっと一つの話を完結までもっていけましたよ……この話やるだけでほぼ一ヶ月位かかってるんじゃないでしょうか?
なんかフランがめっちゃヒロインしてますが、これから増えますよきっと(白目
次回から数話は短編の話を何個かやって、それから春雪異変篇へと続く形となりますー。
これからも何卒よろしくお願いします!!