銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第二百三訓 集団で行動するとつい横道に逸れてしまうこともある

 銀時達と別れた霊夢達は、当初の予定通りに人里を目指していた。もし今回の異変を引き起こした大元の黒幕が抱いた野望が本当なのだとしたら、今まで溜め込んだ伏線が集中する場所は人里であるということになる。ある意味では決戦の場ともいえるだろう。

 

「いよいよ異変の終わりも見えてきたって感じだわ……ここまでくるのに随分と遠回りさせられた気分よ、まったく」

「そうか? 私としては退屈な日常ぶち壊して弾幕ごっこ出来るのは楽しいと思うぜ? 確かに平穏な毎日も大事だとは思うけれども」

「はちゃめちゃな日々を送るのは相当体力必要ですよ。僕達なんて毎日が戦国時代なんですからね」

「新八が軟弱だからそんな感じになるアル。鍛え方が違うから全然問題ないアル」

 

 四人で軽口を叩けるほどには精神的余裕が見受けられる。

 彼らが、銀時達のことを心配していないといえば嘘になる。しかし、それ以上に銀時達のことを信頼しているからこそ、余計な心配をすることなく自分達の為すべきことに集中することが出来る。それはとても良い信頼関係だった。

 

「それにしても、ここまでびっくりするほど静かですね……」

 

 新八が周囲を見渡しながら呟く。

 本来、人里へ向かう途中に誰かしらに遭遇することの方が多い。しかし、今彼らが歩いてきている道は、驚く程静か。敵が現れない分には良い知らせと捉えることも出来るが、まだ日が沈む時間というわけでもないのに人間が歩いている様子が見られないのもある意味不気味であった。

 

「……あまりいい予感はしないわね。私の第六感が、嵐の前の静けさであると告げているわ」

「相変わらず便利だぜ……霊夢の直感」

 

 主人公として博麗霊夢に備わっている特殊能力……勘! 彼女の直感は驚くべき程の正解率を誇るのだ。決して主人公補正などではない。決してである。

 

「なんか地の文が言い訳に走っている気がするんですけど!?」

 

 うるさいぞ、ムッツリ眼鏡。

 

「ムッツリ眼鏡ってなんダァアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

「煩いネ新八。眼鏡の日で精神穏やかでないアルか?」

「眼鏡の日って何!? 眼鏡のせいで心中穏やかでない日々を送らないといけないことがあるっていうのか!?」

「新八の本体は眼鏡アル。何かあるとすればまず眼鏡からじわじわ迫ってくるネ」

「いやそれどういう状況なのかさっぱりわからねぇんだけどォオオオオオオオオオオオオオ!?」

 

 一気に緊張感が抜けるようなやり取りだった。

 

「ったく……相変わらず騒がしいわね。新八ってば叫ぶだけのツッコミしか能がないのかしら?」

「なんか妙に辛辣っすね!? それともアンタ実はぐうたらな割にドSだとでも言うんですか!?」

「少なくともアンタと違ってドMではないわ」

「勝手に人を虐められて喜ぶ特殊趣向の持ち主にするなァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 少なくとも新八がSではないことはもはや自明の理であるだろう。

 

「今はSとかMとか言ってる時じゃないと思うぜ!?」

「何言ってるのよ魔理沙。これは今後の彼の人生を大きく左右する重要な事なのよ。相手になじられて悦ぶことが出来るかどうかで円満な人生送れるかはかなり違ってくるわ。そういうものなのよきっと。知らないけど」

「霊夢が今特に何も考えずに発言してたことだけは何となく伝わってきたぜ!?」

 

 ある意味安心な状態であることを示す指標にもなるのかもしれないが、その度に一人の尊い犠牲が生まれるというもの。さらば新八。ふぉーえばー。

 

「勝手に人の人生終わりにするなァアアアアアァアアアアア!! 新八君まだ生きてますからァアアアアアアアアア!!」

 

 色々とカオスな状況が展開していくのみであった。何処にいたとしても彼らは騒がしいものである。

 と、そんな風にわちゃわちゃとしていた時だった。

 

「こんな所に人間風情が何のようだ!」

 

 霊夢達にそう言った人物が現れる。

 その人物は前から現れ、霊夢達の行く手を遮るように立ち塞がった。

 裏地が青の赤マントを羽織り、首全体を隠すように覆っている。赤のショートカットに青いリボン、赤いミニスカートに黒い服。それらには赤い刺繍が施されていた。

 

「それはこっちのセリフよ。ここから先は人里なんだから、人間である私たちが足を踏み込んで当然でしょう? むしろ貴女の方こそこんな所で何やっているのか聞きたいのだけど」

「そうだぜ! 私達はこの先に用があって来てるんだ! 邪魔しないでほしいぜ!」

 

 霊夢と魔理沙は正論で返す。確かに、この先にあるのは人里だ。人間ならば入る分には全然構わないはず。むしろ邪魔している少女の方こそおかしいのだ。

 

「この子、人間じゃない……?」

 

 新八はその可能性に気付く。

 少女は開口一番に、霊夢達が人間であることを指摘した。普通ならそんな指摘をしない。ならばそれは、自分が人間でないことを表している証拠となる。

 それを裏付けるように、

 

「そうだよ。私は赤蛮奇。ろくろ首さ」

 

 少女はそう宣言した。

 

 

 

 

 

 

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