「で? ろくろ首である貴女が一体何の用かしら?」
相手が妖怪であることを察すると、霊夢は警戒しながら尋ねる。わざわざこの先に立ち入ることを禁じようとしたくらいだ。話し合いで解決出来るとは考え難い。そう判断したのだろう。
対する赤蛮奇は、敵意を剥き出しにしながら、挑発するように告げる。
「決まってるじゃない? ここで貴女達を食い止めようっていうのよ」
「へっ! 一人で私達全員を相手にするというのか? 笑わせるぜ!」
相手は妖怪といえどこちらは人間四人。数の上では霊夢達が有利であることは間違いない。うち二人は妖怪退治に関してはプロと言っても過言ではない。
そんな状況だというのに、赤蛮奇は笑っている。
「いいんだよ。少しでもこうして居られれば、私としては都合がいいんだからね!」
その言葉と共に、弾幕ごっこは唐突に幕を開けた。
赤蛮奇は、己の首を胴体から切り離し、それを霊夢達目掛けて投げ付ける。その道筋には、ロープ状の弾幕が張り巡らされて居た。
飛符『フライングヘッド』。
彼女の放つスペルカードである。
四人は各自散開する。
「うぉおおおおおおおおおおお!!」
新八は木刀にて迫りくる弾幕を斬り伏せていく。霊夢や魔理沙は弾幕で、神楽は番傘に仕込まれている銃弾で、相手より放たれた弾幕を相殺していた。
「流石にそう簡単には倒されてくれないか……なら!」
放った首が元に戻る。
その後、首を自分の近くに浮遊させた後で、
「飛頭『デュラハンナイト』」
彼女のスペルカードが炸裂した。
浮遊する首より、霊夢達めがけて怪光線が放たれる。更に、全方位に放たれるロープ弾。
「光線には光線だぜ! 恋符『マスタースパーク』!!」
魔理沙は怪光線に対して極太のレーザーを放つ。彼女の努力の結晶が、相手の怪光線をどんどん打ち消していく。
「フンヌゥオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
ロープ弾については、神楽が力任せに振り回している傘によって打ち消されていく。銃弾については次の戦いに向けて節約している。というより、ここまで迫りきているのだとすれば、遠距離攻撃より近距離攻撃で打ち消すのが正解だと考えたのだろう。
「甘いわね。私達をたかが人間と侮っては困るわ」
「まったくです。どれだけ多くの修羅場を乗り越えて来たと思ってるんですか」
「貴方達の場合は自分で招き寄せている部分もあるとは思うけどね」
「細かい話はいいっこ無しです。今はとにかく先を急いでいるのですから」
「それもそうね……今は目の前にいる敵を倒すことに集中しなければいけないわね」
霊夢は涼しい顔をしながら、新八は必死な形相で、襲い来る弾幕を処理していく。
「減らず口叩いている割には随分と余裕なさそうに見えるけど?」
赤蛮奇は、必死に避けている新八のことを見ながら煽る。しかし、新八はそんな煽りには乗らない。
「必死に戦って何が悪いんですか? ただ、確かに僕にはちょっとばっかし余裕がないかもしれませんから、アンタにトドメの一撃を入れるのは──」
「余裕がある私ということになるわね」
「っ!?」
霊夢が赤蛮奇の前に立ち塞がる。
そして、彼女は。
「霊符『夢想封印』!!」
霊夢によって放たれたありったけの弾幕に飲み込まれたのであった。
つまり、この戦いは四人の勝利によって終わったということを意味する。
「言ったわよね? たかが人間と侮ってもらっては困る、って」
「人間は人間なりに、強い奴だっているんだぜ!」
「私の場合は夜兎だけどナ」
「それは野暮ってやつだよ、神楽ちゃん」
兎にも角にも、この弾幕ごっこは四人の勝利に変わりないはず。だというのに、
「……ふふふ。うふふふはははははは!!」
赤蛮奇は笑っていた。まるでこうなることが最初から分かっていたかのように、笑ってみせていた。
「何がおかしいのよ?」
霊夢が尋ねる。
すると赤蛮奇は、
「勝負っていうのは、勝つ方法が様々用意されている。私の場合、『この状況』さえ作ることが出来れば勝ったと同然だったんだ……人里に行くお前達を足止め出来れば、それでよかったんだ。だからこの勝負……私の勝ち、だ」
そう告げると、今度こそその場に倒れた。
「……まさか霊夢さん。妖怪がもう……!!」
彼女の言葉の真意にいち早く気付いたのは新八だった。
そう、彼女は確かに告げていた。
足止め出来れば、それでよかった、と。
「……っ。急ぎましょう」
「あぁ……嫌な予感がするぜ」
「この先に何が待ち受けているアルか」
「わからない……だけど今は先を急ごう!」
四人は人里に向けて走り出す……。
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