銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第二百十五訓 終わった後は積もる話がある

 銀時と辰五郎は、その場で倒れ伏せたまま動けないでいた。彼らは相当に体力を消費している。動けないでいるのも当然と言えよう。

 

「攘夷戦争みてぇな戦い方したはいいものの、こんな呆気なくぶっ倒れちまうとはな……お互い、平和ボケして鈍っちまったのかもしれねぇな」

「出来ることなら、戦わずに済むことが一番だぜ、旦那。俺ァ、馬鹿共と馬鹿やって、毎日騒がしく過ごしてる方がよっぽど上等だと思うぜ」

「違いねぇ。戦乱の日々なんざ、互いに不幸になっちまうだけだからな。その点は重々承知してるぜ」

「へっ。戦闘なんざなくとも毎日戦国時代を送ってるってもんさ」

「なんだそりゃ。歌舞伎町も随分と騒がしい街になったもんだな」

「アンタらが護ったお陰さ。だからこそ、今の俺達が居る」

 

 意思は時代を越えて受け継がれる。己の愛する街を護ろうとする姿勢。そこで精一杯生きていく姿勢。それらはいつ何時も変わらない。ただ単に全力で生きる。それこそが大事なことなのだ。

 

「一つ、聞いてもいいか? 旦那」

「なんだ? 銀髪の兄ちゃん」

 

 銀時は辰五郎に対して、このようなことを尋ねる。

 

「アンタの身体、まだ消えねぇよな?」

 

 辰五郎は既に死んだ人間だ。彼の口からも発せられていたが、神霊である彼の身は一夜限りの幻なのだ。夜が明けてしまえば消え去ってしまう。それほどまでに脆い存在。

 

「あぁ。少なからず今はまだな。それがどうしたってんだ?」

 

 辰五郎も、自身の限界はまだ訪れていないことを伝える。

 すると銀時は、とある一つの提案をしたのだった。

 

「ちょっくら一杯、酒に付き合ってくれねぇか?」

 

 

 人里で暴れ回っていた妖怪達は一気に沈静化した。それは即ち、銀時達が無事に輝針城を抑えたということを意味する。

 

「終わった、んですよね……?」

 

 それがわかった新八は、思わず全身の力が抜けてその場に座り込んでいた。それはその場にいるほとんどの人達が同じような反応を見せる。無理もないだろう。人里での戦いは持久戦。銀時達がどうにかするまでは続くエンドレスゲームのような物だったのだから。

 

「ったく、あの天パー……終わらせるのに手間取ってるんじゃないわよ……」

 

 悪態をつきながらも、霊夢は賞賛していた。実際、今回の異変についてはどう転ぶか検討も付かなかった。そう考えてみれば、最小限の被害で食い止めることが出来たのは不幸中の幸いだったのかもしれない。

 

「異変解決、って感じだぜ。そうなりゃこの後は宴だぜ!」

「もう宴のことを考えているのですか!?」

 

 魔理沙の言葉に対して、妖夢がツッコミを入れていた。

 

「何を言ってるアルか。私達は何のために戦ったと思ってるネ」

「少なくとも宴の為ではないからね神楽ちゃん!?」

 

 ツッコミ眼鏡、本日も健在である。

 

「宴ということならば私達にも協力させて欲しい」

「人里をこうして護ってくれた御礼をしたいからな」

 

 慧音と妹紅の二人もまた、宴に対して乗り気だった。彼女達からしてみれば、霊夢達は人里の危機を救ってくれた者達。感謝してもし足りない位だった。

 

「やったネ! 美味しいご飯沢山食べられるアル!」

 

 これ程までに食欲が似合うヒロインがかつて存在しただろうか。色気より食い気。食べられればいいのかもしれない。

 

「…………」

 

 そんなやりとりを、遠くから眺めている一つの影があった。彼らのやりとりを微笑ましそうに眺め、そのままその場を立ち去ろうとして。

 

「どこに行こうというのかしら? 突然現れて、去り際まで唐突なんて、らしくないじゃないの……」

 

 その行手を、西行寺幽々子が阻む。彼女はにっこりと笑顔を浮かべながら、

 

「せっかくですし、ゆっくりお話ししましょう? ……妖忌」

「……幽々子様」

 

 老人──魂魄妖忌は、その言葉に応じざるを得なかった。

 

 

 

 

 

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