銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第二百二十三訓 不安は誰もが抱く事だから負い目に思わなくてもいい

「スタンバッていたのに出番がなかった……!」

 

 宴が盛り上がっている中、一人悲しみに明け暮れている男がいた。

 桂小太郎……シリアスな長編となると、わりと置いてけぼりをくらってしまっている悲しき男である。隣ではエリザベスが、『俺達にも出番をよこせ! だから投票も全然入ってこないのだ!』と、抗議デモをしているような感じを出している。ご丁寧に頭に鉢巻きを巻いている辺り、ある意味本気(?)なのだろう。

 

「いつかまた出番ありますって……!」

 

 そんな彼を宥めているのは意外にも聖白蓮だった。以前起きた異変より、白蓮は小太郎のことが少し気になっている。そんな彼のそばに居て支えになりたいと思ったのかもしれない。彼が今にも挫けそうな理由はとてつもなくバカバカしいものであるのだが。それこそ銀時辺りが聞いたら鼻で笑うか本気でぶん殴るレベル。

 

「それに、ある意味小太郎さんの出番がないということは、それだけ他の方々が頑張ってくださり、平和になったということですから……貴方が出なくてはどうしようもなくなった時には、きっと出番がありますよ」

 

 もちろんそんな機会などない方がいい。

 白蓮は心の中でそう呟きつつ、小太郎に向けてそう言った。

 事実、彼が居なければどうにもならなかったであろう事件も数多く存在する。たまたまその場に居合わせなかっただけかもしれないが、何者かの存在というのはそれだけ影響力も大きいのかもしれない。

 

「……流石は白蓮殿。そのような視点は流石に持ち合わせていなかった」

「私なんてまだまだです。仏門に入った身でありながら、人として誰かを心配してしまうようなエコ贔屓をしてしまったのですから」

「其方は宗教家である前に一人の存在。誰かのことを想い行動するのは当然のことであろう? そもそも其方の原動力は他人の為にではなかったか?」

「……お見通しなのですね」

「俺も、其方のような人間を身近に見てきているからな。本人は頑なに認めぬだろうがな」

 

 思い浮かべるのはとある一人の男。その男は、自らを顧みず他人を護ろうとする侍。方法や手段は違えど、誰かの為に事を為そうとする点において白蓮と重なる部分がある。そんな事を考えてしまう小太郎。

 

「……私は時々思います。あの方も小太郎さんも、今の幻想郷には欠かせない存在です」

「それは白蓮殿とて同じ事……」

「いえ、私のそれと、あなた方では本質が違います」

「本質……?」

 

 小太郎の疑問に答えるように、白蓮は語る。

 

「私の場合、幻想郷に住う大多数を救う役割があります。ですが貴方達は、幻想郷そのものを救ってしまうような存在です。幻想郷の外に居ながら、ここと干渉出来て、その上護ることが出来る……本来、このような存在というのは居なかった。ですが貴方達は……お二人に限らず他の方々も、今となっては欠かせない存在です。宴の準備でお会いした、たまさんやキャサリンさん、坂田さんと一緒にいる志村さんに神楽さん……その誰もが、今の幻想郷を為す上で大切な存在です」

 

 こうして宴が開けるのも、銀時達が関わったおかげ。そう彼女は考えていた。

 だからこそ、誰もが一度は感じ取る不安がさらに大きくなっているのだ。

 

「小太郎さん……私は貴方を信じています。その上で一つ、お願いがあります」

「お願い?」

「はい……」

 

 白蓮は一拍おく。

 

「この後、幻想郷によくないことが起こる気がするのです。今回のように、私の預かり知らぬところで幻想郷が崩壊の危機を招いたように……何か良くないことが起こる予感がします。結果的に今回は、聖人達が復活したことにより事態は収まる方向へと動きましたが、誰かの行動がこのように影響を与えることなんてザラじゃないと思うのです」

 

 白蓮は聖人の復活を抑える為に封印した。それが結果的に仇となり、神霊騒動を招いてしまった。だが、それを誰が予想出来ただろうか。この幻想郷は、平和を保つことができているのと同時に、良くないことも招き寄せてしまっている。いつ何処で何が起きてもおかしくないような不安定さも抱えてしまっている。

 その上で、絶対に崩してはいけないと考えている存在──一人の男について、白蓮は小太郎に託すのだった。

 

「どうかあの方を……坂田銀時さんをお護り下さい。彼は、幻想郷を護る為ならどんなこともしてしまうでしょうから……それがたとえ、結果的に幻想郷に悪影響を与えるとしても……彼はその事を知らないでしょうから……」

 

 

 

 

 

 

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第二百二十三訓 不安は誰もが抱く事だから負い目に思わなくてもいい

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