「なに? お前らこっちにも侵略する気なの?」
目を丸くしながら銀時が尋ねる。
対するレミリアは、
「これからちょくちょくこっちに来ることになるのに、いくらなんでも仮住まいの一つもなければどうしようもないと思ってな。そこで私は、紅魔館2ndGをこの地に建てようと考えたわけだ」
「建てるのは勝手ですけど、そのネーミングセンスをどうにかしてもらえないですか!?」
まるで『一狩りいこうぜ!』って単語が浮かんできそうなフレーズであった。というかネーミングセンスが崩壊していた。
「私は止めたんだけど、レミィがどうしてもと譲らなかったのよ……決めたら意見を曲げないから、こればかりは仕方ないわ……もっとあったと思うのよ……紅魔館復活のスカーレットとか」
「ロボットアニメからのパクリじゃねえか!! つかほぼ原型留めてねぇから一瞬何のことか分からなかったわ!!」
まともだと思っていたパチュリーからの一言に愕然し、思わずいつも以上にツッコミに力が入る新八。それにしても、よくギアスネタが通用したものだ。
「いーや、ここはネオ紅魔館ホワイトドラゴンとかがいいネ」
「乗っかんなくていいから!! 神楽ちゃんまでややこしくしないで!!」
今のところ、およそ別荘につける名前とはかけ離れている様子だった。
「ってかこっち来て何するつもりなんだお前ら?」
「だって、ギン兄様に会いに会うのに、いちいちレイムのところ行かなきゃいけないのって大変なんだもん….…それで、私がお姉様に頼んだの」
「シスコン拗らせた結果かよ!!」
堪らず銀時はツッコミを入れる。
そう、今回紅魔館の別荘を建てようとレミリアが画策したのは、フランに懇願されたからだ。ものすごい端的に言ってしまえば、妹のお願いに我慢出来なくなった姉の大規模なプレゼント、とでも言うべきだろうか。
「可愛いフランのためだ。私だって一肌脱ぐさ」
「脱いで誇れる程の物もねぇくせにか?」
「表出ろや。四肢捥いでやろうか?」
「オネエサマ? ギン兄様ヲキズツケタラ、ワカッテルヨネ?」
「あっはっは! そんなことするはずないじゃないか!」
「もうとんでもなく早い心変わりにも驚きませんね……」
フランの目に光が宿らなくなり、レミリアは即座に意見を変える。そんな様子を見て、新八はポツリとこぼしていた。
とはいえ、レミリアも悔しいことには変わりないようで、力強く拳を握りしめていた。それこそ、ミシミシと音が鳴る程に。
「名前はともかくとして、つまり今日は、別荘建てる為の宛てがあるかどうかってのを探しにきたってのもあるのか?」
「察しが良くて助かるわ。その通りよ」
銀時の予想は当たっていたようで、レミリアは満足そうに頷く。
「……んー、まぁ、宛てがないわけじゃねえが、多分お前ら驚くと思うぞ? とりあえずちょっくら電話してくるわ……フラン、わりぃけど一度降りてくれ」
「えー……分かった」
渋々という形でフランは銀時の膝の上から降りる。銀時は電話のところまで歩き、その間フランは銀時の手をしっかり握っていた。
「本当、フランさんは銀さんから離れようとしないですね……」
「銀時様のことが大好きですからね。少なくとも私達紅魔館の住人は、あの方に感謝しておりますし」
「感謝、ですか?」
気になった新八は、咲夜に尋ねる。
それに応じて、咲夜はあの晩に起きた出来事を話す。
こうして幻想郷と万事屋が繋がるきっかけとなった、あの事件のことを。
「……一度八雲さんから話を聞いていたとはいえ、改めて聞くと、本当にとてつもなく壮大な話ですね」
話のスケールの大きさはもちろんのこと、銀時の活躍を聞いて、感心と同時に心配の念すら込み上げてくる。自分達の与り知らぬところで、銀時が命を張っていたのだ。
「銀ちゃん壮絶な一日を送っていたネ……流石にびっくりアル」
「えぇ。ですから、妹様がああして銀時様に対して素直に好意を抱いていることには、むしろ喜びすら感じているのですよ。妹様を狂気から救ってくださったあの方だからこそ、私達は安心してるんです」
恐らくそれは本心からの言葉だろう。その証拠に、咲夜の他にも、パチュリーもレミリアも頷いていた。とは言っても、レミリアは何処か悔しそうにも見えたが(シスコン故だろう)。
そんな湿っぽい空気とは裏腹に、銀時はある男に電話をかける。
「もしもし?」
『おおー! 金時か? おまんから電話さ来るとは随分珍しいこともあるもんじゃなぁ! ナハハハハ!』
「いい加減名前覚えろや、俺は銀時だ」
坂本辰馬。
かつて攘夷戦争を共に闘ってきた仲間であり、今は宇宙を駆ける貿易商を営んでいる。
なぜ彼に依頼したのかと言うと、
「ちょっと前にお前が送ってきたデリバリー大工あるだろ? あれ、またちょっと依頼してぇんだわ」
『あぁー! 随分前の話じゃけん。そういうことなら承った! 手配しちゃるから、詳しい話はそっちでしといてくれ、金時』
「だから銀時だっつってんだろ!! いつになったら名前正しく言うんだよ!! っておいごら!! 勝手に切るんじゃねぇ!!」
覚えているだろうか。
原作でも本当に出番が少ないわりには、万事屋を吹き飛ばす程の腕を持つデリバリー大工の存在を。
「今の電話、ギン兄様の友達?」
「まぁな……話きかねぇし名前覚えようともしねぇやつだけどな」
なんて会話をしていると、扉の前に『ドスン』という音が鳴り響いた。
「え、もう来たの? まじで?」
電話してからまだ数秒もかかっていないというのに、外には何かがきた気配。
「え、銀さん。もしかして……」
「あぁ……今は背に腹変えられねぇからな……」
恐る恐る、扉を開ける。
するとそこには、
「ウンケイ」
「カイケイ」
「「依頼があれば星を駆け巡るデリバリー大工、お待ちしやした」」
箱詰めにされた小さな親父二人が佇んでいた。
「……え、まさかと思うけど、ギントキ。こいつらが、宛て?」
隣に来てウンケイ・カイケイを見たレミリアが、嫌そうな表情浮かべながらそう尋ねる。
「腕は確かだからな……あとはそいつらと話つけておいてくれ……」
「え、えぇ……」
そうして、レミリア達は小さな大工親父達と打ち合わせすることになる。
その腕は本当に確かで、数日後には歌舞伎町に、一面紅に染まった屋敷が建てられていたそうな……。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第二十一訓 人は見た目によらないけれど見た目で印象は大体決まる
とりあえず短編一つ終了です。
オチはいつも以上に弱かったですが……。
ちなみに、ウンケイ・カイケイは銀魂原作で言うところのたしか七巻辺りに登場するキャラクターです。
大工キャラを探してた時にたまたま目に付いたので、出してみました。
自分でも「え、なんでこいつら???」って思いましたが(白目