銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第二百二十八訓 大切なことは頭に残っている物だ

 江戸の街を歩いている一人の男がいた。男は片手にアンパンの詰まった袋を持ち、これから張り込みの任務につくところだ。その男の名前は……ジミー。

 

「いやちげぇよ! 山崎退だよ! 久々すぎて名前すら覚えてもらえてねぇのかよ!」

 

 男の名前は山崎退。

 彼独自のルールとして、張り込みの任務につく際にはアンパンと牛乳しか摂取しないという謎すぎる制約をつけている。そんな変なこだわりを持つ、キャラ付けに必死な男である。ちなみに、今回の任務については内容と全く関係無いため、特に気にする必要はない。

 

「じゃあ俺なんのために登場したの!?」

 

 空中に虚しく響き渡る一人の男の嘆きの声。そんな時、男はふと自分の頭上を見上げたことにより、とある事実を確認した。

 

「……なんだ? この数字」

 

 頭の上に、『1』と書かれているのだ。

 

「え? 俺何かでいつの間に一位を取ってたってこと? いやぁそうだとしたらさすが俺って感じだなぁ……他の人達を差し置いて俺がトップだなんてなんか照れ臭いなぁ」

 

 当然、彼が何かで一位を取ったわけではないので、その推論は大きく外れることになる。が、今回の話において重要な物となるのは事実だ。

 

「その票……この私に寄越しなさい!!」

「なっ!?」

 

 突然背後から聞こえてきた謎の声。驚いた山崎が後ろを振り向こうとして、

 

「んぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 振り向く間も無く、頭の上に表示されていた『1』をもぎ取られた。瞬間、彼の頭からは尋常じゃない程の量の鮮血が迸る。さながらそれは血の噴水。彼の血によって、小さなアーチが描かれていた。

 

「俺の出番……ここでおわり、かよ……」

 

 血を流しすぎた山崎は当然のように意識を失う。だがこれは、今回の喜劇の始まりに過ぎなかった。

 

 今ここに、幻想郷と歌舞伎町を巻き込んだ、最大の喜劇の幕が開くのだった。

 

 

「はい、つーわけで投票の開票は全て終わったわけだが、まっ、なんつーの? 主役だから? いやぁ参っちゃうねぇどうも」

「いつまでアンタはトップ噛み締めてんだよ!! もう発表終わったんだからそろそろ普通のモードに戻れよ!!」

 

 博麗神社では、先ほどまで行われていた人気キャラ投票発表会の後片付けをしていた。もちろん、銀時が仕込んでいたネタの部分は、後から博麗神社に来た神楽がビリビリに引き裂いている。八つ当たりと言わんばかりに無残なほどボロボロに。

 

「ま、こうして票集まっただけでも上々だな。前よりも少なくとも多少は知名度上がった証拠ってこったろぉ」

「実質四票だった時と比べれば、今回は相当数増えましたからねぇ。投票に協力してくださった人数も増えてましたから、ありがたいことですよ」

「本当、一回目を無かったことにして今回が初めての投票でーす、なんてしたかった位らしいな。まぁ、あんな目立たない方法かつ、宣伝もしなきゃそりゃ無理もねぇって話だけどよ」

「けど、前の失敗があったからこそ、今回につながったとも言えるんじゃないですか?」

「確かにな。実際前と同じようにしてたら、投票数0とかもあり得たかもしれねぇしな」

 

 そんな雑談を交わしている二人。

 

「話してないであんた達も協力しなさいよ。フランやこいし、神楽だって片付けてくれてるわよ」

 

 博麗神社に施された装飾の数々を外しながら、霊夢は銀時と新八に対してそう指摘する。

 

「いや、申し訳ねぇけど神楽の場合ただ飾りぶっ壊してるだけだよな? 破壊衝動止められないだけだよな?」

「ちなみに魔理沙はサングラスと眼鏡に負けたことを根に持ってるわよ……思い出しただけで苛ついてきたから眼鏡よこしなさい」

「あんたもまだ引きずってるじゃないですか!!」

 

 魔理沙以上に霊夢の方が引きずってそうな予感すらさせる。

 だが、ここで彼らはあることに気付いた。

 

「……ん? 新八、なによその数字」

「へ?」

 

 霊夢に指摘され、新八は頭上を確認する。

 するとそこには……『5』という数字が浮かんでいた。更に、新八の眼鏡の上には『6』という数字が浮かんでいる。

 

「それを言うなら霊夢、テメェの頭にも『3』ってあるぜ」

「アンタには『13』ってあるわね…………これはまさか」

 

 その共通点に、霊夢は気付く。

 

「これ……さっきの投票で得た票の数じゃない」

 

 そしてそれは、皮肉にも今回の喜劇のアイテムの発見となったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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