銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第二百三十一訓 敵は何処から来るか分からないから戸締りには十分気を付けろ

 現れた文の頭の上には『2』という数字が浮かんでいる。彼女が駆け寄ってくるたびに、数字も一緒についてくる様子はなかなかにシュールな光景だろう。とはいえ、今回の彼女は割とまともな方の文であり、その様子こそ、彼女がもたらす情報が大事なものなのだろうと思わせるに値していた。

 

「そんなに慌ててどうしたのよ文。何か特ダネでも見つけたの?」

「ある意味特ダネかもしれませんが、最早事件なんですよ霊夢さん!」

 

 霊夢の問いかけに対しても、彼女は少し冷静さを欠いているような感じで答える。よほど緊急な事態が起こったという証拠なのだろう。

 

「……なんか、嫌な予感するんですけど、銀さん」

「奇遇だなぁ、新八。俺もとてつもなく嫌な予感がする」

 

 新八と銀時は、今回の状況を鑑みてとある答えに至っている様子。そして、彼らの答えを裏付けるかのように、射命丸文は次の言葉を述べた。

 

「チルノさんや美鈴さんが、頭の上の数字をもぎ取られて倒れたんですよ!!」

「「やっぱりそういう展開かよォオオオオオオオオオオオオオ!!」」

 

 忘れてはならない。

 これは人気投票篇であるということを。

 それはつまり、順位を操作しようと票を奪い去ろうとする輩が現れている、ということになる……。

 

 

 紅魔館2ndGでは、珍しくバイトが長続きしている長谷川ことマダオが、紅魔館から出張してきているパチュリーや小悪魔と共に、図書館の蔵書整理をしていた。

 

「いや、長谷川ことマダオっておかしくね!? それじゃあマダオが本名みたいになるじゃねえか!」

「いきなり叫んでどうしたのよ。手が止まってるわ」

 

 珍しく自分でも蔵書の整理をしているパチュリー。少し離れたところでは、小悪魔がふよふよと浮きながら本を入れ替えていた。彼女達の頭の上にも当然数字が浮かんでいる。しっかりと、『1』という数字が。

 一方の長谷川は、人間の方に『1』と浮かんでおり、本体の方にはしっかりと『4』の数字が浮かんでいた。

 

「ハセガワだけやけにややこしい感じになってるわね、その数字」

「たしかお嬢様が、人気投票がどうのこうのって話をしてましたから……この数字って、その時にもらった票じゃないですか?」

「だとしたら俺、サングラスの方が票多いってこと!? 何? 俺いつの間にサングラスが本体になっちまってたのか!?」

「知らないわよ……それを言うなら私も小悪魔も一票しかもらってないの。文句を言わないでほしいわ」

「いや俺本人はあなた達と変わらないですからね!?」

 

 哀れ長谷川。しかし票というのはいつだって正直であり、読者の方々もどちらに入れたら良いものか分かっているものである。今回はその結果がうまく作用しただけだ。

 

「後でどんな感じになったのかギントキに聞いてみようかしら……」

 

 ちなみに、紅魔館2ndGにいるこの三人は、人気投票の順位をまだ聞いていない。パチュリーに至っては、その存在すら頭から抜け落ちていたレベルだ。なので、紅魔館の住人でそういった類のことを知ってそうな人と言うと限られる。それなら主人公に聞いた方が早いだろう。最もその主人公は、今回の投票で一位を取っており踏ん反り返っているが。

 

「その必要はないわ。どの道今集まっている票は、私達の手によって回収されるのだから」

「「「!?」」」

 

 突然聞こえてきた女の声。

 

「え? 誰? 今の誰!?」

 

 長谷川は辺りを見渡して混乱している。

 パチュリーと小悪魔の二人は、背中合わせになって周囲を警戒する。剣での戦いならともかく、相手が弾幕を放つとなれば、長谷川は戦力外。それならばこの二人が動いた方が確率が高くなる。なんとも情けない図ではあるが、合理的ではある。

 

「人の気配、複数ありますね」

「声は一つ……気配は三つ。まだ二人隠れてるわね」

「どうしますか?」

「とりあえずは警戒。様子見の段階よ」

「かしこまりました」

 

 侵入者ということもあり、二人は緊張を崩すことはない。

 そして、その侵入者は姿を現すと同時に、こう叫んだ。

 

「「「おどれの票を頂くんじャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」」

 

 

 

 

 

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