銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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本来は異変の際に起きる話なのですが、話の流れ的にはこっちの方が自然かと思いまして、ポロリ篇に収録させていただきました。
マヨイガ篇スタートですー。


第ニ十二訓 初対面の人間にも臆することなく堂々としていれば大抵のことは上手くい

 迷い家。

 読み方で言えば『マヨイガ』と呼ばれるその場所は、訪れた者に富を与える家である。訪れた者はその家の中にある備品を持ち出しても良いことになっており、その物によって、富の内容も若干変化する。古くは遠野物語から伝わる伝承であり、その在処は不明とされている。

 さて、何故マヨイガに関する解説が突如として始まったのかと言うと、

 

「だぁああああああああ!! あの化け猫めェエエエエエエ!! 一体どこ行きやがっタァアアアアアアアアアア!!」

 

 本日、万事屋のメンバーがマヨイガを彷徨っているからである。

 

 ※

 

 事の発端は、ある人物からの依頼だった。

 紅魔館メンバーが歌舞伎町にて別荘建設計画を推進している頃、新たなる来訪者が万事屋に来ていた。その人物は、

 

「橙が引きこもった……」

 

 八雲紫の式神こと、八雲藍である。

 

「来て早々どうした。ここはお悩み相談所じゃねえんだよ。愚痴聞かせる為だけにわざわざスキマ通ってくるんじゃねえよ」

「違う。不本意ながら今日は依頼しに来たんだ。報酬もそれなりにやる……というか、これから行く場所のものなら、好きなものを持って行って貰ってかまわない」

「どういうことですか?」

 

 来客用のお茶を出しながら、新八が尋ねる。

 そこで藍が切り出した話は、マヨイガに関する伝説だった。

 

「なるほど……で、そのマヨイガとやらにテメェの式神が引きこもったってわけか。原因はなんなんだ?」

「この前の宴……橙だけ酒飲めなかっただろう?」

「あぁ……紫もテメェも、橙にはまだはえぇって飲ませなかったな」

「あの子、マタタビとかですぐ発情モードに突入する程、何かからの影響にはめっぽう弱いんだ。だからあの時、貴様がいる前で酒を飲もうものなら……どうなるかわからなかった」

「なぁ、ナチュラルに俺を変態に仕立て上げようと画策すんのやめねぇ? それ俺関係ないよね? つか新八と神楽までなんで引いてんだよコノヤロウ。銀さん関係ねぇぞ。完全にこの過保護女の妄想だぞ?」

 

 実際、藍の過保護っぷりはかなり強い。それほど橙のことを大切に想っているのは見て分かるのだが、時に親切心は喧嘩の火種となることもある。

 

「ま、つまりこの前の宴でガキ扱いしたことに耐えきれなくなった橙が、引きこもって出てこなくなったのを説得して欲しいってところか?」

「察しが良くて助かる……居場所はわかってるんだが、私じゃ話もしてくれなくてな……その居場所がマヨイガってところなんだ」

「マヨイガって何ネ? マヨの匂いがするアルか?」

「マヨ香じゃねえよ。マヨイガ……たしか、訪れた者に富を与えるとか言われるやつか?」

「歴史も達者なのだな。どちらかというと伝承の類ではあるが、見た目の割に勉学も達者とは……良き師に巡り会えたのか」

「……まぁ、そんなところだ」

 

 肝心なところはぼかす銀時。というより、これ以上の説明をすることが出来ずにいた。

 

「というか、そんなものが実在してたのですね……」

「あぁ。いつしか忘れ去られ、伝承が幻想郷に伝わってきたんだ。今はそこを橙が縄張りとして使っている。元を正せばあの子は猫。山奥で過ごす事の方が多いんだ」

「ん? テメェの式神のくせに、一緒に行動はしてないのか?」

「私はそもそも紫様の式神で、基本的には紫様と行動を共にする事の方が多い。本当ならばいつもずっと一緒にいたいのだが、なかなかそうもいかなくて……」

 

 藍が本気で落ち込んでいる。

 橙が藍の式神であるのと同時に、藍は紫の式神なのだ。つまり紫から見れば、橙は式神の式神という、なんとも微妙な立ち位置となる。別にそこまで彼女達は気にしているわけではないが、対外的にも微妙な所であるのと同時に、そもそも橙本人が結構自由気ままに行動することが多い。

 だからこそ、敢えて住居を一緒にするという強制をしてはいないのだ。

 

「まぁ、退っ引きならねぇ事情があるのは何となくわかった。要するに俺達は、マヨイガ行って、テメェのところの式神引き連れりゃいいわけだな? ついでにそこにあるもん持って行ってかまわねぇ、と」

「まとめると大体そんな感じだ。頼めるか……?」

 

 少し不安げに藍が尋ねる。

 銀時は、そんな彼女に対してこう告げる。

 

「依頼とあっちゃ引き受ける。ちょうどこいつらに幻想郷を案内してぇところだったしな」

 

 ※

 

 定晴をお妙に託し(そうしなくても勝手に過ごすことは可能ではありそうだが)、銀時達はスキマを通り、幻想郷へと向かう。

 当然と言えばそれまでなのだが、通った先にあったのは、神社の鳥居だった。

 

「うわぁ……ここは神社ですか?」

「たしか、八雲が言うには博麗神社っつってたな……」

「あら、あんた達」

 

 辺りを見渡す新八達を見て、神社の境内より、博麗霊夢が顔を出す。寝起きだったのか、欠伸をしながらの登場だ。

 

「おぉ、銀ちゃん。新手の露出狂が出たアル。脇思いっきり出して恥ずかしくないアルか?」

「誰が露出狂よ。あんた達の隣にいる天然パーマの方がよほど変態じゃない」

「「確かに」」

「満場一致で納得すんなよテメェら。終いにゃ銀さん泣くぞコノヤロウ」

 

 霊夢の言葉に、新八と神楽は間髪入れずに同意していた。それだけ銀時の変態度は認められている証拠であろう。

 その事実に少し涙をこぼしそうになる銀時だったが、ぐっとこらえて、双方の紹介を簡単に済ませた。

 

「そう。神楽に新八……いえ、眼鏡ね」

「なんで今名前ちゃんと言った後に敢えて眼鏡に言い換えたんすか? 僕に何か恨みでもあるんですか?」

「いえ、本体なのにちゃんと呼んであげないと失礼だと思って」

「本体じゃねぇよ!! 新八さん目の前にちゃんといますよ!!」

「あらやだ。この眼鏡かけ機ってば自立駆動型なのね」

「眼鏡かけ機言われる筋合いねぇわ!!」

「……銀時、この人、魔理沙以上にツッコミ上手いわね」

「そりゃ年季と場数が違うからな。今度魔理沙連れて来いよ。二人でどんだけツッコミ倒すのか見ものじゃねえか?」

「それもそうね。楽しめそうね……」

「くっそくだらねぇこと企んでるんじゃねえよ!! まりさって人も可哀想だろうが!!」

 

 まだ見ぬ魔理沙に対して同情の念すら抱いてしまう新八なのであった。

 

「しっかし、レミリア達がそっちに別荘建てるって言って、今度はあんた達がこっち来るとはね……あ、フランにも伝えた方がいいかしら?」

「いや、今日のところは依頼で来たからな。八雲んところの九尾狐から、化け猫連れて来いって依頼だ」

「橙を?」

「まぁな。この前の宴が原因でマヨイガに絶賛引きこもり中だそうだ」

「なるほどね……それで今回は三人がかりってわけね。ちょうど私も暇だったし、手伝うわ」

「まじか。自動追尾型勘ナビゲートが付いてきてくれるのは大いに助かる」

「アンタ私のことなんだと思ってんのよ」

 

 呆れながらそう言う霊夢。

 そんな二人の会話を聞いて、新八と神楽はこっそりと話す。

 

「神楽ちゃん、なんだかあの二人仲良くない?」

「たしかに……つっきーと話してる時となんだか似てるネ。いつのまに銀ちゃんこんなに女誑しになったアルか」

「いや、なんというか、それもあるんだけど……あの二人、妙に似てるというか……」

「たしかに……ふだんかなりなまけてそうな所とか、ドSな所とか、怠けてそうな所とか、駄目人間そうな所とかそっくりネ」

「「聞こえてんぞテメェら」」

 

 青筋立てた二人による雷が落とされるのに、そう時間はかからなかった。

 

 ※

 

「お? 霊夢に銀さんじゃねえか! そっちの二人は、銀さんが言ってた万事屋の人たちか? 初めましてだぜ! 私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ!」

 

 道中、箒に跨って空を飛んでいた魔理沙が、銀時達を見つけて降りてきた。彼女を見つけた時の反応が、

 

「あら。自分から来てくれたわね」

 

 と霊夢。

 

「お? これでツッコミ対決が実現するな」

 

 と銀時。

 

「銀ちゃん! 新八! 魔女宅ネ! 飛ぶジ●リネ!」

 

 と神楽。

 

「あっ……魔理沙さんでしたか……その……頑張りましょうね」

 

 と新八。

 

「なんか色々不穏なのがすげぇ気になるし、なにを頑張ればいいのか分からないぜ。そして私は魔女じゃなくて魔法使いだぜ!! 銀さんと同じこと言ってやがるぜ!!」

「どう見ても姿格好は魔女アル。魔女っ子ネ。媚び売ってそうアル」

「初対面の人間に随分とどぎついこと言うね神楽ちゃん!?」

「だいたい私は媚び売ってねぇぜ!!」

 

 新八と魔理沙の二人掛かりでツッコミを入れる。

 そんな様子を見ていた銀時と霊夢は、

 

「やっぱツッコミが二人もいると会話の流れがずいぶんちげぇな」

「そうね。新八はスピードがあるわね。けどツッコミが長くなるのがたまに傷ね」

「対する魔理沙はスムーズにいくな。新八に遅れをとるのが少し難ありって所だが」

「けど、見込みは大いにあるわね。こうなったらとことんツッコミ役として鍛え上げなきゃいけないわ」

「まったくだ」

「アンタらどうでもいい計画立てて遊んでんじゃねぇよ!! ツッコミ役鍛えるとかいいから、テメェらの頭鍛えてこい!!」

「この前から私は別にツッコミ役鍛えたいとか思ってないって言ってるはずだぜ!?」

「「おおー、ダブルツッコミきたこれー」」

「「棒読みで言うな!!」」

 

 感情のこもってない声で拍手をする銀時と霊夢に、とうとう新八と魔理沙のツッコミがシンクロする。

 

「お、今のはかなり良かったな。また一歩踏み出せたなテメェら」

「その調子よ。どんどん階段登っていきなさい」

「何様だよテメェら!! むしろテメェら駄目人間として階段駆け下りてるだろ!? テメェらが人間の階段登ってこいよ!?」

「そんな道踏み出したくもないんだぜ……ってか、銀さん達は結局何しに来てるんだ?」

 

 やっと本題に入る。

 話をしようとしない銀時と霊夢に代わり、新八が今回の依頼について簡単に説明する。

 

「なるほどな。そう言うことなら人手がいるだろうな……よし、私も手伝うぜ!」

「ありがとうございます!」

 

 純粋に人手が増えたことを喜ぶ新八。

 そんな彼を見て神楽が一言。

 

「新八。鼻の下伸ばしてデレデレして情けないアル」

「伸ばしてないからね!? デレデレしてもないからね!? 人聞きの悪いこと言わないでね!?」

 

 こうして、今回の依頼は五人で引き受けることとなった。

 だが、これだけ人手が増えたとしても、今回の依頼はそう簡単にいかない……。

 

 

 

 

銀魂×東方project

銀色幻想狂想曲

 

 

 

第ニ十二訓 初対面の人間にも臆することなく堂々としていれば大抵のことは上手くいく

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