「あっ、新八さん!!」
その時、新八達のところに少女の声が聞こえてくる。その声を聞いた途端、レミリアと咲夜は意味深な笑みを浮かべながらその場を後にする。魔理沙はというと、
「霧雨魔理沙はCoolに去るぜ……」
と、何故か帽子を深くかぶって格好付けながらその場を後にしていた。なんとも意味深に、しかし意味不明な行動である。取り残された新八が彼女の対応をすることになるのだが、
「その声ってもしかして……?」
当然、新八には聞き覚えのある声だった。というより、先ほど話題に上った少女なのだから当然のこととも言えよう。
とある異変がきっかけとなり出会いを果たした少女──リグル・ナイトバグ。銀時が最初に出会った時に『男の子』と勘違いをして泣かせてしまったところを新八がフォローした女の子である。さて、そんな彼女であるが……。
「なっ……!?」
ここまでの法則に則っているのなら、当然彼女にだって何かしらの変化がある。
今回の彼女はというと……いつもの服装とは真逆の白いもふもふのセーターを着用して、両手に鼠色の手袋、下はロングスカートといった出立をしており、まるでこれからデートに行きますと言わんばかりの気合いの入れ方だった。
そして彼女は大きく手を振りながら、
「お待たせしてすみません……新八さん♪」
と、新八のそばまで駆け寄ってくる。そしてそのまま、新八の腕にしっかりと抱き着いたのだった。
「り、リグルちゃん!?」
この二人は何処までも初々しい筈。百十八訓の段階では、手がチョンッと触れただけで顔が赤くなり、リグルが勇気を出した事でやっと手を繋ぐことが出来たレベルの二人(しかも付き合っていない)。それが今では、にこにこと嬉しそうな笑顔を振りまきながら、リグルがしっかりと新八の腕に抱きついているではないか。この二人を知る者達が今の光景を見たら、驚きのあまりに心臓が飛び出るのではないかと思われるほど、ありえない光景だった。
「本当新八さんっていい匂いがします……いつまでもこうしてたいです……」
一方のリグルは、新八に抱きつくなり身体の匂いをクンカクンカと嗅ぎ始めたではないか。そしてあろうことか、恍惚とした表情を浮かべている。例えるならば、もう少し踏み込んだ表現をしてしまえばタグに新たなる文字が追加されまくってしまうのではないかと思われる程の。リグルの呼吸が心なしか荒くなっているように見える。そして腰を擦り付けているようにも見える。これ以上やられてしまうと公開範囲を指定しなくてはいけなくなってしまうのでやめていただきたい。
「リグルさぁあああああん!? そ、それ以上はァアアアアアアアア!!」
新八の理性はもはや崩壊寸前。一歩間違えればこんな野外でとんでもないことに及んでしまうのではないかという状況。そんな時だった。
「ようやっと見つけたぞー! まったくもー! 見つけるのに苦労したんだぞ新八ぃー!」
テンションの高い少女の声が聞こえてくる。その少女は、新八を見つけるならぴょんぴょんと飛び跳ねるかの如き勢いで近づいてくる。この少女を新八は知っている。
「てゐちゃん!? どうしてここに!? っていうかその格好は!?」
因幡てゐ。悪戯大好き因幡の兎である。かつて彼女はジャスタウェイを改造したりして、新八に対して悪戯を繰り返してきた。悪戯するほど好意を寄せているとはよく言ったものである。そんな彼女が現れた途端、リグルの機嫌はかなり悪くなる。
「きたんですか、泥棒兎」
「きしししし! なーに正妻気取っちゃってるんですか発情蛍。新八は何もあんただけの物じゃないのさ」
「そんなことありません! 新八さんは私と永遠の誓いを交わしたんです! 逞しいアレを硬くしながら、私を楽園へと誘ってくださると固く誓ってくださったんです!」
「ちょっとぉおおおおおおお!? リグルちゃんまでそのこと言うのやめてェエエエエエエ!!」
まさかのリグルまで下ネタ使用。最早常識人を探す方が難しくなってきているのではないだろうか。そんなことを思わせられる。
「新八の新八が硬くなるのはアンタの前だけじゃないのさ……きしししし。私は既に……新八のすべてを知っているのさ! そして、新八は私と共に幻想郷を悪戯で埋め尽くすと固く誓ったのさ! アレを硬くしながらね!」
「新八君の新八君節操無しになってますよね!? 僕の知らないところで一体何が起きているって言うんですか!?」
話を広げれば広がるほど最悪な展開にしかならない始末。というか先程から隆起する話しかしていないのは気のせいだろうか。
「新八さん! 今日はリグルとデートするって約束したんですから、あんな発情兎には近づかないでください!」
「新八、発情蛍なんて相手してる暇はないぞ! さぁ今こそ悪戯道を極めし時だ!」
新八の両手をそれぞれ引っ張ろうとするリグルとてゐ。ある意味願ったり叶ったりな状況ではあるものの、リアルに経験している新八としては、
「いてぇええええええ!! ちょっ、二人とも、いたいってぇええええええ!!」
激痛以外の何物でもない。
そんな状況を打破するように……。
「てりゃああああああああああああ!!」
何者かが、リグルとてゐの頭を引っ叩いたのだった。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第二百三十九訓 硬くなるのは意思だけではないのだと誰かが囁いた午後