「うるせぇエエエエエエエエエ!! アンタが取ろうが何しようが勝手なんだよォオオオオオオオ!!」
「はぐわぁ!!」
抱きついてきていた神楽を優しく退けてからの飛び蹴りが炸裂! 蹴り飛ばされた小太郎は明後日の方向へと倒れ込む。そこを追撃と言わんばかりに妖夢のハリセンが炸裂し、神楽と小太郎はその場に倒れる結果となった。瞬間的に元に戻る二人。
「ありがとうございます、妖夢さん……」
「デレデレしている場合ではありませんよ! とりあえず今回は何とかなったのでよかったですけど……」
イボによるまやかしとはいえ、惑わされていたのは事実。どうやら原作での事から彼は何一つとして学んでいなかった模様。実際、何人の男が我儘ボディを押し付けられて耐えられるのだろうか。もし反応しない人がいるのだとすれば、強靭な精神の持ち主か、何も考えていないか、価値観が違いすぎる人なのかもしれない。
「だいたい男は結局胸ですか!? 押し付けられたらコロっとしてしまうんですか!? 押し付けるものがあれば内側から服を突き破ろうと勃ち上がるんですか!?」
「ちょっとォオオオオオオオ!? なんかとんでもないこと口走ってますよ!? 一体どうしちゃったっていうんですか!?」
普段は決してこんなことを言わない妖夢が、顔を真っ赤に染めながら次から次へと捲し立てている光景。余程新八がデレデレしている状況を目の当たりにするのが嫌だったと見える。その上、恩師と謳う人物の一人が突然取った宣言をしたが故に、枷が外れてしまったのかもしれない。詰まるところ、我慢の限界というところだ。実際どれだけ妖夢は溜め込んでいたのだろうか。
「とりあえず新八さんが節操無しなのは十分理解しました……」
「いや理解しないでくださいよ!? 新八さんは節操無しじゃありませんから!! 純情思春期ボーイですから!!」
「何処か純情ですか!? 凝りもせずに大きなイチモツになってるじゃないですか!!」
「なってねぇよ!? 何処に興奮する要素があるって言うんですか!?」
謎すぎる口論へと発展している二人。現状一番解決しなさそうな雰囲気がそこにはある。側から聞くとただの痴話喧嘩にしか聞こえないが、この二人は別に付き合っているわけでも、好意を寄せ合っているわけでもない。
「……喧嘩の匂いがします」
「「え?」」
その時。
妖夢と新八の耳に、新たなる人物の声が飛び込んでくる。
これまた二人にとって聞き覚えのある声。ただし、今この場にいることを完全に想定していなかった人物のものである。
「どちらが悪いか白黒つける……? いや、もはやそんな事はどうでもいい……喧嘩するのは双方悪い……つまり喧嘩両成敗ダァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
あっ! 野生の四季映姫・ヤマザナドゥが現れた!
「なんでアンタまでイボに寄生されてんだァアアアアア!!」
当然、新八はツッコミを入れる。
だが、ひらりとかわされてしまった!
「ほぅ……閻魔様に喧嘩を売ろうとは大したものですね……流石は幻想郷一の変態の座を奪い取っただけのことはありますね……私のことも乱暴するつもりなんですね!? エロ同人みたいに!?」
「いやそんな座に登り詰めた覚えねぇけど!? しかもなんで即落ち同人みてぇなこと言ってるんですか!?」
「話は小町から聞いています……とある日、大きなイチモツを下さいと歌った志村新八に、それはもう立派な……誰もが羨む大きなイチモツが備わったとか」
「それ完全に捏造ゥウウウウウウ!! そんな記憶ねぇからァアアアアア!!」
「…………」
妖夢、ただ突っ立っているだけ!
諦めの傍観!
「いや妖夢さん諦めないで!!」
「もう、これは、私の手に負えません……私には無理だったんです……結局、ツッコミも剣術も、半人前なんです……いつまで経っても一人前になれないんです……っ!! 新八さんみたいに、大きなイチモツを持ってないんです……っ!!」
「僕も持ってないですけど!?」
「はい、もうこれ以上は手に負えないということですそろそろ纏めに入りま〜す」
「「「え???」」」
その時、突然とある男の声が聞こえてくる。
そう、令和二年に入ってから一度も登場することのなかった、あの男の声だ。
というより、よくよく考えてみれば不思議な話だったのだ。
何せ今回、更新が始まってから……。
「ったくしょーもねぇことで争ってんじゃねえよ、イボ感染者共。主人公ほったらかして騒ぎまくりやがって……いい加減出番寄越しやがれコノヤロー」
スパァアアアアン!!
ハリセンによるヒット音が辺りに響き渡る。叩かれた三人は、その場に倒れ込んだ。そして現れたのは……。
「ギン兄様、これで全員なのかな?」
「あぁ、そうだろうよ……やれやれ、何だってこんなことになるかねぇ」
「お兄さん、お疲れ様ー」
「まさかイボ一つでここまでの混乱になるとは……心の中まで考えていることが改竄されるなんて恐ろしい存在ですね……」
運良くイボ大量発生時に地上および幻想郷に居なかった、フラン、こいし、さとりの三人と、そもそも感染する条件を満たしていないぐうたら主人公──坂田銀時。
そして、ここにそんな心配する必要のなかった人物がもう一人。
「……なんか納得いかないわね。私もまた除外されてるなんて」
もう一人の主人公、博麗霊夢。
新八や妖夢とは違う路線で、彼らも幻想郷を練り歩いてイボから解放して回っていたようである。
「しかし、流石にびっくりしたわ……朝起きたらうちがテーマパークに改造されてるんですもの。そして何故か私がそれを夢見てたことになってるし……河童をとっちめてやったけど」
「河童もてめぇに頼まれて改造したっつってたけどな。イボってのはそんなもんだ」
「私がそんなこと願うわけないじゃない……確かに信仰は欲しいと思うけど、そこまでやりたいと思わないわ」
ため息を吐く霊夢。
今回のイボ騒動、向上心の無いものには影響を及ぼさない。銀時や霊夢が、感染するような場所に居ながらも影響を受けなかったのはこの為である。フランやこいし、さとりに関してはその場から流れていたから、という条件がある。
「しっかし、幻想郷の奴らも向上心の塊だなオイ。こりゃ本当に出番とられちまう可能性すらあるわな……仕方ねぇ、そん時は……」
そうぼやいた後、銀時は何かに着替える。
そして、目を閉じて居合のポーズを取りながら、
「雷の呼吸……一の型……これでいくか」
「「「「いやダメでしょ」」」」
お後がよろしいようで。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第二百四十四訓 何事も抱えすぎると暴走の引き金になりかねないから気を付けろ
一応これにてイボ篇は終了となります。
次回からは長編か、それとも短編か……次回をお楽しみに!