銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第ニ十三訓 取り扱いには十分気をつけましょう

 博麗神社を出発して凡そ一時間弱。

 マヨイガと思われし場所まで到着した一行は、その大きさに圧倒されていた。

 

「紅魔館並にでかいなこりゃ」

 

 ポツリと感想をこぼしたのは銀時だった。彼の言う通り、実際目の前に佇む屋敷はでかい。少なくとも、猫の縄張りにしては大したものだろう。

 

「橙ってば、こんなところに引きこもってるわけね……ん、入り口のところに何か張り紙があるわね」

 

 霊夢がそれに気付き、一同がそこに集まる。

 張り紙にはこう書かれていた。

 

『わたしはおとななのです!! こどもあつかいしないでほしいのです!! だからわたしは!! みんなが!! おとなとみとめるまで!! とじこもるのを!! やめない!! それでもはいるのなら!! わたしをみつけるにゃ!!』

 

「うわぁ……こりゃ完全に怒ってるぜ」

 

 魔理沙の言う通り、張り紙から感じ取れるのは強い怒りの意思だった。余程宴の一件が心に響いているのだろう。というか、引きずっているのだろう。若干何処ぞの漫画ネタが含まれていた気もするが、彼らは気にしないことにした。

 

「銀ちゃん、こうなったら家捜しネ。隈なく探して……お宝がっぽがっぽネ」

「下心しかねぇじゃねぇか!! もう猫探しほっぽり出して宝探しに明け暮れようとしてるよこいつ!!」

 

 明らかに一人だけ目的が違う神楽に対して、耐えきれずに新八がツッコミを入れた。

 

「何言ってるアルか新八。今回の依頼は、報酬現地調達ネ。つまり私達は、宝探しながら猫を引きずり出せばいいアル」

「せめて逆にして!! なんか可哀想だから!! 強い意志で引きこもってるのに無視してちゃ偲びないから!!」

 

 神楽には橙の気持ちが理解出来ない様子である。そもそも理解する気があるのか甚だ疑問で仕方ないところではあるが。

 

「まぁ、屋敷中探してりゃいつか見つかんだろ……はえぇとこ猫探して、報酬剥ぎ取りチャンスといこうや」

「その言い方だと橙から剥ぎ取るみたいに聞こえるからやめて欲しいぜ銀さん……」

 

 不穏な響きに聞こえた為、魔理沙がポツリとつぶやいていた。

 

 ※

 

 そんなこんなで屋敷の中に入った銀時達だったが……。

 

「にゃー」

「にゃーにゃー」

「にゃーにゃーにゃー」

「にゃーにゃーにゃーにゃー」

 

 見渡す限り猫だらけ。

 たしかにいろんな家具とか、宝になりそうなものも混じってはいるものの、それすら覆い隠すのではないかと思われる程の、猫。

 

「多すぎるわ!!」

 

 耐えきれず、新八は叫んだ。

 

「この中で探せってか……? 結構キツイもんあるぞこれ」

「銀ちゃん、猫って食べられるアルか?」

「国によっちゃ食べてる所もあるな。こんだけいりゃ何匹か連れて帰っても文句は言われねぇだろ」

「待つんだぜ!? 今の会話の後に猫連れ去ろうとするのはやめるんだぜ!?」

「どう考えても誘拐後食す未来しか見えねぇよ!! 腹減ってんの!? だったら後で鱈腹飯でも食べてろ!!」

 

 何故か猫をお持ち帰りする算段をつける銀時と神楽に対して、魔理沙と新八の二人体制でツッコミを仕掛ける。やはりツッコミが増えたことにより、バリエーションも豊かになったようだ。

 と、その時だった。

 

「ひっ!」

 

 明らかに女の子の声がした。

 しかも、明らかに怯えている感じの。

 

「もしかして……」

 

 霊夢は真っ先にあたりを見渡す。

 やがて何かに気付いたように、視線を一点に向けた。

 銀時達もそこに向ける。

 向けている先には、屋敷の柱。そこの陰から聞こえる、怯える声。

 

「わたしを食べないで欲しいにゃー!!」

 

 その声の主は、その場から逃走した。

 

「待ちやがれ晩飯ィイイイイイイイイイイ!!」

「いやちげぇからァアアアアアア!! 飯じゃねぇよ!! 食べようとすんなって言ってんだろォオオオオオオオオ!!」

 

 真っ先に走って行った銀時と、その後を追う新八。

 

「魔理沙、神楽、私達も行くわよ。ややこしくなる前に橙を捕まえるわ」

「わかったアル。先に見つけた方がおかずにできるわけダナ?」

「ちげぇぜ!! 安全を確保するために確保するんだぜ!!」

 

 何処かずれた発想をする神楽と、それを正す魔理沙の図があった。

 霊夢先導の元、彼女達も橙を捕まえるために先へ進むのだった。

 

 ※

 

「だぁああああああああ!! あの化け猫めェエエエエエエ!! 一体どこ行きやがっタァアアアアアアアアアア!!」

 

 そして時間は、ここに戻るわけである。

 完全に橙を見失った銀時達は、手分けをして探すこととなった。

 とはいえ、相手は化け猫。なにぶん逃げ足が速い。

 

「ったく、面倒な依頼受けちまったもんだぜ……化け猫捕まえるのにこんだけ手間かかるたぁ……」

 

 悪態をつきながら、辺りを見渡す銀時。

 すると、かなり奥の方で、身体をガタガタと震わせている少女を発見した。

 

「やっと見つけた……別に取って食いやしねぇから、そこから出て来いよ」

「うううううう、うそですすすすすす。そうやってあまやかして、でたところをぱっくりいくんですすすすすすすす。ひぃいいいいいい!!」

「そんなに怯えなくていいだろ? 晩飯にしたりしねぇよ……したらあの九尾狐に何されるかわかったもんじゃねぇ……」

 

 もし橙の身に何かあったとしたら、間違いなく銀時は天誅を食らうだろう。それが分かっている為、危害を加える気は最初からなかった。

 橙はその気配を察すると、恐る恐るといった形で近付いてきた。

 

「あの、はりがみ、みましたよね?」

「まぁな。子供扱いされんのが嫌だっつってたな? 俺からしてみりゃ、テメェは人様に迷惑かけてるガキにしか見えねぇよ」

「……藍様、怒ってました?」

 

 心配そうに尋ねる橙。

 そんな彼女に対して、銀時は正直に答える。

 

「めっちゃ落ち込んでた。自分のせいだって責めてたよ……あいつはテメェのこと大切に思うあまり、相手の気持ち考えられてなかったって思ってたみてぇだったな」

「そんなこと……!」

「あぁ。ちょっとばっかし今回は、すれ違いが多すぎただけなんだろうな。だからまぁ、誰もお前のこと子供扱いしてなんかねぇよ。むしろ、大切に思いすぎるあまり、ちっとばっかし言いすぎただけの過保護にすぎねぇよ……そんなもん、大切に想う奴なら当然だろ?」

 

 藍の気持ちを汲み取り、銀時はその旨を語る。相手を想い過ぎるあまり、人は時として暴走する。今回の一件もまた、そうした想いがすれ違った結果なのだろう。

 橙は、ハッとしたような顔をする。

 

「……わたし、藍様にあやまります」

「それがいいんじゃねえか? そうやって自分の意見決められるってこたぁ、立派な大人だって証拠だろ」

「にゃふっ」

 

 頭を乱暴に撫でまわしながら、銀時はそう告げる。

 橙は少しくすぐったそうにするも、すぐに気持ちよさそうに目を細める。

 これにて今回の依頼は一件落着。めでたしめでたし……。

 

「見つけたネ! 晩飯ィイイイイイイイイイイ!!」

「にゃあああああああああああ!!」

 

 血走った目でダイナミックエントリーをしてきた神楽がいなければ……。

 彼女に驚いた橙は、速攻でその場から逃げ出し、再び闇の中に消えてしまった。

 

「おま、か、神楽ァアアアアアアアアアア!!」

 

 その後、もう一度橙を見つけるのに数時間はかかった模様……。

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

銀色幻想狂想曲

 

 

 

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マヨイガ篇終了ー。
次回も短編を投下して、そろそろ春雪異変篇へ突入しますよー。
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